こうゆづ☆の【とおまわり】

令和元年12月に、ブログタイトルを変更しました。心の動くままに、とっちらかったテーマで書いています。

LUPIN THE THIRD FIRST TV『020:ニセルパンを捕まえろ!』元祖ルパンが出現したってよ!

ご訪問ありがとうございます。Kohyuzuです。2月。本日は節分、明日は立春。季節の変わり目、暦上では春です。暖冬だからなのか…春の浮き立つ気持ちが控えめな私。現実は、本格化する花粉症に向けての対策が、切実なのであります。

さて、ルパン三世のテレビシリーズを第一話から見直して、ただ感想を書くというだけの試みの20回目。1週間に1回更新し続けてきたので、20週ということは、5ヶ月近くになるわけですな。おつき合いいただいている皆様に、感謝申し上げます。

第20話は、Aプロダクションの演出に変わって、初の原作プロット、ルパン三世の【賊族島①②】を使用した内容になっています。また、今作は、いつも一緒にいる次元が出演しない回でもあり、ひと味違ったルパン三世の世界がみられそうです。

ルパンは、見事〈ニセルパン〉の名を騙る不届き者の正体を見破り、祖父の遺品を手に入れることができるのか?それでは今日も、ルパンと銭形警部に会いにいってみよ~!

第二十話『ニセルパンを捕まえろ!』(1972年3月5日放映 / 脚本:七條 門)

〈登場人物〉ルパン(石川大介)・銭形警部・ニセルパン(ジンベエ)・マルケイ・長老・おばば 

冒頭、何者かが〈元祖ルパン〉を騙り、銀行の大型金庫の中で待ち受け、大枚を盗み出すシーンが登場。

  • 銀行員に拳銃を突きつけ【大声をたてるな。元祖ルパン】という紙切れ1枚の指示で成果を出すという巧妙な手口。
  • 金塊をトンネルに入った輸送車から丸ごと盗み出し、山肌に【ごくろうさま元祖ルパン】というメッセージ。
  • 厳重警戒態勢の館から美術品を頂戴し【元祖ルパン】の文字を残し、姿さえも現さない。
  • とある金持ち宅では、主人の頭を死角からポカンと殴り、額に【元祖ルパン】のハンコを残して、装飾品を盗み出す。
  • とある茶室の一室では、お手前中の僧侶の横に掛けてある掛け軸を速やかに頂戴して【ただ今参上‼ 元祖ルパン】と文字を残す。

このように、ニセルパンの鮮やかなテクニックを駆使した仕事ぶりが紹介される。

  1. 警視庁に予告状が届いた。【警視庁銭形警部に告ぐ‼ 今夜午前0時 銀宝堂宝石店所有の時価13億円といわれる〈ジンギスの王冠〉を頂だいするから万全の警戒を期されたい。元祖ルパン】とある。銭形は〈あぁー?あと3分。ルパンの奴、このところ立て続けに、あちこち荒らしやがって。見てろ、今夜こそ絶対逃がさんぞ!〉と、銀宝堂に大勢の警官を配置。【ジンギスの王冠】は、燦然と輝いている。午前0時の鐘。店主とおぼしき男が〈葉巻〉に火をつけた、次の瞬間、噴煙が立ち込め、警官たちはバタバタと倒れる。店主に成りすまし素顔を防具で覆った男は、難なく鍵穴をこじあけ【ジンギスの王冠】を手にする。途端、非常ベルがけたたましく鳴り響く。正攻法で扉から飛び出した男は、屋上へ。外で待機していた銭形は〈ビル全体を包囲しろ!〉と指示を出す。
  2. 成りすまし男は、向かいのビルの時計塔にロープを固定、警官たちが屋上にせまった直後、手榴弾を投げ、辺りは煙に包まれる。銭形は〈ルパンめ、手こずらせやがったが、とうとう年貢の納め時だ。撃て!〉と銃弾を浴びせる。集中砲弾をものともせず、ロープを伝っていく男。銭形は〈あいつは、似ても焼いても食えん、稀代の怪盗ルパンだ。かまわんからロープを切れ。〉と指示する。ロープを切ったのは、警官に変装した本物のルパン三世。〈ルパンの最期だ…〉と、思わず目を閉じた銭形の目前に落ちてきたのは、精巧につくられた人形であった。
  3. 成りすまし男は、別ルートで仲間が待ち受けるトラックへ。野菜が積まれた荷台に隠れて逃走する。本物のルパンも、男たちの追跡を開始。トラックの車体の下に身を潜める。〈チッキショウ。オレの名を騙るなんてふざけた野郎だ。だけっどもよ、予告状といい、盗みの手口といい、オレにまぁそっくりだ。一体、何者なんだ?これじゃ、銭形のとっつぁんがオレの仕事だと錯覚するのも無理はねぇやな。〉と呟く。一方、銭形は、ダミー人形の頭部を手に〈クソゥ、ルパンの奴、コケにしやがって、オレを~!〉とわめいていた。そこへ、部下が通路に【ミカン】が落ちていたと報告にくる。〈こんなもん、捨てちまえ~!ん?ミカン?〉と、なにやら閃いた銭形。夜が明けても、なお、トラックは走り続けている。車体にしがみついているルパンの腕は、痺れをきたし、限界を迎えていた。一方、銭形は、ミカンの産地が【若松湾】付近であることを突き止める。
  4. 成りすまし男とその仲間は、真っ青な空の下、迎えが待つ島へとボートで辿り着く。〈おばば、じっちゃま、ご覧のとおり上々の品だ。〉と、【王冠】を取り出す成りすまし男ことジンベエ。すると、じっちゃまこと長老が、ボートから伸びるロープに気づく。男たちがロープを引き上げると、ドラム缶がつながっている。〈ンフフフ、やっと着いたようですな。やぁ、皆さんどうもどうも。突然で失礼いたし…〉と姿をみせ、桟橋へあがるルパン三世。と、瞬時に、ジンベエがルパンの胸ぐらをつかみ〈貴様、何モンだ!どっから来た?〉と問い詰める。〈やぁ、どうも。皆さんこんにちは。私はル…、いやあのぅ【石川大介】っていうケチな盗人でございまして。盗みに関しては、ベテラン中のベテランだと感じたので、ぜひ、仲間に入れてもらいたい。〉とすまし顔で答える。すると、ジンベエは〈コソ泥にしては、大した目利きじゃねぇか。〉と銃をルパンの胸元に突きつける。そこへ、おばばが〈お待ち。〉と声をかける。〈スパイだから、構うことない。刑事に違いない、探りを入れられる前にやっちまおう。〉という仲間の男に、島人達も同意する。再び、背中に銃を突きつけられ、命ごいをする石川大介ことルパン。長老は〈やるのはイイが、そう急がなくてもよかろう。どうもこのお人は、刑事のようには思えんのじゃ。〉という。〈ンフフフ、さすが、長老様。〉とゴマをするルパン。こうして、この島がルパンの推察の通り【泥棒島】であると語りだす。周囲では、鳥が〈カーカー〉としきりに鳴いている。
  5. 長老は〈海賊王、バイキングの流れを汲んで何百年も、この島に住み着いて、泥棒家業ただ一筋に世を渡ってきた。いいかね、ワシら一族のその数百年は、厳しい試練の積み重ねだった。あんたが仲間に入りたいと言うんなら、どうかね、一つ試させてもらおうじゃないか。あんたがこの島で耐えていけるかどうか。〉と提案する。ジンベエは〈面白い。どうせ死ぬなら楽しみながらっていうのも、粋なモンだ。やってみるかい、大将。少々、手荒いゲームだがね。〉とルパンの肩に手をのせる。【岩ころび】という、これまで幾人もの命を奪った恐怖のゲームなのだという。
  6. 山の斜面、急勾配の山道を前に、ルパンの両足は、ガクガクと震えていた。ジンベエは〈泥棒は、なんたって運動神経が発達していなくちゃ~ね。〉と言い〈えっ?まぁ、まぁ、そう、そうでございましょうね。〉と、気もそぞろのルパン。〈このゲームをやるんならの話だ。あんたが死にたくなければ、それでいいのさ。〉すると、パラパラと小石がおちてくる。ルパンの頭上には、出番待ちの大きな岩の塊が数十個、積まれていた。〈あれが落ちてきたら、どうするね、あんた。〉とジンベエに聞かれ〈下へ逃げる。〉と応えるルパン。〈じゃぁ、早速、逃げてもらおうか。あの広場まで逃げ切れなかったら、お陀仏だ。〉とナイフで、岩塊を固定していたロープを切る。〈いやっ、ハハァ~〉と、たまらず大ジャンプをして、急斜面を駆けだすルパン。後ろには、何十もの岩が迫ってくる。息つく暇のないかけっこ。ルパンは、先頭の岩に飛び乗り、玉乗りの要領で広場めがけて突っ込んでいく。その後ろからは、ジンベエがサッカーボールの要領で岩を足で転がすように弾みをつけて、追いかけてくる。次の瞬間には、岩の勢いに巻き込まれ、ルパンは〈コロコロ〉と岩と一体になって、転がり落ちていく。ジンベエは満面の笑顔で、岩に片手をついて転がしては、自らの身体を上手くバウンドさせながら、降りてくる。ヘトヘト、ボロボロになりながらも、ルパンは不死身。ジンベエも〈しぶとい奴だ。〉と呟くほどの粘り強さで、広場までたどり着く。這々の体のルパンは、立ち止まった瞬間に、背後から追いついてきた岩につぶされ、下敷きに。ジンベエは、広場に集まった村人たちに被害が出ないように、岩をしっかり静止させ、フィニッシュ〈とうとう、伸びちまいやがったか。〉と笑う。長老は〈とにかく、やり遂げたんだ。殺すこともないじゃろう。〉と言うが、ジンベエは〈だけど、こいつはタダのネズミじゃねぇぜ、じっちゃま。とにかく【地下牢】にでも、放り込んでおきましょう。おぅ、マルケイ!〉呼ばれた男は、ルパンをおぶって連れていく。おばばは〈手当くらいしてやったら、どうなんじゃ。〉と声をかけるが〈このしぶとい野郎は、そう簡単には死にやしねぇよ。ほっときゃいいんだ。〉とマルケイ。石灯篭の向きを変えて地下牢の扉を開け、ルパンを乱暴に放り込む。その様子を木の上にいる【2羽の鳥】が、ジッとみつめている。
  7. 地下牢の外観は、祠のような建物になっていて、二人の男が見張をしている。大鷲のような容姿に、カラスのような鳴き声をもつ鳥(以下、大鷲ガラス)が、木の上で、翼を大きくはためかせている。〈いてててて。ひでぇ、乱暴なゲームもあったもんだぜ。まったく。〉と身体をおこしたルパン。〈さぁ、こんなチャチな牢から抜け出すのは簡単なんだが、どの手でいくかってことだよね。〉と辺りを見回す。しばらくして〈なにか音がした。〉と、見張りの二人が地下牢の中を確認すると、首をくくったルパンのうしろ姿が飛び込んでくる。〈大変だ。やれやれ降ろそうぜ。〉と慌てる見張番。すると〈ウホホホ、イエヘヘヘ、ケケケケケケ…〉と、ルパンの不気味なうめき声が聞こえてくる。こうして、見張りの二人が怯んだ隙をついて、ルパンは二人にパンチをお見舞いし〈しばらく、おとなしくしてなさい。〉と縄で縛る。こうしてルパンは、地下牢から脱出する。
  8. この頃、屋敷では【ジンギスの王冠】を前に、長老たちが仕事の成果に感じ入っていた。
    • ジンベエ:しかし、あの男につけられたのは、ドジだったぜ、まったく。
    • マルケイ:心配することはねぇ。奴は当分動けやしねぇよ。
    • 長老:用心を怠ってはならぬ。これは鉄則じゃ、そうだろう、ジンベエ。
    • ジンベエ:仕事がうまく行き過ぎると、つい、基本を忘れる、第何条でしたかな。
    • 長老:第十五条じゃ。
      『ルパンは、見張り役を次々に倒し、屋敷の前に到達する。』
    • おばば:第九条には、己の技に溺れちゃならん、とあるが…お前は。
    • ジンベエ:岩ころびの一件ですかい。
      『ルパンは【煙突】から、屋敷内への侵入を試みる。』
    • ジンベエ:だが、泥棒には、過保護が一番禁物なんだぜ。なぁ、おばば。別にオレは技を弄んでたわけじゃ。
    • おばば:お前の得意そうな顔にちゃんと出とったわ。くれぐれも、第九条を忘れるでないぞ。
      『難なく暖炉に辿り着いたルパンは、部屋の様子を伺う。』
    • 長老:我々が今日まで滅びなかったのは、みんなあの【盗術書】のおかげだ。あの本に書かれてあるあらゆる方法を使って生き延びてきたんじゃからな。
    • おばば:あの方法だけじゃない。若いもんは、当テクニックに走りよるが、盗人たるものいかに身をすすべきかをまとめた最後の36ヶ条は、一番大事なんじゃ。
      『ルパンは〈なに【盗術書】だって?〉と目を丸くし〈おじいちゃんの書いた本のことだ。〉と気づく。』
    • 長老:それにしても、島の連中にも、もっと厳しくたたき込む必要があるのぅ。
    • おばば:アルセーヌ・ルパンちゅう人は、惚れ惚れするようなお人じゃった。わしゃ、まだ小娘じゃったが、よーく覚えとる。
      『ルパンは〈あーれ、そう。おじいちゃんが書いた本のとおりに盗みをやっていやがったのか。こいつは一番、どんなことをしても取り戻さなくっちゃ。〉と決意する。』
    • 村人:(屋敷のドアが開き)大変だ!警察が来たぞ。
    • ジンベエ:警察?やっぱり、あの男。クソゥ。
    • 長老:すぐ行く。村の連中に知らせるんじゃ。
  9. 屋敷内にいた5人は、一斉に〈ソレッ〉と、屋敷の天井から垂れ下がっている縄に飛びつく。すると、滑車が起動。外観にそぐわぬ華やかな印象の洋式のリビングが、あっという間に、竈に木製のテーブルという素朴な造りの一間に早変わり。皆がいなくなった屋敷の竈から首を出し〈オホッ、なんとも用心深いこった。〉とニヤリと笑うルパン。村の人々は、〈警察が来た〉の一報で、ロープを引っ張り、住まいを〈豪華な洋室から粗末な小屋風の一間〉へと、180度クルリと変換させていく。
  10. 島の駐在を伴って現れた銭形警部を長老たちが出迎える。
    • おばば:一体、なにごとじゃが。
    • 銭形:実は、ルパン三世を追ってきたら、どうやら、この辺りに立ち回った形跡があるんだ。
    • 長老:ルパン三世?名前だけは知っちゅうが、なんでも警視庁を赤子の如く、翻弄しとるっちゅう、大泥棒のこったろう?(と、皮肉る。)
    • おばば:そいつはきっと、しびれるようなグッとくる男じゃろうて。一目お目にかかってみたいもんじゃ。(と、愛想よくふるまう。)
      銭形は内ポケットから写真を取り出す。キザなポーズをとるルパン三世
    • 一同:あぁ!こ、こいつは。(と、目を丸くする。)
    • 銭形:(間髪置かずに)あんたたちは、知っているのか。
    • 長老:いやいや、知らねぇよ。ただ、写真ってものは、この村じゃ珍しいもんで、ついその…。
    • 銭形:どうも、臭いぞ。念のため、調べさせてもらう。
    • 長老:そうですかい。そしたら、気のすむまでどうぞ探しておくんなさい。(と、笑顔で応じる。)
  11. 銭形は、村中の家をしらみつぶしに調べていく。小屋に入るなり〈くせぇー。〉と一言。茣蓙の下やツボ(肥溜め)の蓋を開けては、息をこらえている。
    • マルケイ:あの野郎がルパン三世だったとは、いささか、おったまげたね。
    • ジンベエ:奴は、俺たちに復讐にきたに違いねぇ。
    • おばば:心配することはねぇ。刑事が帰ったら、ゆっくり始末すりゃええんだ。
    • 銭形:(夕暮れとき)ルパンは見つからんかった。(と埃を払いながら、長老に近づくと)だが、島の中に必ずいるはずだ。どんなことをしても見つけ出す!とにかく、もう日が落ちるし、今夜はここに泊めてもらおう。
    • おばば:ええとも、わしら警察に協力を惜しまんのじゃ。マルケイ、だんなを小屋に案内しておあげ。
    • 駐在:1人で大丈夫ですか。(と心配する。)
    • 銭形:君は先に帰っていい。心配ない、なにかあったら、あれ(無線)で連絡する。
    • マルケイ:どうぞごゆっくり。
    • 銭形:(通された小屋で)ウォッホン(と咳込み)今晩だけの辛抱だ。(と堪えて、茣蓙にゴロンと寝転がる。)
  12. 〈やぁ、警部殿。〉その声は…とすぐさま反応し、起き上がる銭形警部。
    • ルパン:ディスカバージャパン泥棒島観光巡りってわけですかな。ねぇ、銭形警部、結構なご身分ですね。
    • 銭形:ルパンどこにいる!出てくるんだ。(と激しく茣蓙を返す。)
    • ルパン:そう、慌てんなよ、とっつぁん。あんたに捕まる前にぜひとも見せたいものがあるんだよ。まぁ、落ち着きなさいって。
    • 銭形:クソゥ。俺様をバカにすると!
    • ルパン:オレを捕まえたいんなら、天井見てみな。ほら、ロープが下がってる。そのロープに思いっきり飛びついて、引っ張るんだよ。
    • 銭形:(〈それっ〉とロープに飛びつくと、あら不思議くるりと180度、洋風の素敵なリビングが露わに。)あっ、あれは!(テーブルの上には、盗まれたはずの王冠が鎮座している。)盗まれた王冠だ!あっ、この名画も、時計も、この像も。こいつは一体どういうこった?
    • ルパン:盗品の山をよく見たかね。オレの名を騙って、手当たり次第、盗みをやっていたのは、この島の連中なのさ。(と、銭形の前に姿を現す。)
    • 銭形:あぁ、ルパン。貴様!
    • ルパン:えぇ、驚いたかい、銭形さん。だが、見せ物はこれでおしまいだ。(と、再びロープを引っ張り、銭形もろとも180度ひっくり返って、もとの小汚い一間に戻す。)ハハ、銭形のとっつぁんよ、悪く思わんでくれ。オレの借りはオレが返す。これが【泥棒の仁義】ってもんなんだ。
  13. 翌朝、銭形警部ことルパン(以下、銭パン)が島の鐘をカンカン鳴らしている。ぞろぞろと起きてきた村人たち。
    • 銭パン:集まれー!
    • 村人たち:うるせぇな、朝っぱらから。
    • 銭パン:つべこべ文句をいうな!いいか、オレは警視庁の鬼、警部銭形だ。あぁ、ここにアルセーヌ・ルパンが書いた本がある。隠しても調べはついてるんだ。その本をここに出すんだ。
    • おばば:とんでもない、そんな本ちぃーっとも。
    • 銭パン:(話を遮るように)なにぃ~?嘘をつけ。ルパンもその本を狙っとるんだ。
    • 村人A:しかし、妙だな。なんであんたがそんなことを知っとるんだよ。
    • 銭パン:ルパン三世の予告状だ。(と、胸元から紙を取り出し渡す。)
    • ジンベエ:【この島に保有されたアルセーヌ・ルパンの〈盗術書〉を本日、頂戴に参上。ルパン三世  島の御一同様 ジンベエに告ぐ。お前のようなヤツをおじいちゃんの名誉を守るために、けちょんぱに叩き潰してやる】(と、予告状を読み終えると、すぐさま、地下牢に向けて走り出すやいなや)逃げられた!(と、きびすを返し戻ってくる。)
    • 銭パン:どうだ、協力するか?協力すれば、お前たちのこと、大目に見てやっていいんだぞ。調べれば、色々と埃が出るんじゃないのか!
    • おばば:しょうがないのぅ。本はあの祠の中じゃ。
    • 銭パン:なに。あの祠に?⦅「そうだったのか、クソゥ。」とルパンの心の声。祠の扉を開き、盗術書が祀られているのを確認すると⦆いや諸君、協力ありがとう。では、ルパンを誘い込むために、この辺りに身を隠してもらおう。
    • おばば:ほれほれ。(と村人たちは、祠の周囲に身を隠す。)
    • 銭パン:いいか、絶対祠から目を離すなよ。
    • ジンベエ:島の者、全部で見張ってりゃぁ、ルパンもそう簡単には動けまい。
      『銭形ことルパンは、悠々と煙草をくゆらせ、寝転がっている。太陽が天高く昇った頃』
    • ジンベエ:ルパンの奴、俺をコケにしやがって。えー?(祠の方に目をやると、地下牢から煙が出ている。爆発とともに、祠の周辺が煙に包まれる。)
      『銭パンは駆け出し、その後にジンベエも続く。祠の中は、もぬけの殻。盗術書も消えている。』
    • 銭パン:やられた、ルパンだ!
    • ジンベエ:ふざけやがって、あの野郎!タダじゃおかねぇぞ。みんな、くるんだ、逃がすな!(と、ジンベエに続いて村人たちが、ボートを追跡するために駆け出していく。)
  14. ルパンが操縦していると思しき1艘のボートに続いて、3艘のボートが後を追い、海原へ飛び出していく。銭パンは、崖の上から高みの見物。祖父の遺品の盗術書を手に〈へぇ、ちょろいもんだ。チュー(と、本に口づけ)。おじいちゃん、どんなにテクニックが上手くっても、要は(頭部を指さし)ここ次第ってことだよね。ばぁ(と、銭形のマスクを脱ぎ、ルパン三世に戻る)。銃を片手に、ルパンを追跡中のジンベエは、ボートにルパンがいないことに気づく。〈あー、いない。しまったー!リモコンだ。奴の話術に引っかかった。〉その頃、ルパンは島を脱出しようと、走り出すが、島を囲むように、警察の船が何隻も現れるのをみて〈クソゥ、銭形のヤツめ。さーすが!〉と、ルパンは少し嬉しそうな表情で、きびすを返す。
  15. 祠の近くまで戻ると、ジンベエをはじめとする村人たちが、武器を片手に待ち受けていた。〈とうとう捕まえたぞ、ルパン三世。まんまとトリックに引っ掛けやがって。さすがは、アルセーヌ・ルパンの孫だ。だが、もうその手には乗らねぇぞ。さぁ、もう一度勝負だ!〉とジンベエ。ルパンは【大鷲カラス】がくつろぐ木にもたれかかり、〈ピョンッ〉とジャンプすると、ナイフを取り出し、木に固定していたロープを切り、予め、大鷲カラスの足に括りつけておいたロープを掴んで、鳥とともに空へと舞いあがる。すぐさま、ジンベエは銃弾を浴びせるが、ルパンは拳銃を目がけてナイフを投げ、手にした銃をはじく。そこへ警官が拡声器で〈みんな武器を捨てろ、君たちは包囲されている。〉と呼びかけると、わんさかと警官たちがやってくる。〈あばよ、んー?〉と地上に目を向けると、ルパン目指して追いかけてくる銭形の姿が!〈待て~、ルパン降りてこい!覚えてろー、あぁ。クソゥ、ルパンめ、来週こそ、捕まえてやるからな。〉〈ほんじゃ、これにて。バイバイ!あらっ。〉と、ルパンの手からするりと【盗術書】が滑り、海へ落ちていくというオチ。おしまい。

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 ◆こうゆづ的*第二十話の№1シーン

 №1シーン…どうなんでしょう。第20話は、珍しくこれだ!という、推しのシーンが決まらず、戸惑ってしまいました。ルパンの行動を赤字(太字)で示してみましたが、本作のルパンは、初代アルセーヌ・ルパンに敬意を表してか【正攻法】で、敵に揺さぶりをかけていきます。【目には目を歯には歯を、不届き者を成敗してくれるわ!】といったところでしょうか。

ルパン三世という人物は、三代目であることに非常に誇りをもっていますね。血筋に対する敬意をヒシヒシと感じます。泥棒家業に対しての矜持は、一貫していて、ブレることがありません。今作では、以下の台詞に見ることができます。

  • チッキショウ。オレの名を騙るなんてふざけた野郎だ。だけっどもよ、予告状といい、盗みの手口といい、オレにまぁそっくりだ。一体、何者なんだ?これじゃ、銭形のとっつぁんがオレの仕事だと【錯覚】するのも無理はねぇやな。
  • こんなチャチな牢から抜け出すのは簡単なんだが、【どの手でいくか】ってことだよね。
  • おじいちゃんが書いた本のとおりに盗みをやっていやがったのか。こいつは【どんなことをしても】取り戻さなくっちゃ。
  • オレの借りは、オレが返す。これが【泥棒の仁義】ってもんなんだ。
  • へぇ、ちょろいもんだ。チュー(と、本に口づけ)。おじいちゃん、どんなにテクニックが上手くっても、要は(頭部を指さし)【ここ次第】ってことだよね。

今作では、これらの台詞に、ルパンの傾向と対策が現れていそうです。それにしても、元祖ルパンを騙るニセルパンを追跡するのに、車体にしがみついて耐えるなど、誰が想像したでしょうか。こういったなりふり構わず、限界に挑むシーンは、今までにも登場しています。特に印象的なのは、第4話で銭形に屈辱を味合わせるために1年間待ち続ける場面、第10話の銀狐の時計塔に忍び込む場面などでしょうか。己の誇りを勝ち取るために、とことんやり尽くす根気強さは、ルパンの魅力です!

また、最後の台詞では、前作(第19話)で、ガニマール警部と対面し挨拶をするシーンを想起します。血縁に甘んじて策に溺れるのではなく、その時々の状況を読んで、柔軟に計画を変える知恵、頭の良さ【才能】を重視するルパンの姿勢が、ここでも協調されています。気高さは、ルパンの生き様そのものなのでしょう。

けれど、こういったルパン三世の姿は、今までのルパンの姿勢を強調するものであって、ドキドキワクワクといった意外性は、かなり控えめ。岩ころびのシーンは、本作の見どころであると言えるのかもしれませんが、成り行き任せの感じが否めません。ルパンの戦略と言うより、相手の出方をみている場面。個人的には、あまり心に響かないシーンです。

敵キャラの中では、おばばの台詞が一番、面白い。二重人格的な性質が、ツボです。ルパンの命や怪我を心配するような優しさをもっているかと思えば、シレッと後で片づければいい…と、掌を返したような発言をしたり…また、大事な盗術書の在りかをあっさりと教えてしまうところに、ちょっとした驚きを感じます。

さらには、初代アルセーヌ・ルパンには、イイ男縛りで関心があるようなのに、その孫であるルパン三世の顔も知らないというのも、なんだか腑に落ちない。コメディとホラーが入り混じった分裂気味な台詞の数々。狙いの意図が、いまいちつかめません。

ところで、あらすじ2で、銭形が〈ロープを切れ。〉と指示する場面。銭形のキャラクターに、違和感ありありなのは、私だけでしょうか。うーん。これは、ギャグだと受け取ればよいのでしょうか。銭形警部って、ルパンに対して、こんな風に投げやりな仕事(親愛表現)をする質でしたかしらん。アニメ序盤で、主要キャラである銭形警部の描き方に、引っ掛かりを覚えるという落とし穴。故に、最後まで作品にグッと入り込めない感じがあります。

このように、今作は、それぞれのキャラクターの性質が【散漫】している!と、言い切りたい。【泥棒島】というアイデアありきで、内容はグダグダ。ルパンの仲間たちが出演しないという潔い挑戦には、敬意を表しますが、個人的には、モヤッとする第20話。最後も、祖父の遺品を海に落とすというオチに、どれだけの効果があり、なにを狙ったものなのか…。うーん、やはりスッキリしない…。

ルパン三世は、次元・五ヱ門・不二子と言った個性的な面々がいてこそ、ルパンの【非凡さ】が光るということを、この作品は、教訓としての鋭さを示し、気づかせてくれる…そういう意味では、成功と言える作品なのかもしれません。

というわけで、今作の№1シーンは、選べませんでした…という、まさかのオチです。次回は、ルパン二世の元相棒とその娘…の物語。カワイ子ちゃんには弱いけど…カワイイジャジャ馬娘の扱いはいかに?ご期待くださいませ。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

Kohyuzu(こうゆづ☆)