こうゆづ☆の【とおまわり】

令和元年12月に、ブログタイトルを変更しました。心の動くままに、とっちらかったテーマで書いています。

ルパン三世 FIRST TV『015:ルパンを捕まえてヨーロッパへ行こう!』勝つのはルパンかとっつぁんか?

ご訪問ありがとうございます。こうゆづ☆です。ルパン三世のテレビシリーズを第一話から見直して、ただ感想を書くというだけの試みの15回目。クレジット表記に変更はないけれど、大隅・大塚コンビから高畑・宮崎コンビ(Aプロダクション)のディレクションへと交代していく流れになっています。

今作は、ルパンと銭形警部の鬼ごっこの回。ストーリーのシンプルな展開、明快さが心地よい作品です。そして、とっつぁんの上司、警視総監がはじめて登場します。第14話の乗船名簿で、銭形警部のフルネームは〈銭形平次〉しかも、〈7代目〉であることが判明。由緒正しき血筋のサラブレッド警部であったわけです。◯代目…同士の駆け引き、なにやら因縁めいたものを感じます。それでは、本日もルパンとその仲間たちに会いにいってみよ~!

 

第十五話『ルパンを捕まえてヨーロッパへ行こう』(1972年1月30日放映 / 脚本:松岡 清治)

〈登場人物〉ルパン・次元大介峰不二子・銭形警部とその部下・金満・警視総監

あらすじ(1~13)

冒頭、警視総監に呼び出された銭形警部が登場。ヨーロッパで開催される世界警察会議、欧米の一流警官との研究交換会への出席を命じられる。しかし、銭形はルパンの予告状が気になる様子。ルパンの狙うお宝は、金満邸にある時価3億円の黄金に輝く【胸像】。他の者に、ルパン逮捕の指揮をとらせるという総監に〈ダメです!総監は恐らく、ルパン逮捕の指揮を他の者にやらせたいようですが、私は交代しませんよ。断固、交代しません。〉と話す。〈ヨーロッパの会議はどうするんじゃ?〉という総監に〈それも私が行きます。ルパンを捕まえた後に、私が行かせてもらいます。〉と日本を発つ前に、ルパンを必ず逮捕すると意気込む。そのやり取りを双眼鏡で見物していたルパンと次元。〈銭形のヤツ、えらくハッスルしてるな。何をしゃべってるんだ。〉と次元。〈ヤツの唇を読んだところでは、【ルパンを捕まえてヨーロッパに行きたい。】〉とルパン。〈こいつは、おもしれぇ。〉と笑う。 

  1. 【シュポッ。】葉巻に火をつける金満。ライターは、自画像をかたどってある。〈頼んますぞ、銭形さん。あの胸像は、ワシの名が万国紳士録に載った記念につくらせた大事なモンですからな。〉〈ご安心ください。いいか、今夜こそルパンを捕まえるんだ。ぬかるなよ。〉と、部下に指示を出す銭形警部。金満邸に忍び込んだルパン・次元・不二子・五ヱ門の4人は、土蔵の中のマントルピース上にある胸像を目指す。切り込み隊長【おとり】は、次元。すぐさまライトで照らされ、警官に追われる。その間に他の3人は散らばり、それぞれの場所から忍び込む。ルパンは、爆弾装置を壁にとりつけ爆破するが、壁は爆弾よけの【特殊金属板】に阻まれ侵入することができない。〈こんにゃろめー〉と金属板を蹴るルパン。しかし、そこには【高圧電流】が流れていた。不二子は小型ナイフ、五ヱ門は斬鉄剣を突き立て、侵入経路を作ろうとするが【防弾ガラス】に阻まれて突破できない。〈いまだ!つかまえろ!〉と銭形の声。ルパンは電流が流れる靴を脱いで、裸足で逃げ出す。塀を乗り越えた瞬間、消えてしまったルパン。降りた場所には穴が開いていた。〈掴まれ、ルパン。〉と、次元に救い出されて、這々の体で逃走する。
  2. 〈あぁ、ヤバかったなぁ。〉とルパン。次元は〈どういうことなんだ、これは。前もってちゃんと調査したのか!〉と声を荒げる。〈そりゃ、つまり銭形がオレの手口をよく研究してたってこったよ。残念ながら…。〉というルパンに、なおも〈違う!お前の作戦が強引過ぎたんだ。つまり、銭形を侮りすぎた!〉と迫る。〈わかったよ。そうイジメるなって。おぉ、いてぇっ〉と、膝を抱えるルパン。一方、ルパンを万全な体制で迎えいれながら、まんまと逃げられてしまった銭形は〈バカもん!なんというふがいなさだ。なんというだらしなさか、あそこまでして、取り逃がすとは!〉と憤る。〈わっしの胸像は無事でしたかの!あぁー、えがった。〉と安心する金満に、〈よくありません!本当によかったといえるのは、ルパンを逮捕した後のことです。〉と応じる銭形。
  3. 【リリリーン♬】と、金満邸の電話が鳴る。〈どうした、ルパンは捕まえたか?〉と警視総監。〈それが惜しいところで逃げられてしまいまして…(モジモジと)まったくもう、【ほんのちょい、ほんのちょい】というところで、失敗したのでありまして…〉と報告する銭形。〈何が【ちょいちょい】だ。ワシはもうこれ以上待てんぞ!〉という総監に〈そこをなんとか、もう一晩だけ。いえ、それがもしダメだったときには、そのときこそ…はい、はい…〉と、冷汗を浮かべて電話を切る。金満は〈ルパンはホントに、明日の夜もくるじゃろか。〉と声をかける。〈来ます!はっきり予告しているんです。〉〈でも、明晩はお休みして、明後日の晩に来るとか。〉という金満に〈いやぁ、明日の晩、必ず来ます。そんなヤツだ。ルパンというヤツは…〉と銭形は即答する。
  4. 金満邸上空をヘリから偵察するルパンと不二子。〈バカめ、何度偵察しても同じことだ。この屋敷の周りには、アリの這い入る穴ひとつないわ。〉とそこへ、部下が〈警部、塀の外に穴が開いています。〉と報告にやってくる。そこには、昨夜ルパンが逃走するときに落ちた穴が。金満によると、この穴は、戦争中に掘った防空壕のひとつで、胸像が置いてあるマントルピースの下まで伸びているという。〈アッチャー〉とすぐさま走り出す銭形。そして、自ら、マントルピース下から穴の中を駆けて、抜け穴の確認をする。〈イヒャハハハハハハ。こいつはいいや!〉と笑う銭形。
  5. 一方、アジトでは、4人そろって、改めて作戦を練っていた。しかし、ヘリ上空から撮影した写真には、超厳重な警戒体制が映し出されるばかり。唯一、突破できそうな【抜け穴】を見つけるが、罠ではないかと、お手上げ状態のルパンたち。そこへ、不二子が、厳重警戒を解く一つだけいい方法があると提案する。それは、ルパンが逮捕されること。その案に、いいアイデアだと乗っかりながら、ルパンは〈まぁ、しばらく様子見ようぜ…〉と、仲間3人をアジトに残して出かけていく。
  6. 金満邸では、銭形警部が〈逮捕or逃がす、逮捕or逃がす、逮捕・逮捕・逮捕・逮捕!〉と花びらをちぎりながら〈来るなら来い!ンンン…〉とルパンの侵入を、待ちわびていた。そこへ部下が〈警部、あのぅ~。〉とやってくる。〈ルパンか!〉と目を輝かせる銭形。金満邸の塀の外にやってくると、【酔っぱらいの男】が、なにやら暴れて居座っている。〈【へべれけ】です。手が付けられないのであります。〉と報告する部下に〈この忙しいときに。連れていけ!酔いが醒めるまでぶち込んでおけ!〉と銭形。〈酔いが醒めたら出してやるよ!〉と檻に入れられた【酔っぱらい】ことルパン。そして、檻の柵に【ある仕掛け】を施す。
  7. 再び、アジト。〈もう夕方だってのに、ルパンのヤツはどこにいっちまたんだ。〉と次元。そこへ、敵の状態を探ってきたと、ルパンが戻ってくる。調べたところ、抜け穴は、罠ではなさそうだという。やはり突破口は【穴】。ここから侵入することを告げ、準備をして待ち構えていた次元を、トラック運転手に任命、作戦に出る。

    次元は、大型トラックを運転し、金満邸の塀の外で止まる。〈そんなところに停めちゃダメじゃないか。〉と警官。〈なに言ってるんですよ。困るのはこっちですよ。みてください、これを。なんでこんな【穴ぼこ】ほっとくんですかい。〉と次元。〈まずいな。おいっ、手伝ってやれ。〉と、警官たちは協力して、脱輪したトラックを引き上げる。〈これでいいだろう、さぁ、早くあっち行ってくれ。〉ところが、今度は、エンジンがかからない。〈困るな、ここに停められちゃ困るんだ。〉という警官に、〈そんじゃ、その先のところまで押してくれませんか。〉と頼む。

    次元が警官を引きつけている間に、茂みから飛び出したルパンは、防空壕の穴へ忍び込む。月夜の晩、穴から空を見上げて〈イイお月様〉と呟くルパン。木の上から、不二子が見守っている。

    トラックのエンジンがかかるまで、警官たちは力を合わせて、次元の乗ったトラックを押し続ける。〈もっと強くだってよ~〉と、そのとき〈…あぁ、かかった…〉と、動き出したトラック。だが、今度は、勢い余って金満邸の【門】に突っ込んでしまう。

  8. 金満邸では、銭形が〈遅い!〉と時計をみつめ、ヤキモキしている。ウトウトしていた金満は目を開けて〈遅いですな。今晩は、やっぱりお休みするんじゃねぇんすか。〉と応じる。〈いや、もうひょっとしたら、足元まで来てるかもしれません。〉と、意味深に微笑む銭形。その声にルパンは〈ギクリ〉と首をすくめる。そこへ〈大変です、警部!大型トラックが【門】に衝突したんです。〉とやってくる。〈なんですと!〉と立ち上がる金満。〈バカ!こんな大事なときに一体、何をやっているんだ。早く処理しろ。〉と部下に指示する銭形。ところが、金満は〈あの【門】は、1千万円もかけた【門】ですぞ!〉と部屋を飛び出していく。〈あぁ、なんてこったい…〉と、銭形もその後を追う。誰もいなくなった部屋で、ルパンは1人マントルピースから顔を出し、〈ギヒヒ〉と笑う。
  9. 〈ありゃぁ~、ワシの大事な門が…〉と頭を抱える金満。一部始終を観察していた不二子は、木の傍に走っている電線を切断。一瞬にして、金満邸は【暗闇】に包まれる。〈いまだ!〉と、ルパンは飛び出し〈嫌な面だが、時価三億円のシロもんだ〉と、胸像を台座からはずした瞬間に、照明が点灯する。〈自家発電?それも、考えなかったわけじゃない〉とルパン。銭形は【門の前】でニヤリと笑う。〈胸像が盗まれた~!〉と、屋敷にむかって走り出す金満。銭形は、笑った顔を崩さずに、その後に続く。その様子を運転席からみていた次元は〈あぁ~?なんだか雲行きが怪しくなってきたぜ…〉と呟く。
  10. 金満像を背負って、穴の中を進むルパン。満月を望み〈さぁ、出口に着いたぜ、おっさんよ。〉と黄金像に話しかけ、出口に向かって登り始めた瞬間に、柵状の蓋がカシャンとおりる。その蓋の上には、満面の笑みを浮かべた銭形の姿が…〈クソゥ~!〉と、悔しがるルパン。

    〈見事に、引っ掛かってくれたなルパン。フハハハハハ。ンンハハハハハ、ウワッハハハハハ〉と、地面をたたいたり、飛びはねたり、歓びを爆発させる銭形。【ルパンを捕まえてヨーロッパに行こう!】と、視聴者目線で話す。

    次元は〈チェッ。やばいぜ、こりゃ。〉と、すかさずトラックのエンジンをかけ走り去る。

  11. ルパンを檻に放り込み〈これで、オレの実力が分かったろう!あの穴を埋めずにおいたところが、オレの頭のいいところさ。〉と胸を張る銭形。〈クソゥ~!〉とルパン。〈じゃーね、次はヨーロッパ!(よぅろっツバ…とを飛ばす)〉と、上機嫌の銭形は、嬉しさが止まらないまま、出ていく。〈だせ、出せ、出しやがれ~(ダジャレ~とも聞こえる)。だしてくれ~。おーい、出してくれよ!フンッ。ちょっと困った顔をすると、すぐ【アレ】だい。こっちの方が数倍頭がイイってことを忘れやがってぇ。〉とルパン。そうして、あらかじめ、檻の柵に仕込んでおいた【仕掛け】を外す。

    警察内は、ルパン逮捕に沸いていた。銭形警部を拍手をもって迎える警官たち。意気揚々と、花道を歩く銭形。警視総監室を訪れ〈ご報告いたします!銭形警部、お約束通り、ルパンを逮捕いたしました!〉と敬礼する。

    〈おぉ、出かしたぞ!銭形君、本当にご苦労じゃった〉と、警視総監は銭形の手をとり喜ぶ。〈いやぁ~、よくやった、よくやってくれた。君は警視庁の誇りじゃよ。ホィッ、銭形君〉とそこには、【銭形君、ルパン逮捕おめでとう。敢闘を祝す。内閣総理大臣】というお言葉が!そこへ、テレビ・報道関係の記者がなだれ込んでくる。ルパン逮捕の知らせは、すぐに新聞に掲載され、感涙にむせぶ銭形。

  12. その頃、アジトではルパンが逮捕され、計画は頓挫。3人は途方に暮れていた。すると扉が開き、ルパンが余裕しゃくしゃくの表情で戻ってくる。次なる目的地は【空港】。銭形を見送りに行くという。

     【JAPAN DROP AIR LINE】空港で警視総監はじめとする仲間たちに祝福され、見送られる銭形。〈いやぁ、よかったな銭形君。ルパンを逮捕できて。ゆっくりヨーロッパ美人を眺めてくるんだぞ。金満邸の方は、警備を解いたようだが、大丈夫だろうな。〉と警視総監。銭形は〈はいっ。次の手はうってありますから…。胸像は、警視庁の金庫に保管することにしました〉と応じる。その様子を双眼鏡で眺めていたルパンたち〈おかげで、また仕事の手間が省けちゃった〉と、笑う。

  13. 感慨深げに、飛行機の窓から外を眺める銭形。銭形の似顔絵に【万才!】と描かれたカードを手に、部下たちが整列し見送っている。その部下たちの1mほど先には、ルパン一味の姿が。銭形は目を閉じ、リラックスの体制に入ろうとして…再び、窓に顔をつけて外を見る。すると、目に映ったのはルパンたち!

    〈とめろ、とめろ!〉と、シートベルトを外す銭形。〈飛行機をとめろ~、俺は降りるぞ!〉と騒ぐ。〈お客様、離陸中ですのでお席におつき下さい。〉とCA。再び〈お席におつき下さい。〉と促され、〈クソゥ、もう頼まん、俺は降りるぞ。〉と入った先はトイレ。〈ルパンめぇ~。クソゥ、この敵はきっと取ってやるぞ!【EMPLOY / 使用中】〉

    こうして、銭形警部を見送ったルパンたち。警官と警護車に扮装した後、金満邸へ向かい、堂々と黄金の胸像を手に入れると、愛車【ベンツSSK】で悠々と走り去っていくのでした。空には…航空機が…遠く、遠くへと…飛び立っていくのでありました。おしまい。 

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こうゆづ的*第十五話の№1シーン

ルパン一味(ルパン・次元・不二子・五ヱ門)の4人全員VS銭形警部という分かりやすい構図で、勝負に挑む本作品。なんといっても台詞の掛け合いが魅力的です。今回の№1は、特定のシーンではなく、キャラクターの個性が光る【会話】のやり取りそのものを、マルッと推したいと思います。銭形警部のルパン逮捕にかける熱烈な想いも、十分すぎるほどに伝わってくる本作。また、今回の銭形警部は、やり手。かなり周到に、厳重警戒で準備を固めていきます。

ルパンたちの計画が【ルパン生贄】作戦であったとはいえ、銭形は宣言どおり、見事にルパンを拘束します。【穴】への目のつけどころも楽しい。銭形は、野生的な直感が非常に優れている人物。けれど、その直感をなかなか実践で活用できないもどかしさがあり、一視聴者である私は、ハラハラします。そして、いつも、やっぱり詰めが甘い。

今作では、厳重警戒が功を奏して、銭形の予測どおりに、事がうまく運び過ぎました。普段は【ルパンの変装】に対し、警戒心むき出しの姿勢で挑むのに、今回は完全にスルー、手薄になってしまいました。肝心なところで抜けてしまう感じが、銭形警部の良さでもあるのですが…ねぇ…。

また、意外にも、ルパンたちにとって、銭形警部は【手強い敏腕警部】であることがうかがえる台詞を、随所に見いだすことができます。作戦を練る段階で、ポロリともらす本音がユニークな作品です。以下に、ルパンたちの会話をまとめてみました。たっぷり、お楽しみくださいませ。

ヘリで金満邸を偵察した直後に、アジトで作戦を練る場面

  • 次元:〈なんだいこりゃ。えぇ?警官だらけじゃねぇか。〉
  • 五ヱ門:〈フンッ。銭形流人海戦術だな。〉
  • 不二子:〈おまけに、防弾ガラスと鋼鉄板で家中が囲われているわ。〉
  • ルパン:〈そして高圧電流でビリビリって、よくできてるねぇ。〉
  • 次元:〈どうするんだ、ルパン。〉
  • ルパン:〈いや、それを今、考えているのよ。〉
  • 次元:〈一度、ケチがついた仕事だ。この際やめるか?〉
  • ルパン:〈やめちゃうか~。バカ~!このルパン様、予告した仕事を一度もやめたことはねぇ。〉
  • 次元:〈でもな、それもやれる裏付けがあってのことだろう。〉
  • ルパン:〈時価数億円の金の塊だ!と騒いだのはどこのどいつだっけ?あきらめんのかい、次元ちゃん。〉
  • 次元:〈チッ、銭形。あいつさえいなければ!こんなバカなマネするヤツは、いやしねぇんだ!カ~ッ。〉と、舌をペロリと出して写ったカメラ目線の銭形の写真を、机に叩きつける。
  • 不二子:〈ルパン、銭形を追い払う手がひとつだけあるわ。あなたが捕まるのよ、銭形に。〉と提案する。
  • 次元:〈そりゃイイ。おめぇが捕まれば、銭形はヨーロッパに行ってしまうぜ。〉
  • ルパン:〈なるほどね、オレ一人を抜け者にしようっていうわけ。悪くない考えだ!しかし、これ見てよ。〉
  • 次元:〈さっきの写真じゃねぇか。(ルパンが昨夜、落ちた穴から点状に、屋敷内に線が伸びているのをみて)現像のミスでできたシミじゃないか?〉だが、他の写真にも点状の線が【磁気カメラ】で撮った写真にだけ、映し出されている。
  • 五ヱ門:〈抜け穴…。〉
  • ルパン:〈ズバリだ!オレもそう睨んだ。(電流にも、金属板にもぶち当たらずに…胸像の下まで行けるかもしれない。)だが、こいつはやめといた方がいいな。罠だよ、銭形の眼だって節穴じゃないぜ。こんなでっかいボロ、見逃がすはずがねぇ。〉
  • 次元:〈でもよ。弘法も筆の誤り、猿も木から落ちるとか。〉
  • ルパン:〈まぁ、焦ることはねぇや。もう少し様子を見ようぜ。〉と出ていく。

酔っぱらいに変装したルパンが敵情視察後、アジトで作戦を話す場面 

  • ルパン:〈敵の状態、探ってきたよ。今晩この穴から潜入する。〉
  • 次元:〈やるか、やっぱり!(と嬉しそう)〉
  • 不二子:〈でもその穴は…。ルパン?〉
  • 五ヱ門:〈敵の罠と知ってか。〉
  • ルパン:〈罠じゃねぇんだよ。それを確かめてきたのさ。だけど…〉
  • 次元:〈そーれ、みろ。俺の言う通りだ。そんなことだろうと用意しといたんだ。(と、照明付きのヘルメットをかぶり)見ろ、掘削機。トンネル掘りの道具ひと揃いだ。〉
  • ルパン:〈手回しイイね。しかし、おれの計画じゃ、お前はトラックを運転するんだ。〉
  • 次元:〈なに、やっぱりそう…。〉と、一瞬うなだれる次元。だが、ヘルメットの下には、業者のキャップを被っていた。そして、ニヤリと笑う。
  • 不二子:〈ルパン、銭形は甘くないわよ。〉
  • ルパン:〈万に一にも可能性があるなら、実行するってのがオレたちの主義じゃねぇのか、不二子ちゃん。〉
  • 五ヱ門:〈虎穴に入らずんば虎子を得ずか…〉
  • 不二子:〈わかったわ、やりましょう。〉

逮捕されたはずのルパンが脱獄し、アジトに戻ってくる場面

  • 次元:〈だから、いわないこっちゃないんだよ。あれほどオレが罠だからやめとけって念をおしたのに。ルパンのヤツは。〉
  • ルパン:〈そうだったかしらー。〉と、扉をあけて入ってくる。
  • 不二子:〈ルパン!〉
  • 次元:〈ルパン、お前一体どうやって!〉
  • ルパン:〈ハハァ。俺だってバカじゃないさ、開けてみな。〉
  • 次元:〈おぅ、これは!〉
  • ルパン:〈オレが苦心の作、脱獄用7つ道具さ。〉
  • 次元:〈じゃ、お前は…はじめから銭形に捕まるつもりで。〉
  • ルパン:〈不二子がヒントをくれたのさ。そうすれば、銭形がいなくなるってな。(と、不二子の肩を引き寄せる。)さぁ、行こうぜ!〉
  • 次元:〈おい、どこへ!〉
  • ルパン:〈決まってるわな。空港へ銭形のお見送り。〉

最後の会話のシーンでは、まさかの五ヱ門の台詞がないという…どんだけ寡黙なんだ!ルパンたち4人の関係は【ルパンが主導権を握り、次元が合いの手を入れる】というパターンが通常運行のようです。ここで取り上げたアジトでの会話以外に【あらすじ2】で、次元がルパンの作戦を咎めるシーンがあります。

個人的には、この時の次元の仕事に対する真剣さというか、生真面目ぶりというか…、まっすぐな感情表現、ちょっと小姑っぽい非難めいた口調に萌えます。あえて決めるとしたならば、この次元の台詞がこうゆづ的№1です。

今回のお宝である黄金の胸像は、金満の所有物です。金満本人も度々登場していますが、顔面の存在感のわりに、性格は非常に穏やかで、のんびりしている印象。胸像やライターに、自己愛・自己顕示欲的なものをみてとれますが、敵役としては、稀に見る【人の良さ】があり、方言も手伝って、ほのぼのしてしまいます。やはり、今回の敵は銭形警部であって【泥棒VS警官】の駆け引きを純粋に楽しむ作品である、といえそうです。

おわりに

最後に、お宝を手にして【ベンツSSK】が走り去る場面は、作画枚数をたっぷり割いた制作側のこだわりのシーンだそうです。車に疎い私には、正直、よく分からないのですが、ルパンたち登場人物が愛用するものには、古き良き時代の〈持ちものを大切にする〉信条と夢がたっぷり詰まっている。所有物、小物遣いの細やかさが嬉しい作品の1つです。

ちなみに、【愛着】といえば…ルパン三世のシリーズ中で、最も驚いたのは、次元の【帽子】にこめられた秘密…です。厄介な【オーダー品】であったというまさかの事実。五ヱ門の斬鉄剣に引けをとらない次元の拘りをみて、静かな笑いがこみあげてきたのを、今でもよく覚えています。Secondシリーズ第152話『次元と帽子と拳銃と』です。今なら、YouTubeで公式ページが無料です。検索して、ぜひ、視聴してみてください。

それにしても、今回の五ヱ門。ビックリするほど【存在感】なかったなぁ。会話の中で、物事の本質を突く故事を挟んでくるところは、さすがは五ヱ門。無駄口を叩かない寡黙キャラを端的に、表現してはいるものの、4人全員が集合した仕事だったのに、どうなんでしょうか。斬鉄剣が活躍する場面もなく、無念なり…と、五ヱ門の声が聞こえてきそうな作品です。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

Kohyuzu(こうゆづ☆)