こうゆづ☆の【とおまわり】

令和元年12月に、ブログタイトルを変更しました。心の動くままに、とっちらかったテーマで書いています。

LUPIN THE THIRD FIRST TV『021:ジャジャ馬娘を助けだせ!』ルパンの恩返しとは?

ご訪問ありがとうございます。Kohyuzuです。ルパン三世のテレビシリーズを第一話から見直して、ただ感想を書くというだけの試みの21回目。

第21話は、〈ルパンと少女〉がテーマのお話。少女の声を演じるのは、なんと、第17話のクラブオーナー月影銀子役を演じた平井道子さん。さすが声優さん!艶っぽい声から少女の声まで、幅広く演じ分けるプロフェッショナル。声と真摯に向き合うお仕事。並々ならぬ努力の賜物なのでしょうね。

個人的には、俳優業と声優業は、兼ねるモノではないと思います。映像がみえない場面で音声だけに意識をむけるとき、声優が演じるキャラクターと、人気先行型の俳優が演じるキャラクターでは、雲泥の差があります。近年のジブリ作品に感情移入していけない理由の1つには、声に対する敬意が、あまりにも〈おざなり〉にされているところにあるのだと感じています。は、歯がゆい…。

では、気を取り直して、今日も、ルパンとその仲間たちに会いにいってみよ~!

第二十一話『ジャジャ馬娘を助けだせ!』(1972年3月12日放映 / 脚本:松岡 清治)

〈登場人物〉ルパン・次元大介・牧田リエ・銭形警部・牧田ケン・滝川ジョージ

冒頭、牧場を縦横無尽に馬で駆け回る娘のシーン。牧場の作業を邪魔する娘に、1人の男が〈アンノヤロウ〉と毒づくが、仲間は〈やめとけ、大事な人質だ。〉と、なにやら物騒な話をしている。娘は、牧場のオーナーである滝川(おじさま)に〈パパのことが心配だから、家に帰りたい。〉と申し出る。滝川は〈牧田は、リエちゃんが考える程、弱虫じゃない。もっと遊んでいきなさい。〉と引き留めるが、リエはどうしても帰るという。

二人の会話に聞き耳を立て、窓から様子を伺っていたルパン三世。〈帰りたいって言ってんだ、素直に帰してやったらどうなんだ。〉と、話に割り込む。そして、ケン・牧田に頼まれて、その娘を迎えに来たのだと伝える。〈そこにいるオジサマはね、君が考えているようなイイ男じゃないんだ。〉とリエを連れて帰ろうとするルパンに、滝川は銃口を向ける。思わず〈おじさま~!〉と悲鳴をあげるリエを、ルパンは抱きかかえて、窓から脱出。馬に乗って逃走する。

  1. 牧場を抜けた森の中には、次元と愛車が待っていた。〈なにやってんだ、さんざん待たせやがって。〉という次元に〈この娘を押さえておいてくれよ。〉と、気を失ったリエを差し出す。〈なんだ、これは…。〉と目を丸くする次元。〈気がついたな、お嬢さん。さっきは手荒なことをして失礼。〉と、運転しながらリエを気遣うルパンに、リエは、背後から〈もー、降ろして、降ろしてよ!〉とつかみかかり、ブーツのかかとでルパンの頭を蹴飛ばす。〈しっかり押さえておけ、運転できないじゃねぇか!〉と娘の隣に座っている次元に文句を言うが、次元は〈嫌だ~!〉と幼児がダダをこねるように、手足をジタバタさせて暴れているリエを、抑えることができない。
  2. そうこうしているうちに、滝川の追っ手がマシンガンを浴びせながら、迫ってくる。〈おじさま…〉と呟くリエは、滝川を信頼し、ルパンを【誘拐犯】だと誤解している様である。リエは、ハンドルを握るルパンをボコボコに殴りながら、すごい剣幕で〈降ろしてよ!〉と叫んでいる。追っ手の銃撃に、次元も銃で応戦し、一発で追っ手の車の前輪に命中させる。〈やったー!〉と喜ぶ次元に、リエは、殴る・引っ掻くの大暴れ。やりたい放題のジャジャ馬娘に、翻弄されながらも、次元とルパンは、なんとか堪えるが、とうとう、車は道を踏み外して、横転。バウンドしながら、斜面を転げ落ちてしまう。転がる途中で、車外に投げ出されたリエ。一方、ルパンと次元は、車が停止した反動で車外へ。次元より一足先に意識が戻ったルパンは〈おい次元、起きろ!娘がいなくなった。〉と歩き出す。
  3. 次元は、ルパンに〈どうしてオレたちが、あんなジャジャ馬を探さなけりゃならねぇんだい?〉と尋ねる。ルパンは、リエが、ルパンの親父〈ルパン二世〉のかつての【相棒】であった男の娘で、人質にとられていたのを助けて、恩返しをしたいのだという。〈人質?しかし、そうは見えなかったけどな。〉という次元に、ルパンは、リエの父親【ケン・牧田】は、かつて世界一といわれた【金庫破りの名人】であったと話す。
    • ルパン:〈オレの親父が死んで、ケン・牧田もそれっきり金庫破りから足を洗った。そして、あのリエという一人娘と、田舎町でひっそりと暮らしていたんだ。ところが、それに目をつけたのが…〉
    • 次元:〈あの牧場の大将ってわけか…〉と、話を引き継ぐ。
    • ルパン:〈ジョージ・滝川。かつての仲間の1人さ。〉
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      『滝川と牧田のやり取り回想シーン』
    • 滝川:〈どうだ、ケン。でっかい仕事だぞ。〉
    • 牧田〈断る。ルパン2世が死んだとき、金庫破りのケン・牧田も、この世から消えた。〉
    • 滝川:〈俺がこれほど頼んでもか?〉と迫る。
    • 牧田:〈クドイぞ、ジョージ。〉と一刀両断。
    • 滝川:〈じゃ、お前の可愛いリエがどうなってもイイって言うんだな。いや、なに遊びに来たいといってたんで、今、オレの牧場で預かってるんだ。〉と悪びれもせずに話す。
    • 牧田:〈貴様、たくらんだな!〉と、滝川の胸ぐらをつかむ。
    • 滝川:拳銃のマガジンで、牧田を殴り倒す。
    • 牧田:〈頼む。リエを返してくれ。その代わり、欲しいものは何でも渡す。〉と懇願する。
    • 滝川:〈ンッハハ。良い心がけだ。〉
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    • 次元:〈娘は何も知らないのか。〉
    • ルパン:〈知らない。父親が泥棒だったこともな。〉
    • 次元:〈いつまで隠しておくつもりだ。〉
    • ルパン:〈一生さ。(と、立ち上がり)行くぜ!(と、とある小屋へ目線を向ける。〉
  4. 小屋の中では、リエが警察へ通報していた。〈そうです、ルパン三世です。えっ?現在地。ちょっと待ってください。今いる場所は…〉と、窓の外をみると、ルパンと次元が歩いてくる。〈はぁ!〉と目を見開くリエ。ルパンが扉を開け、小屋の中を見回すと、藁の束からブーツが飛び出している。〈なるほど、頭隠してなんとやらってやつか。〉と次元。そして、藁へと近づくルパンに〈危ない!〉と声をかける。頭上から飛んできたのは、物騒な道具【鋤】。ブーツはフェイクで、実際に、リエは棚の上から様子を伺っていた。逃げようと走り出したところに、次元が立ちはだかる。小屋で、食事を始めるルパンたち。リエに〈食べなよ。腹が減ちゃぁ、戦ができないだろ?〉〈ご免だわ。泥棒のモノなんか!〉とツレナイ返事。〈まぁ、そうムキになりなさんな。〉というルパンに〈たとえ、飢え死にしたって、泥棒したものは食べないわ。〉と応戦するリエ。次元は思わず〈なーに、言ってやがるんだ。自分は一体、何様だと思ってるんだ?〉と口走ると、ルパンが〈次元!(と、大きな声で制する)〉
  5. ラジオから特別ニュースが流れてくる。本日10時05分、警視庁に入った情報によりますと、ルパン三世が日高の滝川牧場から少女を誘拐して、逃走中の模様であります。》リエは〈あたしが電話したのよ。私が110番に電話したの。〉と話す。〈何てことしてくれたんだ〉と頭を抱える次元。すかさず、立ち上がったルパンは〈次元、話がある。顔貸せよ。〉と、次元を連れ出し小屋の外に出る。打ち合わせを済ませて戻ってきたルパンは、リエを連れてトラクターで移動を開始する。リエは〈私をどこへ連れていく気?〉とかみつく。〈もちろんパパのところへさ!あの山越えて、野を越えて、鉄橋の向こうまでね!〉と応じるルパン。リエは険しい顔で、ルパンを睨みつけている。すると頭上からプロペラの音が近づいてくる。リエは〈助かったわ!おじさま~、ここよ~!〉と、歓喜の声でヘリに手を振る。ヘリから下りてきた縄梯子に手を伸ばすリエ。その瞬間、ルパンはハンドルを切り妨害する。〈ンンン、構わん。ルパンを撃ち殺せ!〉と部下に命じる滝川。
  6. パトカーのサイレン音が聞こえてくる。ルパンの行く手を阻むように、正面から近づく2台のパトカー。〈ん?こいつはいけねぇや。〉とルパンは、素早く娘を連れて逃走する。銭形もまた、パトカーから降り、追いかけてくる。〈ルパン、逃げても無駄だ。神妙にその娘を渡せ。〉と銭形。すると、銭形たち警官に向かって銃弾が飛んでくる。ヘリから〈遠慮するな。サツにリエを渡しちゃならねぇぞ。〉と、発砲を指示する滝川。銭形は、滝川たちをルパンの手下だと勘違いする。それを見たルパンは〈よーし、今だ!〉と加速する。ルパンを追おうとする度に、銭形の行く手を阻む弾丸が飛んでくる。その間にルパンは森の中へと入っていく。
  7. ヘリからルパンを探す滝川。そして、普段、走っていない森林鉄道に目をつける。その頃、ルパンは、せっせと薪(石炭には見えない)をくべて、機関車を走らせていた。すねた表情を浮かべるリエに〈まだ分からないのか?〉とルパンは問いかけるが、〈私、泥棒とうそつきは大っ嫌い!〉と頑ななリエ。〈滝川の正体は、さっき分かったはずだ。せっかく来た警官をマシンガンで邪魔したのは、なぜだと思うんだよ。〉〈おじさまには、なにか訳があったのよ!きっと、仕方なくやったのよ…。〉と萎れるリエ。〈まぁ、いいさ。おとなしくしててくれれば、それでいいんだ。〉と、ルパンが空を振り仰ぐと、滝川のヘリが迫っていた。
  8. 列車に横づけしたヘリから、二人の手下が機関車へ飛び乗る。ルパンの背中に、容赦なくマシンガンを浴びせる手下たち。それを隣で見ていたリエは〈あぁー、キャァー!〉と悲鳴をあげる。が、ジャケットの下はもぬけの殻。〈服だけだ。やい、ルパンの奴、どこに行った?〉と、マシンガンの銃口をリエに向け、手荒に尋ねる手下A。〈言え!言わないと、貴様もハチの巣だぞ!〉と迫る。〈おい、サブ。大事な金づるだ。手荒なことはするんじゃないぞ。〉という手下B。サブは〈うるせぇ。オレは前っから、こいつは気に入らなかったんだよ。〉と、リエに銃口を突きつける。〈お嬢様ぶりやがって。たかが金庫破りの…〉〈やめろ!おしゃべりは、それまでにしな。〉と背後から現れたルパン。二人の手下は、すぐさまマシンガンをぶっ放す。銃弾を逃れて、再び、姿を消したルパンに、手下たちは〈挟み撃ちだ!〉と二手に分かれる。当のルパンは、車体の下に隠れていた。そして〈ニヒヒ…〉と笑うと、二人の手下が乗った後方の車両を切り離し〈あーばよ!〉と去っていく。
  9. ルパンは、再び、薪をくべ、労働に勤しんでいるが、リエはなにやら考え込んでいる。
    • リエ:〈ルパン、教えて。本当のこと。お願い!〉
    • ルパン:背中でリエの声を聞いていたが、徐ろに立ち上がる。
    • リエ:〈パパと滝川のおじさんの間に何があったの?〉
    • ルパン:〈なに、ありふれた誘拐事件さ。〉
    • リエ:〈嘘よ。サブちゃん金庫破りがどうのこうのって。私、本当のことが知りたいの。〉
    • ルパン:シリアスな表情がクローズアップされた後〈オラァ、大泥棒の、大ウソつきだから、真に受けてったら、ひどーい目にあっちゃうんだから。〉と、おどけた表情で応える。
    • リエ:〈んん。〉と小さく息を吐き、腑に落ちない表情を浮かべる。
  10. 銭形は〈いいか、ここで機関車が来るのを待つぞ!はやく、来い!ルパン。〉と線路で先回りしていた。ルパンは、前方にパトカーを発見すると〈クソゥ、銭形。〉と、薪をドンドンくべて、機関車の速度をあげていく。〈どうしたの?急にスピードをあげて?〉〈こっちに来な、はやくこっち。(と、リエを自分の方へ引き寄せる)〉〈なにするのよ。〉〈この先にな、警官が非常線を張っている。強行突破する。そのとき叫ぶんだ。大声で助けて~って、言うんだぞ。〉〈どうして?〉〈言われたとおりにしてくれ。〉なおも、黒煙をあげて、加速する機関車。リエはルパンにしがみついている。〈止まれ~!〉と立ちはだかる銭形だが、機関車が迫ってくるのをみて、脇に逃れる。パトカーをなぎ倒しながら〈早く助けてって言うんだ。〉とルパン。〈でも…〉と、尻込みするリエにルパンは〈オレは犯人だぞ…(というと、少女の声色を真似て)あれ~!たっすけてぇ~!〉と自ら叫ぶ。銭形は、ルパンの跡を追いかけながら〈ん?霧をさくような女の悲鳴。ルパンめ、逃がさんぞ!(と、無線を片手にとり)予定通り、作戦開始!〉と告げる。
  11. 〈銭形にしちゃ、あきらめがイイな…〉と機関車が二又に差し掛かったそのとき、警官たちが線路の進路を切り替える。それをみたルパンは瞬時に、ブレーキをかけるが、予め、警官たちによって準備されていた線路上の丸太の山に突っ込んでしまう。丸太をなぎ倒しながら、道なき道の急勾配を下っていく機関車。〈しまった!〉と銭形の部下たち。機関車は、ますます加速し森の中へと突っ込んでいく。その後をトロッコ風の板に乗って、線路で追ってきた銭形たちは、勢いで丸太に突っ込み、尻もちをついて止まる。そして、森の中をすごい勢いで下っていくルパンたちを〈ん?あのバカ。森の中をレールもないのに…〉と複雑な表情で見送る。
  12. 森林の木々をなぎ倒しながら、加速する機関車。風速によって、機関部を覆う鋼鉄板も、ドンドン飛ばされていく。そして、汽笛の先端が飛ばされた直後、〈はぁ、(森を)出ました!〉と警官の声。銭形は、線路上から〈あぁ、アーン?こんなバカな話があるもんか!追え~!〉と叫ぶ。一方、機関車もどきに乗車しているルパンとリエ。〈どうだね、こんな汽車の旅は!〉というルパンに、リエは〈生まれて、初めてよ!〉とイキイキとした笑顔で応える。〈ンフフフ…オレもだよ、それ~!(と、アクセル全開)〉再び、機関車もどきは、ルパンとリエをのせて線路に戻る。そのずっと後から、銭形たち警官はトロッコ風の板に乗って追跡していた。〈橋を遮断しろ!逃げ道はそこしかない!〉と、無線で指示する銭形。陸軍も始動し、第二の非常線を張る警官たち。陸橋を超えた先の高台からは、次元とリエの父親であるケン・牧田がその様子を見守っていた。
  13. 一方、滝川も、高台から双眼鏡でルパンの行方を追っていた。そうして、ルパンたちが通るとおぼしき線路に、時限爆弾装置を仕掛ける。ルパンがその線路を通過する直前で車輪が浮く。ピョンッと跳ねた直後、仕掛けは爆発。その後を追ってきた銭形たちは、爆発によって沈下した地面の窪みに突っ込んでしまう。〈クソゥ、ルパンめ!待てぇ!〉とルパンの後ろ姿をみつめて悔しがる銭形。その直後、ルパンたちの乗った機関車が爆音に包まれる。その様子を見ていた部下は〈ルパンの姿がみえません!〉と報告するが、機関車が線路を走っていくのを確認した銭形は〈いや、ルパン一流の目くらましだ。あの機関車を追え!〉と走り出す。ところが、爆発によって飛ばされたルパンとリエは、線路脇の崖の下へ倒れていた。
  14. 先に立ち上がったリエは〈しっかりしてルパン!ルパン…〉と声をかける。直後、リエはルパンの胸元に1枚の写真を見つけて、手を伸ばす。〈パリにいた頃のパパたちの写真…、この真ん中の人は…〉そこで〈ンン…、おぉ、イタタタタ。〉と起き上がるルパンを見て、リエはとっさに写真を後ろ手に隠す。〈大丈夫かい?〉と声をかけた直後、ハッと胸ポケットを探るルパン。そして〈こっちに出しな。〉とリエに手を差し出す。リエは写真の真ん中の人物を指さしながら〈この人は、誰?あなたのお父さんなのね!ルパン二世ね!〉と鋭い声色で問追い詰める。ルパンは、リエの手から写真を取りあげ〈リエ、君には関係ないことさ。それより、顔でも洗おうぜ。(と立ち上がり、リエの顔を見て)ん?アハハハハ。真っ黒けだ。〉と川で顔を洗う。そして、顔を拭きながら、リエの様子を心配そうに伺う。
    • ルパン:〈おーい、どうした?元気出せよ。〉とリエに歩み寄る。
    • リエ:〈パパも滝川のおじさまも、あなたのお父さんの仲間だったのね。泥棒だったのね?(と、ルパンの方へと振り返る。)だから、パパは、警察に頼まないで、あんたに頼んだんだわ。パパの嘘つき!(涙をこらえながら、大木に走り寄り、木を叩きながら)パパなんか大嫌い!〉と泣き崩れる。
    • ルパン:〈冷たいようだが、泣いている暇はないんだ。隠さずに、本当のことを話そう。〉
    • リエ:〈聞きたくないわ。泥棒や大ウソつきの話なんか!パパなんか、パリから帰ってこなければよかったのよ!〉
    • ルパン:〈バカ!(と、頬をなでるように、リエの左頬を叩く。パパはね、娘の君が知っている通りのパパだよ。パパに八つ当たりするのは、パパに会ってからにしようぜ。(と、リエの肩に手を置く。)さぁ、涙を拭いて。その顔、パパが見たらビックリするよ。〉とハンカチを渡す。
    • リエ:ルパンの顔をじっと見つめている。
    • ルパン:プロペラ音が聞こえて〈もう、来やがったぜ。〉と空を見上げる。
  15. ヘリから滝川が〈リエー、こちらに走ってくるんだ!〉と叫ぶが、リエはルパンにしがみつく。〈じゃ、ないと、ルパンと一緒に打ち殺すぞ!〉と脅迫する滝川。リエは、キッと顔をあげて滝川の声のする方へ振り向くと〈いいわよ!撃ってごらんなさい。〉と気丈に応える。〈バカ、ヤツは本当に撃つ気だ。ほーら、来た!〉と、ルパンはリエを連れて走り出す。岩の陰に隠れながら、森の中へと駆けていく。滝川は〈弾の無駄だ、あの空き地に降ろせ。〉と部下に指示する。その空き地のでは、ルパンが仕掛けをつくって、待っていた。〈いまだ!〉とロープを切ると、大木がそのままヘリの胴体へ突き刺さる。〈当たり!〉とルパン。ヘリは方向性を見失い、森の中に墜落し、辺り一面に爆音が轟く。
  16. ルパンとリエは、森林を抜け、陸橋の手前に辿り着く。
    • ルパン:〈銭形のとっつぁんにオレのことを聞かれたら?言ってごらん。〉
    • リエ:感情の伴わない声で〈警戒が厳重なので、私を置いて逃げました。〉
    • ルパン:〈そーうそう。そう言うんだ。滝川のことはなんにもいっちゃいけないよ。あくまでも犯人は、このオレなんだぞ。〉
    • リエ:瞳をウルウルさせて〈ルパン!〉
    • ルパン:〈さぁ、パパに向かって突撃!〉と、リエの背中を押す。
    • リエ:振り向いて〈ルパン、ありがとう。〉
    • ルパン:〈ンフフフ。ほら、行って行って!〉
    • リエ:〈さよならっ〉と駆けていく。
    • ルパン:〈ンフフフ…。(と、いつものおどけた顔で送り出したのち、一瞬、真顔に戻り)リエちゃん…。〉と呟く。
  17. 姿を現したリエに〈あなたがルパンに誘拐された牧田リエさんですね。〉と銭形が確認すると、リエは〈はい。私がリエです。〉と応える。〈だいぶ、疲れているようだな。で、ルパンは?ルパンはどこへ行ったんです?〉〈警戒が厳重なので、私を置いて逃げました…〉と力なく言い、銭形から目を背ける。〈クッソゥ、ルパンめ!あとは頼む。俺はルパンを追跡するぞ!〉と走り出す。残されたリエは〈ルパン…〉と呟く。こうして、家路にむかって、陸橋を歩き出したリエの前に、ケン・牧田が姿を現す。〈パパ、パパ~!〉とケンの胸に泣きながら飛びつくリエ。

    父娘の再会を見守っていた次元は〈やーれやれ、大団円か。〉と帽子のツバをあげて〈さて、ルパンを探しに行くとするか〉と歩き出す。その頃、ルパンは…銭形警部と月夜の晩の下、楽しい追いかけっこをしておりましたとさ。おしまい。

 

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 ◆こうゆづ的*第二十一話の№1シーン

いやー、イイ!これこそ、まさにルパン三世、大団円の回。少女を助けるルパン三世の物語。それも、目的は【恩返し】なのだから、ルパンの気持ちが断然、ノッています。親父(ルパン二世)がお世話になった仲間の娘を助けるという、ルパンの温情【義理堅さ】からの行動です。こういった分かりやすいお話が、私はとても好き。ルパンの信念を貫く姿勢やその意図を、瞬時に汲み取る【相棒次元】の潔さも、見事に描かれています。最後の父娘の再会を見守る眼差しも、優しいです。

また、【ジャジャ馬娘リエ】が、ルパンと行動を共にすることで、〈精神的な成長〉橙色のラインを遂げていく姿もイイ。かなりの大物に育ちそうな予感を抱かせるリエちゃん。とてもチャーミングに描かれています。純真さ故の激情型の性格は、ある意味トリッキーではありますが、魅力的です。パパのことが大好きだからこそ、思いっきり怒れるわけですし、リエを諫める〈ルパンの台詞〉あらすじ14も、味わい深くホレボレとします。

さらに、【銭形警部】との痛快な追いかけっこの場面も、丁寧に描かれていて、見ごたえ十分。ルパンの行動を先読みする銭形。そして、ルパン逮捕を諦めない健全な精神。これこそが我らがとっつぁん、銭形警部ここに在り!といった印象。敵役の滝川が相当【小者】にみえる描写が、かなり効いています。

ルパン二世と牧田、そして滝川が仲間で、行動を共にしていたというエピソードに〈なぜこの二人の仲間に、滝川が選ばれたの?〉と、すこし不思議に思えますが、ルパン三世よりもルパン二世の方が、仕事の時は、案外【阿漕に攻めている】ところがあったのかもしれません。【仲間】という部分だけを切り取ると、次元、五ヱ門という仲間と共にあるルパン三世の方が、恵まれているように思えてきます。ルパンは、父親以上に、祖父を尊敬していて、その血を色濃く継いでいるようなイメージがありますしね。

さて、きらめく台詞のやり取りに、キュンキュンときめく第21話ですが、№1シーンは《ジャジャジャジャーン♬》ルパンが小屋で、自分が誘拐犯で追われる立場になったことを理解して、次元を外へ連れ出し、頼むシーン。

  • ルパン:〈銭形と滝川の挟み撃ちじゃ、3人でウロウロするのは、かえって危ない。先回りして、牧田の親父さん、安心させてやってくれないか。必ず、娘は連れていくってな。
  • 次元:〈やれやれ。分かったよ。じゃ、成功を祈るぜ。
  • ルパン:〈ま~かしとけって。〉 

もう一つの№1シーンは…というわけで、ひとつに絞りきれなかった私。何ともお粗末で、失礼いたしますですよ。どちらも捨てがたし!ということで。№1′《ジャジャジャジャーン♬》次元とケン・牧田が、陸橋から状況の行方を見守るシーン。警察によって第二の非常線が張られ、陸軍まで登場してくる場面での会話。

  • 次元:〈戦車まで引っ張り出したぜぇ~。〉
  • 牧田:〈私が初めから警察に、すべてを話して任せれば、こんなことにならなかったんです(と、首を垂れる)。〉
  • 次元:〈おいおい、今更、何を言うんだ。そんなことしたら娘があんたの昔を知っちまうぞ。おい。〉
  • 牧田:〈私に勇気がなかったんです。そのため、ルパンを誘拐犯人にしてしまった。今から警察に全てを話します。〉
  • 次元:〈ダメだ。そんなことしてもルパンは喜ばねぇ。やるとなったらヤツは必ずやるんだ。そんな男さ、ルパンってヤツは。〉とニヤリと笑う。

いやー、イイ!次元の台詞にしびれます。男泣きしてしまいそう。ん?

ファーストシリーズの第21話は、全ルパン三世の作品の中でも、個人的にはかなりの上位に食い込む作品。私は、大隅監督の演出が好みなので、初期の作品推しですが、Aプロダクションが手掛けた作品では、本作と11話が好きですねぇ。どちらも、少女を助けるという物語。やはり、カリオストロ城に続く流れをもつだけあって、【ルパンと少女の物語】は、宮崎駿さんの真骨頂なのではないでしょうか。

前作の泥棒島については、ボロクソ言いましたが、今作は、銭形警部も立ち直ってくれたようで、本当によかった!と思える回です。私の機嫌も、すっかり治りました。とっつぁんは、冷静に判断できるときは、かなりのところまでルパンを追い詰めるのですが、やはり、詰めは甘いですね。その甘さが魅力ではありますが…。

さて、次回は、最新型のコンピューターがルパンの行動パターンを予測し、逮捕に導くお話。ルパン逮捕に燃える銭形VSコンピューター技師の戦いも見どころです。お楽しみに!

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

Kohyuzu(こうゆづ☆)