こうゆづ☆の【とおまわり】

令和元年12月に、ブログタイトルを変更しました。心の動くままに、とっちらかったテーマで書いています。

LUPIN THE THIRD FIRST TV『022:先手必勝コンピューター作戦!』最新型コンピューターの実力はいかに?

ご訪問ありがとうございます。Kohyuzuです。ルパン三世のテレビシリーズを第一話から見直して、ただ感想を書くというだけの試みの22回目。ファーストシリーズは、全23話完結。さて、最終回目前の第22話のテーマは〈コンピューター〉。ルパンの頭脳VS最新型コンピューターの対決です。

2020年、現代ではコンピューターがない生活は考えられないほど、私たちの日常に溶け込んでいますが、ファーストシリーズが始まった1970年代は、時代を先行する一部の有識者たちだけに、開かれていた時代です。人類の夢がつまったスーパーコンピュータの活躍が、まだ珍しかった頃のお話。

アニメーションがみつめる先にある〈創造的な世界〉には、いつも圧倒されます。本作の銭形警部の反応は、70年代には、もっとも一般的な認識、常識的判断であったのではないでしょうか。とっつぁんは、古き良き時代の良心的な存在であるからこそ、そのキャラクターの魅力が色あせることがないのだと思います。コンピューターのライバルは、果たして、ルパンなのか、銭形なのか…はたまた、他の誰かなのか?

それでは、今日も、ルパンとその仲間たちに、会いにいってみよ~!

第二十ニ話『先手必勝コンピューター作戦!』(1972年3月19日放映 / 脚本:宮田 雪)

〈登場人物〉ルパン・次元大介石川五ヱ門・銭形警部・警視総監・ゴードン 

冒頭、FBIから派遣されたコンピューター技師の〈ゴードン〉が早くも登場。警視総監と握手を交わしている。警視庁の名誉回復は【ゴードンの腕&コンピューター】にかかっているという。コンピューターに対する認識は、以下の通り。

  • ゴードン:〈あらゆる犯罪を予測する最新型コンピューターの前には、いかなる頭脳的犯罪も不可能である。コンピューターに不可能の文字はありません。どんな稀代の犯罪者も此奴の前では、アリの子同然。たとえそれが【ルパン三世】といえどもね。〉と不敵に笑い、胸をはる。
  • 警視総監:〈コンピューターさえあれば、今度こそルパンの息の根を止めることができる!〉と、意気込む。
  • 銭形:〈コンピューターの力に全て頼るのは危険だ。〉という持論をもつ。〈こんな機械なんぞに、あいつ【ルパン三世】が捕まってたまるか!〉と心で叫ぶ。
  1. 新聞の大見出しに【ルパン逮捕コンピューター作戦】とある。FBIから警視庁に寄贈されたコンピューターにより、ルパン逮捕も時間の問題だと書かれている。ルパンは〈コンピューターより、オレのお頭の方がずっといいことを教えてやるのさ。〉と、この挑発に受けて立つと豪語する。顔を見合わせる次元と五ヱ門。こうして、早速【拝啓 警視庁殿 本日午後5時30分東京駅発下り禿鷹本線の現金輸送車を襲い、八億円頂戴仕り候 ルパン三世】と、予告状を送る。警視総監は、予想通りの犯行予告に動じることなく、ルパンの手口をコンピューターで弾き出すよう命じ、ゴードンは〈OK。寸分の狂いなく、ドンピシャリと弾き出してご覧にみせます!〉と応じる。
  2. コンピューターが弾き出したルパンの手口は
    • 手順①:禿鷹本線下り5時30分が発車したのち、30分後の6時に362㎞地点の信号を赤に切り替え、事故が起こった如く装い、列車を止める。
    • 手順②:信号機の故障の点検に来た機関士と助手を調べ上げる。巧みに変装したルパンは、何事もなかったように列車を走らせ、現金8億円の入っている1号車と2号車を切り離し、警備の警官たちを後に残して、そのまま逃亡する。
    • 警視総監手口の裏をかく方法とは?
    • ゴードン:コンピューターの回答によると、現金八億円が詰まっていると、ルパンが思っている1号車と、警備の警官が乗っている2号車とを事前にすり替えることです。
    • 銭形:冗談じゃない!そんな子供だましの手で、奴が逮捕できると、マジメに思ってるんですか!警備の警官を十数人、事前に犯行現場に張り込ませておいてください(と、警視総監に懇願する)
    • 警視総監銭形君。君はまだコンピューターの回答を疑っとるのかね。
    • 銭形:いえ。私はただ、もしルパンの犯行が、コンピューターの結果通り行われるんだとしたら、ルパンが犯行現場に現れた瞬間に逮捕すべきだと…。つまり、順に、警官たちをこの地点に配置させておくということですな。
    • 警視総監:(銭形を指でさし)銭形君、君はそう考える。それが、今までルパンを野放しにしてきた最大の欠陥だと思わんのか!
    • 銭形:ん…それは、あー。
    • 警視総監:いいかね、君は何も考える必要はないんだ。すべて、コンピューターの答え通りにすれば、ルパンは簡単に逮捕できる。そうですね、Mr.ゴードン?
    • ゴードン:その通り。万事はコンピューターが予測しています。不可能はありません!
    • 銭形:なにが、コンピューターの予測通りだ…。俺は俺の流儀でルパンを捕まえてやる!(と、心の声)
  3. 犯行予告当日。パトカーで現場に向かうゴードンと銭形警部。銭形の部下たちは、犯行予測地点に張り込んでいる。銭形警部の【極秘指令】によると〈ルパンは、この場所で輸送車を襲う。そいつの機先を制して、待機せよ。〉ということらしい。一方、列車に現金を積み込む警官たちの準備は、着々と進んでいた。ゴードンは〈ルパンの奴、罠とは知らず、この一部始終をこの駅のどこかで見張っているはず。〉と自信満々である。〈ハーン。オレ様にかっぱらわれるのも知らないで、ご精がでるこったい…〉とは、ルパンの弁。次元は〈銭形も列車に乗り込むらしいぜ。見ろよ、あの厳重な警戒。〉ルパンは〈警戒が厳重なほど、ファイトが湧くってもんだい。〉と、禿鷹列車の発車を見届け、移動を開始する。
  4. やまな駅に到着。警官たちは、アタッシュケースをせっせと移動し、空になった列車の中に警護隊が乗り込む手筈を調える。〈銭形警部、これで作戦は万事終了です。〉とゴードン。銭形は〈さぁ、そう全てが上手く行くかどうか…。〉と応じる。すると、コンピューターが弾き出した【362㎞地点】の信号付近に、ルパンたちが姿を現す。銭形の極秘の指示で、待機を続けていた部下たちは〈警部から指示があるまで絶対に悟られるな。〉と身を潜めている。次元は〈あの信号機を赤に切り替えるっていうのか?いやー、そいつはまずいぜ、ルパン。信号機を切り替えれば、警報機がすぐ鳴り響くことくらい知らないわけじゃないだろう。〉と言うが、ルパンは胸元から颯爽と【水鉄砲】を取り出す。引金を引くと真っ赤な特殊インクのペンキが飛び出し、信号を赤に塗り替える仕様なのだという。
  5. 〈6時。そろそろ犯行現場ですな、警部。〉とゴードン。銭形は、無線機を取り出す。ルパンたちは〈6時だ!〉と、茂みから顔を出す。ルパンは、水鉄砲の引金を引き、信号を赤に切り替える。赤信号を確認した機関士は、列車を停止する。〈まさしく、コンピューターの回答通りですな、警部?〉とゴードン。列車から降りてきた機関士たちを拉致したルパンたちは、コンピューターの予測通りに、変装をする。作戦の勝利を確信するルパンに、次元は〈どうも、妙だぜ。〉と、厳重警戒していたはずの銭形が姿を現さないことに疑問を抱く五ヱ門は〈確かに、妙だ。列車が止まったのに出てこないわけがない。〉と同意するルパンは気がつかないのさ。実力だよ、実力。コンピューターよりオレの頭の方がずっといいってことの証拠よ。さぁ、行こうぜ。〉と駆け出していく。そこへ、茂みから〈うわ~!〉という声が聞こえてくる。〈五ヱ門、お前手加減したな…〉と次元。五ヱ門は〈もう少し、眠ってもらおう。〉ときびすを返し、3人揃って、再び、茂みへと戻っていく。その様子を列車から、こっそり見守っていた銭形は〈ルパンが引き返すぞ、これは感づかれたな。ゴードン、これは?〉と話す。ゴードンは〈慌てなさるな、銭形さん。〉と応えるが、銭形は〈しかし、コンピューターの予想には、こんなことなかったはずだ。こうなったら、一刻の猶予もできない。こちら銭形、こちら銭形。直ちに、ルパン逮捕にかかれ!〉と待機組に呼びかける〈はっ、それぃ!〉と飛び出す銭形の部下たち。それに続き、銭形と警備隊も列車から飛び出していく。ゴードンは〈警部!コンピューター通り行動しなければルパンは!〉と銭形を制す。だが、銭形は〈うるさい!俺は俺の流儀でヤツを捕まえるんだ!ルパン堪忍しろぉ~!〉と、警備隊の後に続く。ルパンたちは、レールの上を逃走していく。ゴードンは〈バカな、こんなバカなことが!コンピューターの指示通り行動すればルパンは、逮捕できるっていうのに…〉と、1人列車の側に立ち尽くす。
  6. 準備していた車で、逃走するルパンたち。
    • 次元:だから、言わねぇこっちゃねぇんだ。コンピューターをバカにするからこんなことになるんだ。
    • ルパンくだらねぇこと言うなよ。
    • 銭形:ルパン追跡中の全パトカーに告ぐ。ルパンたちを挟み撃ちにしろ。いいか、絶対に逃すな!
    • ルパン:ちっくしょう。銭形のヤツ、しつこく追っかけてきやがるんだ。
    • 五ヱ門:ん?霧が出てきた。
    • 次元:おいっ、やばい。あれを見ろ!(前方からパトカーのライトが近づいてくる。)
    • ルパン:あらららー。(咄嗟にハンドルを切るルパン。衝突寸前でパトカーをかわし、二又の交差路の左へ逃げ込む。)
    • 銭形:急ぐんだ。ルパンの車を見失うな。
    • 部下:しかし、前方が確認できません。
    • ルパン:チックショウ。全然、見えやしねぇ。(と、前方に突如、大木が現れる。)うわー。(と、再びハンドルを切り、衝突を免れる。)
    • 銭形:右だー、ばーか、左だ!
    • 次元:こんな霧じゃどうにもならん。車を捨てて逃げようじゃないか。
    • ルパン:待て。少し晴れてきた。うわー!(と、目前に大きな穴が。次元と五ヱ門も〈うぉぉー!〉と声をあげ、トラックはフロントから、思いっきり穴へと突っ込む。追いかけてきた銭形のパトカーも勢いのままに、トラック後部に乗り上げる形で停止する。)
    • 銭形:ルパン、神妙にしろ!さぁ、逃がすな。神妙にしろ!それ、今のうちだ、ひっ捕らえろ!(と、6台のパトカーが次々に到着して、トラックを囲む。〈アハハハ!〉と愉快に笑う銭形。)おいっ、ルパンはどうした?(捕えられたのは、次元と五ヱ門の二人、ルパンの姿は見えない。)車の中で、伸びとるんじゃないのか?
    • 部下:警部!ルパンは、ルパンは、車の中におりません。
    • 銭形:なに!チクショウ、逃げやがった。探せぇ、探すんだ。まだ遠くにはいっていない。どんなことがあっても探せぇ。必ず捕まえろぉ~!(と叫ぶ。)
    • ルパン次元、五ヱ門、勘弁しろよ。(と、後頭部にコブをこしらえたルパンは、銭形のはるか頭上の樹木の枝に抱き着き、見下ろしていた。)それにしても、コンピューターっていうのは、とんでもないシロもんだな。オレの計画、一切よんでやがる。次元と五ヱ門を助けるにしても、こいつはうかつには…。
  7. 一方、ルパンを捕えることができずに、警視庁に戻った銭形警部
    • 総監:馬鹿もん!なぜ、コンピューターの指示通りに行動してくれなかったのかい!
    • 銭形:総監、でも…。(と、小さな抵抗をみせる)
    • 総監:デモも、クソもない!あれほどこの私が注意したのに、なんたる失態を演じてくれたのかい!
    • ゴードン:銭形警部。いいですか、全てコンピューター通り行動していれば、今頃ルパンは逮捕されているんですぞ!(と拳を握る。)
    • 銭形:ンンン…。しかし総監。奴の仲間はすでに我々が…。
    • 総監:仲間など問題ではない。ルパンだ!ルパンを逮捕するんだ。(と拳を突き上げる。)
    • 銭形:(上目遣いで)ですから、総監。ルパンは必ず仲間を取り戻しにやってきます。そのときこそ奴を~!
    • 総監:いいかね、銭形君。今度こそ、コンピューターの指示通り行動するんだ。私情は厳禁だ。これは警視総監の命令だぞ!
    • 銭形:(目玉を左右異なる動きでクルクルさせながら)ハッ。(と敬礼する。)
  8. 留置場では、次元がウロウロと動き回っていた。五ヱ門は、壁際でじっと座禅を組んでいる。
    • 五ヱ門:次元、少しは落ち着いたらどうだ。
    • 次元:こいつが落ち着いていられるってのかい。全く。ルパンがコンピューターの力を信用しねぇから、こんなザマなんだ。
    • 五ヱ門:安心しろ。ルパンは必ず助けにくるさ。
    • 次元:おい、五ヱ門。お前までコンピューターを信じねぇつもりか!
    • 五ヱ門:どういうことだ。
    • 次元:いいか。たとえ、ルパンが助けにきてくれたところで、手口は全部コンピューターが予想するんだ。それこそ、銭形の思うツボだ。
    • 五ヱ門:ということは…
    • 次元:つまり、これさ。(と、絞首刑の仕草をする。)
  9. 一方、アジトでは、ルパンがタワーのように積みあげた【コンピューター学】関連の書籍に埋もれて、頭を抱えていた。〈コンピューター入門:コンピューターとは人の科学、日本コンピューター時代。コンピューターに関するありとあらゆる本を読んでみたけど、とっても難しくてついて行けねぇや。〉とルパン。〈しかも、こいつがある限り、こちとら泥棒家業は、おマンマの食いあげ!〉とソファーに横になり、本を頭上に掲げる。〈コンピューターの予想は、現在のところ99%確実で、この予想を超えるあらゆる科学的占い方法は、皆無に等しい。バカヤロウ、なーに、言ってやがんだい!〉と、後ろ手に本を放るルパン。積み重なった本がバラバラと、倒れ落ちてくる。
  10. 再び、警視庁コンピューター前。ゴードンがルパンの手口を解析している。
    • ゴードン:なんだと?私を誘拐し、私に変装して、警視庁のコンピューター室に潜り込む。そして、コンピューターを操作するフリをし、ある予想をでっちあげる。
    • 銭形:ある予想とは一体?
    • ゴードン:地下留置場の次元、五ヱ門を最上階405号室に移し替える。
    • 総監:最上階405号室、なぜ?なぜです?
    • ゴードン:それはぁ、つまりぃ…(と、ニヤリとほくそ笑む)次元と五ヱ門に極秘の連絡をとり、405号室の真下にトランポリン付きのトラックを用意する。そして、私に化けたルパンは、隙をみて表に出て、トラックに乗り込み、同時に405号室から、二人はトランポリンの上に飛び降り、そのまま、トラックで逃亡するという筋書き。だが、この逃亡の瞬間こそ、ルパンの逮捕の時です。我々は先手を打って、トランポリントラックを包囲すべく、張り込んでおくのです。これが二人の脱出を助けるルパンの作戦、および、対策の全貌です。コンピューターの予想は、完全です。今度こそ、信頼してもらいますぞ、銭形警部
    • 銭形:あぁ。
    • ゴードン:いいですか。ルパンはこの私に成りすまして、この部屋に入ってくる。だが、あくまでもヤツの計画通り、進行させるんです
    • 総監銭形君、最後まで絶対手出しは無用だ。いいかねぇ。
    • 銭形:あぁー。(と、渋面で浮かない表情をみせる。)
  11. 次元と五ヱ門奪還作戦当日、インペリアルホテル前。エレベーターの中でルパンは、どうやって、ゴードンを誘拐するか、考えを巡らせていた。最上階の9階からエレベーターに乗り込んだゴードンは、扉が閉まった直後に、エレベーターに乗っているルパンの姿に気づき動揺する。1階に到着したルパンは、ゴードンを背負っている。ベルボーイがすかさず〈どうかしましたか?〉と声をかけてくるが、〈なーに、ちょっと酒に酔っただけだ。風にでもあたらせようと思ってね…〉と、やり過ごす。大型トラックにゴードンを乗せ、ルパンは警視庁に向かう。そして、405号室の真下にトラックを着ける。運転席には、すでにゴードンに変装したルパンが座っていた。
  12. 警視庁のコンピューター室を目指すゴードンことルパン(以下、ゴパン)ゴパンとすれ違いざまに挨拶を交わした警官は〈警部、ルパンはただ今、1階廊下を通過いたしました。〉と無線で報告する。〈よーし。〉と嬉しそうな銭形。コンピューター室には、警視総監と銭形警部が待機している。ゴパンが扉をあけると、総監が〈Mr.ゴードン、ルパンは必ず、逮捕中の仲間を助けにやってくるに違いありません。〉と迎え入れ、銭形が〈早速、コンピューターで。〉と場所を譲る。〈わかりました!〉とゴパン。ゴパンの後ろでは、ルパンに手錠をかけたくて仕方がない銭形が、今にもつかみかかりそうな形相で控えている。それを隣で制する総監。ゴパンは〈あぁ、こりゃいかん。ルパンは、すでに計画を遂行しつつあります。銭形さん、至急二人の身柄を地下留置場から、405号室に移し替えてください。わかりましたね。〉ゴパンを目前に、涙をうかべて自分を制する銭形は〈おいっ、早速、次元と五ヱ門を405号室に連れていけ。〉と命ずる。留置場から連れ出された次元と五ヱ門。
    • 五ヱ門:おいっ、一体どういうわけだ。
    • 次元:(首をしめるジェスチャーをしながら)これにしちゃぁ早すぎるし、もしかルパンが…
    • 五ヱ門:見ろ!(と、警官の背中に張り紙がついている。次元は、すかさず、張り紙へ手を伸ばす。)
    • 五ヱ門:(上階に到着し、部屋にはいると)おい、ルパンの奴、こんな部屋から、どうやって脱出させようって言うんだよ。(と、声を荒げている。)
    • 次元:ほぉ、なるほど、なるほど。(と、伝言をクチャッと握りしめる。)
  13. 再び、コンピューター室。
    • ゴパン:これで全く安全です。ヤツは、あくまで地下留置場に仲間がいると信じています。
    • 総監:ということは、留置場にさえ張り込んでいれば、ヤツは必ず逮捕できると。
    • ゴパン:そのとおりです。警部、至急、本庁全警官を留置場付近に配置してください。わかりましたね。
    • 部下:第六分隊、配置完了しました。
    • 銭形:ん?本隊はヤツのトラック周辺を固めろ。装甲車も配置してな。(と、ゴパンに聞こえない小声で、指示する。)第二小隊、地下留置場。急げ~!(と、大声で指示を出す。)
    • 部下ら:ハイッ!(と、キビキビと駆け出していく。)
    • ゴパンこれでヤツの逮捕も時間の問題ですな、警部ンハハハハッ。(と、肩をたたかれそうになるのを、スッとよけた銭形は、大量の涙を流しながら、総監に抱き着く
    • 銭形クソゥ、ルパンの奴め。イイ気になりやがって
    • 総監:銭形君、抑えて、抑えて。
    • 銭形チックショゥ…ウゥウゥ…(と、肩越しに、ゴパンが背を向け地下に降りていくのを、涙を流して見つめている。地下留置場前で、部下とゴパンが見守る中、行きつ戻りつを繰り返している。)
    • ゴパンこれまでのオレの行動は、全てコンピューターで敵によまれている。さぁーて、これからが問題だな。この裏をどう…しかし、その裏をよんで、その裏を…。まぁ、いいや。素直にオレの流儀で行ってみるか!(と、心の声。)
    • 銭形:ゴパンが動き出したのをみて〈ルパーン!〉と思わず大声で叫ぶ口を、総監がすかさず抑える
    • 総監:Mr.ゴードン、どちらへ?
    • ゴパン:へぇ?いや、その、ちょっとトイレ。ウォッホン。
    • 銭形:それ~!ルパンを追え~!(と、自ら走り出し、部下たちもそれに続く。)待てぇ~、コラ~!
    • ゴパン:(エレベーターを使い、のぼっていく。)イヒヒヒ。コンピューターの予想とオイラの気まぐれ。どっちが勝つか。(と、ゴードンのマスクを脱ぎ)これからが、勝負だよな。
  14. 停車された大型トラックを見張るように、多くの警官らが警視庁周辺を取り巻いている。ルパンは、堂々と405号室に侵入する。
    • 次元・五ヱ門:ルパーン!
    • ルパン:あぁ、お二方!なーんだ、そのしょぼくれた格好。
    • 次元:(伝言を差し出し)おめぇが現れるなんて、手筈が全く違うぜぇ。
    • ルパンコンピューターの裏をかくにゃ、気まぐれが一番なのさ。
    • 銭形:エヘェ。(トラックの側で405号室の窓の明かりを眺めている。すると、窓が開き、次元と五ヱ門の二人がトランポリンの上に落ちてくる。その二人を網で包囲し捉える。そして)ソレ~、くたばれ、ルパン!(と、トラックの扉を開けて、助手席に座っていた本物のゴードンを捕まえる。)
    • ゴードン:俺はゴードンだ!ルパンじゃない。(抵抗むなしく、手錠をかけられる。)
    • 銭形:諦め悪いぞ、ルパン!
    • ゴードン:(目の周りに青痣を作って)誤解だ。なにかの間違いだ。俺は、ルパンじゃない!
    • 部下:警部~、大変です!(と、両手に次元と五ヱ門らしきものを抱えて、駆けてくる。)奴らは人形です。
    • 銭形:なにぃ?へぇ?(次元の人形を抱き、クの字に力を込めた瞬間、ピョーンとパンチが飛び出し、銭形の顎に、アッパーカットが入る。)
  15. 再び、405号室。ルパン・次元・五ヱ門は、逃亡の手筈を調えていた。次元と五ヱ門は、服を脱ぎ下着だけの姿に。〈ソリャー、行くぞ!〉とモーター付きのハングライダーに跨り、窓から飛び出す。そして〈ホップ・ステップ・ジャンプ〉と3人3様、。銭形の頭を踏み台にしながら、助走に弾みをつけ、3人は空の彼方へと飛んでいく。〈なぜだ。なぜ、コンピューター通りに行かないんだ。もう!〉と嘆く総監ルパンは〈ウフフフフ。簡単なことよ。機械ばかりに頼っている人間の心理の盲点をついたまでさ。つまり、人間の気まぐれってやつだ。ウハハハ。ウフフフ、そんじゃ、まぁ。〉と悠々と去っていく。銭形は〈クッソゥ。ルパンめぇ。またしても、俺をコケにしおって。〉と悔しがる。空には、にっこり微笑むような【三日月】が輝いておりましたとさ。おしまい。

 

♬足元にからみつく 赤い波をけって
   マシンが叫ぶ 狂った朝の光にも似た
   ワルサー P38 
   すべて消えゆく 運命(さだめ)なのさ
   この手の中に 抱かれたものは
   ルパン三世 ルパン三世

 

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◆こうゆづ的*第二十ニ話の№1シーン

今作は、ルパンVSコンピューターの対決というよりは、銭形VSコンピューターの対決といった様相で、銭形のとっつぁんに思わず、感情移入してしまう作品です。22話は、なんといっても銭形警部がイイ。銭形警部がゴードンに変装したルパンを目の前にして、逮捕できない状況に涙を流しながら、幾度となく自分を制する場面…。このシーンを№1にあげたいと思います。

今回は〈あらすじ(書き起こし)〉の台詞の中で、個々の登場人物がコンピューターに抱いている【印象・想い】が現れている部分を、それぞれ色分けし太字で示してみました。ご興味がありましたら、注目してみてください。

ゴードン、警視総監、次元。三人三様、多少の温度差はありますが、彼らはコンピューターの可能性に、信頼をおいています。軸足は大きく乗っている。一方、銭形警部は、終始、コンピューターの知能に懐疑的です。コンピューターへの信頼は、ゼロに等しい。ルパンは…初めは、コンピューターを甘く見て、自分の頭脳を過信していました…が、途中から、コンピューターの可能性を認めます。五ヱ門は…立ち位置が分かりにくいです。

銭形とルパン。彼らは、最終的には、自分たちの流儀で闘うことを選ぶ【似た者同士】です。銭形警部は、ルパン逮捕への一途な想いを諦めることなく、自分自身の知恵と経験、そして部下を信じ抜きます。ルパンは、なし崩し的に自分の流儀に戻り、直観的に気まぐれこそが、コンピューターの裏をかく唯一の方法であることに気づきます。

銭形警部は、部下からの信頼が厚いのですね。もちろん、現場の指揮を任せられているのが銭形だからその指示に従うのは当然だ!ということもあるのでしょう。けれども、部下たちが、警視総監よりも、銭形警部に忠誠を誓う様子を、部下たちの行動に垣間見ることができます。非常に興味深いです。

恐らくは、ルパン逮捕にかける銭形警部の並々ならぬ執念を、部下たちが忠実にかぎ取り、リスペクトしているのでしょう。〈この人に付いていけば、なんとかなりそう…〉といったカリスマ的な期待感が、銭形警部というキャラクターの【志】には、みえるのだと思います。

シリーズを通して、銭形警部が警視総監に忠誠を誓い敬う姿が、これまでも描かれてきました。決して、表立って反抗的な態度は、とりません。本作の警視総監は、銭形警部に対しストレートな物言いで、権威を振りかざしている雰囲気を出していて、銭形警部にはちょっと気の毒な感じが否めません。しかし、銭形警部は、権威的な立場にある警視総監から、怒鳴られようが、念を押されようが、めげません。自分の意見は、しっかり伝えます。

ゴードンに変装したルパンが、自分の目前で自由奔放にふるまうことが、銭形警部には、涙を流すほどに耐えがたい屈辱なのに、幾度も堪えます。このシーンだけみても、頭では、警視総監の命令に従うことを、強く自分に課していることが伝わってきます。けれども、本心に背くことは難しい。意図せずして、結局のところは、己の流儀が勝ってしまい、思いのままに行動してしまう銭形警部。なんだか、とても可愛らしい。そして、心がスカッと、晴れやかな気持ちになってくる。日常での迷いや悩みが、ちっぽけなことに思えてくる。ありがとう、とっつぁん!

最終回目前にして、銭形警部の魅力が存分に詰まった第22話。とっつぁん好きな方には、おススメの作品です。いよいよ、来週は、最終回。主要キャラクターが全員登場して、暴れます。次回更新は、2/24(月)0:32魚座新月…ではなく、2/26頃になる予定です。👈なんとか、2月中には投稿予定です。お楽しみに!

 

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

Kohyuzu(こうゆづ☆)