こうゆづ☆の【とおまわり】

令和元年12月に、ブログタイトルを変更しました。心の動くままに、とっちらかったテーマで書いています。

LUPIN THE THIRD FIRST TV『019:どっちが勝つか三代目』ルパン一族の好敵手?ガニマール家、登場!

ご訪問ありがとうございます。こうゆづ☆です。ルパン三世のテレビシリーズを第一話から見直して、ただ感想を書くというだけの試みの19回目。高畑・宮崎コンビ(Aプロダクション)のディレクションに変わり、オープニングの曲と映像も刷新されています。

第19話は、初代アルセーヌ・ルパンの頃から、代々つたわる宿敵ガニマール家の三代目警部が登場し、ルパン三世の前に立ちはだかります。まさか、とっつぁん以外にも、宿命のライバルがいようとは!さすが、華麗なるルパン一族。さて、銭形警部とガニマール警部は【ルパン逮捕】という目的のため、一丸となってルパンを追い詰めることはできるのか?早速、ルパンとその仲間たちに会いにいってみよ~!

 

第十九話『どっちが勝つか三代目』(1972年2月27日放映 / 脚本:小山 俊一郎)

〈登場人物〉ルパン・次元大介峰不二子・銭形警部・ガニマール警部・警視総監 

冒頭、次元とドライブ中のルパン。ラジオは、ルパンの祖父である初代アルセーヌ・ルパンの遺品(おなじみのシルクハット・眼鏡・マント)が、フランスフェアに展示されると伝えている。一方、非番の銭形警部。テレビを見ながら【めざし&たくあん】をおかずに、白米を頬張っている。代々ルパン一族の好敵手をつとめてきたガニマール家。その三代目ガニマール警部が、初代アルセーヌ・ルパンの遺品を警護し、ルパン三世を逮捕するために来日、羽田空港に到着したという。銭形は〈フンッ。ガニマール警部か。フランスのボンボンに何ができるか…〉など、一人ツッコミを入れている。

インタビュアーの〈ルパン逮捕に命をかけている敏腕警部、銭形のことを知っているか。〉という質問に対し、初代ガニマールの孫である三代目ガニマール警部は〈えぇ、もちろん知っています。でも、どうしたことか、いつもまんまと逃げられておいでのようですが…〉と応じる。それをみていた銭形は、米粒を顔に飛ばしながら、勢いよくご飯をかっ込むと〈ガシャン!〉と、ちゃぶ台の上に茶碗を叩きつける。

アジトに戻ったルパンと次元。ルパンはワイングラスを片手に、テレビのニュースを眺めている。〈ガニマール一家とルパン一家の戦いに終止符を打つ自信があるのか?〉という質問に対して、〈そうでなければ、日本までノコノコやってきたりしませんよ!〉と、パイプをくゆらせ、余裕の表情を浮かべるガニマール警部。ルパンは〈聞いたか、次元。三代にわたって恥をかきに、はるばるお出でくださったような。〉と笑う。ガニマール警部は、なおも、画面から〈一文の値打ちにもならないアルセーヌ・ルパンの遺品を展示するのも、ネズミ捕りのエサに過ぎない。〉と挑発する。〈おじいちゃんの遺品に、よくもケチをつけたな!もう、許せん。断然、やるとも!〉と、いきり立つルパン。ニュースは【三代目(三世)同士の世紀の対決の舞台が整った、どうかご奮闘ください。】と無責任に告げ、締めくくる。

  1. フランスフェアの会場に、パトカーで駆け付けた銭形警部。パイプをくゆらせるガニマール警部の後ろ姿が出迎える。と、振り向き様に、対峙する二人の敏腕警部。〈おぉ!ムッシュ銭形、ようこそ。ご協力を感謝します。私はガニマール警部、三代にわたってルパンと対決したガニマール家の名誉にかけて…〉と、左手で制した銭形は〈存じております。直ちに警備体制のプランをお聞かせ願いたい。〉と申し出る。ガニマールは、会場の出入り口4つのうちの2つを閉鎖し、入口と出口専用にすると提案する。銭形は、入口をひとつにしたところで、誰もが自由に入ってこれると苦言を呈するが、〈フランスフェアを1人でも多くの方々にみてもらいたい、ルパン三世にもね…〉とガニマール。〈冗談を言ってる場合ではない!〉と、背中を向ける銭形に〈この会場全体を、ルパンをおびき寄せる巨大な【ネズミ捕り】にする、宝石や銘品の数々の中に、アルセーヌルパンの遺品を並べるのだ。監視は、一点集中でよい。〉と豪語するガニマール。銭形は〈甘い!まったく甘い!私は、ルパン三世をよく知っている。あんたのような【常識論】は、通用せんのです。〉と力説するが、己の信念〈常識ではなく【論理と科学】で挑戦する 、私の名誉にかけて!〉と、真摯に向き合うガニマールの様子をみた銭形は〈フーン。まぁ、それもよろしい。後は、あんたの方法でやりたまえ。〉と応じる。
  2. 翌朝、横浜港に陸揚げされる荷物の数々を、銭形とガニマール警部ら警官たちが出迎える。すると、荷物のひとつ紙が貼付され【フランスフェア開催の日、アルセーヌ・ルパンの遺品は、孫のルパン三世が引き取る。】と書かれていた。〈やる前からクレーンに貼っておく。古い手です。〉と、ほくそ笑むガニマール。その様子を陰からみつめる不二子。
    • 不二子:ルパン、ガニマールと銭形が第4倉庫に入るわよ。
    • ルパン:了解。(マンホールの中に侵入するルパン)
    • ガニマール:さぁ、どうぞ。(と、倉庫の扉を開けて入っていく)
    • ルパン:(地下道の水路を辿り、倉庫の真下で盗聴している)
    • 銭形:さすが、ご自慢の倉庫ですな。
    • ガニマール:いやぁ、驚かれるのは、まだ早い。この格子は、特殊金属製で絶対に切断不可能です。(格子が開き、前に進む銭形に)おっと、危ない。御覧なさい、ムッシュ銭形。(スパナを放ると、たちどころに、焼き尽くされてしまう。)
    • 銭形:レーザー光線か。
    • ガニマール:どうです。完璧でしょう。
    • 銭形:しかし、相手は、ルパンですぞ。いくら保管が厳重でも、積みだしの際に狙われたら。
    • ガニマール:ハハハ、ご心配なく。(完璧な設備を披露する)
    • 銭形:大袈裟だ、大げさすぎる!第一これじゃ、税金の無駄遣いだ。
    • ガニマール:袈裟でも、なんでもありません。これが科学です。論理です。【科学と論理】に従ってこそ、万全の警備体制がとれるんです。
    • ルパン:科学、科学か。ばかばかしい。つまるところ【物量作戦生来】ってことよ。
    • ガニマール:(夜が更けた横浜港の風を浴びながら)フェア開催まで、あと3日。いつでも来い、ルパン!ガニマール三代目の血が騒ぐぜ。
      【♬LUPIN THE THIRD~。】
    • ルパン:やぁ、ガニマール警部。(と、突如、塀の上に現れる)
    • ガニマール:ルパン三世か?
    • ルパン:そう。お目にかかれて光栄。このたびは、フランスフェアに豪勢なお土産をご持参くだすって、心からお礼申し上げます。
    • ガニマール:フフフ。ルパン三世、大した自信だな。君に破れるかな、私の…
    • ルパン:【論理と科学】とやらか!ンフフフ。まっ、開催までに、まだ3日もある。たっぷり楽しもうじゃないの、このゲーム。じゃ、あばよ。(と、立ち去る)
    • ガニマール:待て。(と、銃を出し、銃弾を放つ)
    • ルパン:(再び、塀の上に顔を出して)あっ、こういうところがダメ、こういうところがダメなんだわ。(頭を指さし)ここで勝負しなくっちゃね。【論理と科学、それに才能】でね。ムッシュガニマール、ほんじゃ、ボンヌニュイ!
  3. 翌朝、ガニマールの部屋を盗聴する次元。〈チャンス到来だ、ルパン。お前の計画通り行けそうだぞ。〉と、〈あーりゃ、そうかい…〉と、振り向いたルパンの顔は、すっかり銭形警部の顔に仕上がっていた。
    • 銭形ことルパン⦅以下、銭パン⦆:(ガニマール警部の部屋をノック)大変だ、ガニマール警部。
    • ガニマール:どうしたんです。
    • 銭パン:いま、ルパンから電話があったんです。奴は、あなたの倉庫から展示品をすっかり頂戴したというんです。
    • ガニマール:そ、そんな。(急ぎ、車で倉庫へ向かう)そんなはずはない。いかにルパンでも、あの倉庫だけは。
    • 銭パン:ガニマール警部。開封検査まで、もう時間がない。急ぎましょう。(第17倉庫前に停車中の車には、次元と不二子が待機している)
    • ガニマール:開けろ!すぐに、開けてくれ。(と、第4倉庫に走り込んでくるガニマールと銭パン)
    • 銭パン:みたところ、どこも変わっていないようだが…。(格子が開き、すぐに荷物に向かう銭パンを制するように)
    • ガニマール:忘れたんですか、黒焦げになりますよ。
    • 銭パン:いやぁ、慌てていたもので。早く、レーザーを切ってくれ。封印はそのままだ。
    • ガニマール:無事だ。これも、これも。
    • 銭パン:よかったですな。しかし、ガニマール警部。奴のことだ。ここに来る前に、すっかり同じものとすり替えたのかもしれませんぞ。
    • ガニマール:宝石鑑定人を呼んでください。
    • 銭パン:こんなこともあろうかと、もう呼んであります。そろそろ、到着する頃でしょう。
    • 鑑定人:ふぅ、ほぉ。あぁ、なるほど。
    • ガニマール:やっ、どうなんです?
    • 銭パン:大丈夫ですよ。これだけ輝いていれば、本物に間違えありません。なっ、そうだろう?
    • ガニマール:どうなんだ!
    • 鑑定人:あっ、あぁ、こりゃ、豪華な宝物ですな。もし、ここにあるものが全部本物でしたら…ということですが。お気の毒ですが、これは、全部、真っ赤な偽物ですな。
    • 銭パン:偽物ォ?やっぱり。
    • ガニマール:あぁあぁあぁ(ワナワナと震え、後退しながら)信じられん。オホォ~、ボンジュール(と、頭を抱える)。あはぁ、あっはぁ(と、うなだれて床に手をつく)。アハハハハァ。アァァア…。
    • 銭パン:(鑑定人こと次元と顔を見合わせて、にんまり。ガニマールに歩み寄ると)まぁ、気をおとさないで。よく分かります、あなたの気持ち。私もいつもやられていますから。イェ(にやりと笑い)、ガニマール警部すべてが終わったワケじゃない。元気を出してください。
    • 本物の銭形:(受話器を片手に)ガニマール警部は、どこに行ったんだ?なに、まだ分からん?全く、勝手な行動とるのも、イイ加減にしてもらいたいもんだ。仕方がない。港の開封検査、私が代行する。
    • 銭パン:では、とにかく偽物は、警視庁で保管します。
    • ガニマール:どうぞ。
    • 銭パン:さぁ、早くしてくれ。
    • 次元:(トラックの運転手に変装)どうやら、成功しそうだぜ。
    • 不二子:(トランシーバー片手に)遅いわね。上手く行くのかしら。(と、パトカーのサイレン音が聞こえてくる。)ハッ、ルパン…ハッ、いえ、銭形警部、銭形警部。本物のパトカーにて、まもなく急行中、脱出されたし!
    • 銭パン:えぇ~!
    • ガニマール:どうしました?ムッシュ銭形。
    • 銭パン:えぇ、やぁ、早くしましょう。この事態のための【対策会議】がありますので。
    • 銭形:(パトカー到着。倉庫の警備員に)警視庁の銭形だ。
    • 警備員:ありま。ガニマール警部、あのぅ、もう一人の銭形警部が!
    • 銭パン:そんな馬鹿な。ひょっとすると…ルパンかもしれない。見てきましょう(と、トラックに飛び乗る。後を追ってきたガニマールを突き飛ばして、発進する)。
  4. ガニマール警部は、すぐさま銃でトラックの後輪をねらい、左側のタイヤをパンクさせる。こうしてトラックは、今しがたやってきた銭形警部の側の金網を突き破り、走り去っていく。銭形は、すぐさま、トラックの後を追い、銃で右側の後輪をパンクさせる。〈やったー!〉と歓喜の声をあげ、停止したトラックへと駆け寄る銭形。〈ガニマールさんよ、ルパンは俺が頂くぜ!〉と、有頂天になった銭形の背後に近づく一台の車。銭形は、車中の不二子に、こん棒で〈ポカン〉と頭を殴られる。不二子が運転する愛車は、間一髪、ルパンと次元を回収し、お宝をトラックに残したまま逃亡する。
  5. ところ変わって、警視庁。
    • 銭形:なんてこった。ガニマール警部ともあろうお方が、ルパンの常套手段にまんまと引っかかるなんて。
    • 警視総監:銭形君、少し失礼じゃないか。お客様に向かって。あぁ、そうだ。ガニマール君に、ルパンの関係書類を全部お渡ししなさい。
    • 銭形:総監!あれは、私の血と汗の記録です。絶対、他人には渡せません。
    • ガニマール:ルパンを逮捕できなかった記録など、なーんの役にも立ちません。
    • 銭形:フンッ。三代にわたって逮捕できなかった記録には、及びませんがな。
    • ガニマール:(窓の外を眺めていたが、振り返って)ん?よろしい。どちらが先にルパンを仕留めるか。
    • 銭形:上等だ(と、二人は火花を散らす)!
  6. 一方、ルパンたちのアジトでは、地図を前にして、次元と不二子が計画の見直しを行っている。ルパンは、1人椅子に腰かけ、ボンヤリと天井を眺めている。お宝をデパートではなく、運送中の沿道で盗むルートを検討しているのだが、二人の会話に、生返事を繰り返すルパン。腑抜けたルパンに、次元は〈聞いてるのか、ルパン!〉と、大きな声をかける。と、ルパンは、思わず椅子から転げ落ちる。次元は、フゥーと息を吐き、〈まぁいいや、こいつさえあれば…〉と、望遠カメラを手にとる。
  7. 第7倉庫前。倉庫内には、ルパン・次元・不二子の三人が潜み、次元は、例のカメラで外の様子を伺っている。第4倉庫前に現れたのは、銭形警部。次元に〈ルパン、ちょっとみろ〉と促され、重い腰をあげて覗くと、予定より1日早く展示品を倉庫から運び出している警官たちの姿がみえる。〈待てば懐炉のなんとやらだ。わざとニセ情報を流したんだ。本物は前の晩にこっそり運んじまう。護衛もない小型トラック1台で運ぶとは誰も思わねぇ。銭形にしちゃぁ、上出来だ。ルパン、チャンスだ!やろうぜ。ンァ?〉と次元。そこには、気のないそぶりで〈オレ、お~りた。〉と、横たわるルパンの姿が。気が進まないのだという。〈フンッ、そんならオレがやってみせらぁ。〉と次元。
  8. 銭形率いる小型のトラックを追う次元と不二子。〈ルパンのやつ。上手くいっても、分けてやんねぇからな。〉と次元。銭形は部下に〈異常ないか?〉とたずね、部下は〈白いフィアットが1台着いてきます。〉と応じる。ニヤリ…と笑う銭形。次元は、行くぜとトラックの前輪を狙撃、見事にトラックを止める。トラックから出てきた銭形は、すぐさま〈退避~!〉と命じ、荷物をトラックに残したまま、アッサリと立ち去る。次元はしてやったりと言った顔で、積み荷を開ける。すると、そこには警官の姿が!他の荷物からも次々と警官が顔を出し、次元は手錠をかけられ、不二子もつかまる。その様子を少し離れたところから、双眼鏡で見ていた銭形警部は〈やったー!ばんざーい!〉と、駆け寄っていくが、ルパンの姿が見当たらない。〈ルパンは、どこだ!〉と訊ねる銭形に、次元は〈豆を食ってる〉と応える。そこに、突如、ルパンがヘリで現れる。空中から次元と不二子を悠々とかっさらって、飛び去っていく。【♬ルパンルパンルパン~】銭形たちは、銃弾を放つが届かない。〈クッソゥ、るぱんめ!〉と地団駄を踏んで悔しがる銭形。
  9. 翌日、警視庁。ガニマール警部は〈これでおあいこですな、ムッシュ銭形。無理しなくても、展示品は無事に会場まで運び込めば、それでよいのです。勝負は展示場でつけましょう。〉憮然とした顔で〈フン。〉と銭形。物々しい警備態勢で、荷物はフランスフェアの会場へと運ばれていく。ヘリ上空からガニマールと銭形はその様子を見守っている。〈どうです。これではルパンも手出しできないでしょう。〉とガニマール。〈だが、これではルパン逮捕もできませんな。〉と銭形。荷物が運ばれる様子を偵察するルパンと次元。〈ヒャァ、驚いたねぇ。まるで、戦争映画みてるみたいだ。〉とルパン。〈ヘンッ。これが【科学と論理】かい。大倉庫と言い、輸送と言い、キチガイじみた【物量作戦】にすぎん。〉と次元。ルパンは〈その【物量作戦】をこっちもやろうかって、考えてんだ。〉〈あぁ、そうかい。やっと、おめぇもやる気になったんだな。今度はヒト中だから、ヤツ等も簡単には、手が出せねぇさ。おめぇのワルサー、オレのSW、不二子のシュマイザー。それにいざとなったら、擲弾筒があるぜぇ!ほれ。〉と次元は、上着を捲って背中を見せる。〈それが【物量作戦】なの…〉とあきれる不二子。〈ん。確かにちょっと足りねぇようだな。戦車でも1台ありゃーね。〉と次元。〈とにかく、あとは、あの【ネズミ捕り】の中だけよ。簡単にはいかないわ。〉と不二子。〈やめるのも、一案だぜ。二度もケチが…〉と次元が言うと、ルパンは起き上がり〈降りてもいいんだぜ、次元。ヘヘェ。実は、もう計画はできてんだ。〉という。
  10. フランスフェア当日。晴れやかな空、華やかな楽団の演奏、派手なカーニバルで彩られ、大勢の人が列をつくり、オープンのときを待っていた。展示品の前で、感嘆の声をあげる人々。特に、アルセーヌルパンの遺品の前には、ひときわ大きな人だかりができていた。その遺品を囲むように、前後に分かれて、ガニマールと銭形警部が警備している。展示品の台座の中にも警官が潜み、隙間から監視するという徹底ぶり。天井裏のライトの先にも、警官の姿がみえる。
  11. 一方、会場近くの学生アルバイト大募集中の看板の先では…〈えー、これは、特別アトラクションです。皆さんの姿はテレビで全国に放映されます。郷里の親御さんもきっと見ますよ!〉と、次元がアナウンスしている。不二子は〈機動隊との乱闘に参加したことがある人、手を挙げて!〉ルパンは〈初級フランス語のできる諸君は、こっちだよ。〉と誘導している。カーニバルの観客に交じって沿道に立つルパンに気づいた1人の警官は、トランシーバーで〈ルパンだ!ルパンです。ルパン三世発見!〉と報告。ガニマール警部は〈私が行きます!警備をよろしく。〉と、会場から立ち去ろうとすると、銭形は〈ルパンは俺がいただく!〉と言い、お互いに譲らない。が、一瞬のスキをつき、ガニマールの腕を振り切った銭形は、猛然と、駆け出していく。沿道では、警官たちがルパンに覆いかぶさるように拘束し、会場から出てきた銭形に向けて〈ルパンを逮捕しました!〉と報告している。銭形は〈ヒャハハハ、エヘヘヘヘ、ルパン。見事に引っ掛かってくれたな。俺は、ガニマールと違って会場に警備を限定するようなヘマはやらんの…。アァ、ン?〉と、上を向くと、2階の喫茶店で優雅にカフェを楽しむルパンの姿がみえる。〈これは、一体?〉と汗をかいて、一瞬、ひるむ銭形。〈すぐ逮捕しろ!〉の一声で、喫茶店に姿を現したルパンも拘束されるが、その窓からも、また、別のルパンの姿が飛び込んでくる。【♬ルパンルパンルパン】と、街中の至るところに、緑のジャケットを着たルパン三世が出没。カンパを募る人、屋台の店員と客、立ちション、ナンパなど、ルパンで溢れている。〈クソゥ~、逮捕だ!全員逮捕しろ!〉とやけくそ気味に叫ぶ銭形。
  12. 一方、会場でトランシーバー片手に報告を受けているガニマール警部。次から次へと聞こえてくる〈ルパン発見!逮捕!〉の声に、〈ンー、なんて間抜けなヤツ等だ。ルパンルパンと、何人のルパンがいるんだ!〉と、目を向けた先に、ルパン三世の姿が飛び込んでくる。ガニマール警部も、思わず〈ルパンだ!逮捕しろ。〉と声をあげる。すると、展示品の周辺に潜み、隠れていた警官たちが次々に反応。ルパンを捕まえる。ところが、エレベーターも、エスカレーターも、ルパンの格好をした人々ばかり。ルパンに埋め尽くされた会場は、大混乱に包まれる。〈ウフフフ、ウハハハ〉とルパンの笑い声が、そこら中に響いている。トランシーバーから次々に入るルパン逮捕の報告。〈60人逮捕しました!〉の声に、会場の外で銭形は〈バカ!こっちには100人もいるんだ!〉と泣き叫び、ルパンの顔をはぎ取るとそこには、100人の銭形の顔、頭にはトレードマークの【帽子】。会場では、ガニマールが〈逮捕だ!片っ端から逮捕しろ!〉とわめき、ルパンの顔をはぎ取ると、その下にはガニマール警部の顔が現れ、【パイプ】をくわえる。頭を抱える二人の敏腕警部。
  13. ガニマール警部の前をルパン・銭形・ガニマールに変装した小さな3人組が、並んで通り過ぎたその時、続いてやってきた警備員たちに〈展示品を確保しろ~、たのむ!〉と指示して、ガニマール警部は〈クソゥ~、るぱんめ!〉とその場に座り込む。警備員に変装したルパンと次元は〈はっ、ご心配なく!〉と、展示品の数々を回収していく。こうして、ルパンは、最後にアルセーヌルパンの遺品の前に来ると〈おじいさん、お家へ帰りましょうね。〉と遺品を背負い、エレベーターの中へ紛れていく。ちょうど、そのとき、エレベーター隣に設置された階段で、会場内に戻ってきた銭形警部。〈展示品は、無事か?〉と、銭形が目にしたものは、警官に逮捕されたガニマール警部の面々。口々に〈オレが本物だ~!〉と叫んでいる。そうして、ディスプレイ用のガラスが割られ、全て【もぬけの殻】になった展示品。銭形は〈やりやがったな、ルパン!なにが【科学と論理】だ、このマヌケ!〉と、本物とおぼしきガニマール警部の顔面に、右手のストレートを浴びせるというオチ。

銭形とガニマール、二人の警部が仲良く揃って、駐車場に辿り着いた時には、すでに時遅し…。〈あばよ~!とっつぁん。〉というルパンの声を残して、戦利品の数々を手にしたルパン・次元・不二子の3人は、駐車場から、愛車のフィアットに揺られて、走り去っていくのでした。そうして、またまた、銭形は〈クッソゥ、ルパンめ!〉と、ガニマール警部の顔面を、右手で殴り倒すのでした。おしまい。

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◆こうゆづ的*第十九話の№1シーン

誰がなんといおうとも、第19話の№1は、大量のルパンと警官たちの終わりの見えない追いかけっこ。まさに、論理と科学の通用しない【ルパン流・物量作戦】という、ルパンの非凡なる才能が光るアイデアの実践でしょう。そして、見事に、結果を出す。

次元がルパンを置いて、運転手の不二子を伴って、体当たりする場面も、みどころではありますが、やはり、今回の主役は、ルパン三世のらりくらりと腑抜けたように振舞いながらも、着々と脳内では、勝てる計画をととのえていたという、この格好よさ。

ガニマール警部の【科学と論理】だけでは、到底、太刀打ちできない【才能】、頭脳をつかった作戦は、ユーモア満点です。緑ジャケットを着こなしたルパン三世が、画面いっぱいに散りばめられて、どの瞬間も、とても楽しい。繰り返し、見ていられます。

また、冒頭シーンでは、銭形警部のプライベートの一部が暴露、映し出されます。昭和のおやじさんのイメージそのもの。想像を裏切らない住環境に、クスリと笑ってしまいます。ルパンたちの華やかなアジトに比べると、銭形警部の家は、質素です。1970年代のテレビと言えば、カラーとモノクロのテレビが混在した時代でもありました。銭形警部が見ていたのは、白黒の映像でしたね。こういった演出の配慮は、とても嬉しい。

それにしても、部屋着であっても、銭形が手放せないのが【帽子】なんですね。でも、このシーンは、すごく違和感がある。銭形警部であることが、一目で分かるように…ということかな。でも、なぜ、被っているんだろう…と、思いきや、最後のオチで、その銭形警部のトレードマークである帽子の効果がジワジワと発揮、回収されていきます。

こういった小道具の見せ方が、Aプロダクションは、秀逸です。ルパン三世の視聴率があがり、広い世代に受け入れられていったのも、納得ですね。時代の流れとともに、アニメーションの映像やエピソードも、力強く成長、成熟していく。キャラクターの個性はそのままに、それでも色褪せることなく、むしろ輝きを増してくる。長く愛されるアニメーションには、視聴者を置いてけぼりにしない【心配り】にあふれています。

第19話の峰不二子の【魔性度】は、かなり低めです。ルパンや次元の計画ありきの仕事では、不二子の役割は、案外、手堅く、内助の功に徹します。本作では、運転手や見張り役で、影の功労者。逃げ足が速いはずの不二子も、次元の計画で運転手をつとめた際には、逃げ遅れてつかまってしまい、ルパンがヘリで回収していきました。こういったギャップ【二面性】が、峰不二子というキャラクターの魅力を、なお一層、引き立てているのでしょう。 

それにしても、アルセーヌルパンの代からの好敵手として、フランスから現地入りしたガニマール警部の存在感は、控えめな印象でした。【科学と理論】というモットーだけが、前のめりに一人歩きした結果は、惨敗の一言に尽きます。銭形警部と比べるのは気の毒ではありますが、とっつぁんの個性は、何者にも代えがたい唯一無二のインパクトなのですね。

銭形警部という人物に象徴される【現場主義】、コツコツと努力を重ねる【経験する】という要素は、長年受け継がれてきた【伝統や血筋】をも超える可能性に満ちていることの【証し】にも、なり得ることを教えてくれます。どれだけの熱を一点に注げるのか、失敗を糧に、次の行動へ結びつけるのか。銭形は、いつ、自分の努力は実るのか?なんて考えずに、【ルパン逮捕】ありき。そのときが来るのを信じて、常に、全力で歩き続けます。己の信念に立ち向かうとき、そこには、他人の評価や目線は、一切ありません。自身に対して、相手に対して、生真面目に誠実で、自分勝手に忠実です。

アニメーションを繰り返し楽しむ醍醐味は、こんなことを、ぼんやりと考える時間に、あるのかもしれません。第19話を見直して、思いがけず、私自身も、銭形警部の背中をおされた夕べなのでありました。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

Kohyuzu(こうゆづ☆)