こうゆづ☆の【とおまわり】

令和元年12月に、ブログタイトルを変更しました。心の動くままに、とっちらかったテーマで書いています。

LUPIN THE THIRD FIRST TV『017:罠にかかったルパン』時限爆弾の期限は24時間!果たして…

ご訪問ありがとうございます。こうゆづ☆です。ルパン三世のテレビシリーズを第一話から見直して、ただ感想を書くというだけの試みの17回目。前作からオープニングテーマが〈♩ルンルンルンルパン♬〉の陽気な音楽に、クレジット表記は、高畑・宮崎コンビ要する〈Aプロダクション演出グループ〉に変更になっています。

今作は、またまた、ルパンが苦手とする一癖も二癖もある【女主人】が敵役で登場します。作画監督大塚康生さんと宮崎駿さんらしいイキイキとしたアクション、アドバルーンでの逃亡劇は、実にユニーク。また、冒頭のルパンたち3人3様の女性に対する反応も、興味深い展開に。時限爆弾解除の秘策はいかに?

それでは、本日もルパンとその仲間たちに会いにいってみよ~!

 

第十七話『罠にかかったルパン』(1972年2月13日放映 / 脚本:七條 門)

〈登場人物〉ルパン・次元大介峰不二子石川五ヱ門・銭形警部・星影銀子 

冒頭、新宿のごとくネオンがきらびやかな夜の街。〈ATRANTIS〉というナイトクラブに横付けされた1台の車から、ルパン三世次元大介石川五ヱ門の3人が降りてくる。店の前で〈ようこそ皆さん、お揃いで!〉と、出迎えたのは峰不二子であった。

  1. 入店前のルパンたちのやりとりは、以下のとおり。
    • ルパン:〈おぅ、ご招待ありがとうって言いたいところだけっどもな。一体どんな魂胆があって、オレたちをこんなデラックスなところに招待したんだ?不二子ちゃん。〉
    • 不二子:〈いつもだましだまされっこばかりしてもつまらないでしょう?たまには楽しく、思いっきり遊ぼうと思って。
    • ルパン:〈あはっ、思いっきり?ふふっ、いい!イイ!さすが不二子ちゃん。〉と舞い上がる。次元は、オホンオホンと、ルパンを諫めるように咳をする。〈気にしない、気にしない、次元。そんなしかめっ面するなよ。〉
    • 次元:〈しかめっ面は、生まれつきだよ。〉そこへ、マダムの星影銀子が登場する。〈よろしく。〉と挨拶する女主人に、次元は、ルパンを押しのけるように〈あのぉ、あの…ワタクシこそよろしく!〉と、急に態度を変えて、愛想を振りまく。
    • 五ヱ門:〈くだらん。何かと思ってついて来たが、女にうつつを抜かすだけなら、俺は帰らせてもらうぞ。〉と背を向ける。
    • 次元:〈おい、五ヱ門、待てよ!〉
    • ルパン:〈よせよせ、次元。五ヱ門には通じないよ。【色気ナシ、剣一筋】ってのが、ヤツのキャッチフレーズ。それより、今日は派手に行こうぜ!グフフフ。さぁ、行きましょう、美女諸君!〉と、次元の肩を抱いてご入店。
  2. ナイトクラブに入店したルパンと次元は、ジャズの演奏が流れる中、女性たちとの会話、酒に、ダンスに、上機嫌。羽目を外して、非日常を楽しむ。酔いがまわったルパンは不二子と、次元はマダム銀子に付き添われて、別室へと移動する。用意周到と思しき【3つの椅子】に倒れ込むように、それぞれの身をゆだねるルパン&次元&不二子。その様子を〈ンフフフ…〉と不敵な笑みで眺めるマダム銀子は、3人を椅子ごと拘束する。ルパンは〈ヤイッ!一体、どういうことなんだ!〉と息巻くが、銀子の部下に、時限爆弾付きの腕時計をつけられてしまう。
  3. 時限爆弾の期限は、24時間。明日の朝5時まで猶予があると言って笑うマダム銀子。ルパンは〈一体、何が目的なんだ!理由を言え、理由を!〉とひきつった表情で、銀子に問う。銀子の目的は、お金。1人10億円、3人で30億円の身代金を要求する。そして、泥棒として一流のルパン一味には、たやすいことでしょう?と挑発し、30億円と引き換えに、時計を外すと約束する。こうして、まだ、夜が明けぬ朝もやの中、店外へ放り出された3人は、トボトボと歩き出す。
  4. 【正午12時】の時計の音がボーンボーンと、鳴り響く。アジトには、うなだれテーブルを囲む3人と、少し離れて対峙する五ヱ門の姿がある。
    • 不二子:〈ルパン、もう12時よ。〉
    • 次元:〈あと17時間で爆発か。〉
    • 不二子:〈ルパン、どうするつもりなの?〉
    • 五ヱ門:〈フンッ。女にうつつを抜かすからだよ。〉との悪態に、眼を丸くする3人。
    • ルパン:〈なぁ、五ヱ門。お前その、例えば大判小判がザックザクッて埋まってるところなんか知らないか?〉
    • 五ヱ門:〈知らんね。〉あぁ…と、ため息交じりにうつむく3人。
    • 次元:〈チッキショウッ、このクソ時計め!〉
    • 五ヱ門:〈仕方がない。手を貸すか。要するに、その時計さえなんとかすれば済むのであろう。〉とおもむろに立ち上がり、〈拙者が腕ごと斬りおとして進ぜよう。〉と斬鉄剣を抜く。そんなと慄く3人。〈なに、上手く斬れれば、さほど血は出ない。誰から行くかな…〉と剣をビュンッとふった瞬間に、五ヱ門の顔に灰皿が飛んでくる。
    • 不二子:〈野蛮!きちが~い!五ヱ門なんかもう、あっち行っちゃって!〉
    • 五ヱ門:〈失礼つかまつった。では、拙者は退散いたす。ンフフフフ、アハハハハ!〉と不敵な笑みを浮かべ、愉快そうに扉から出ていく。
  5. 時計が【14時の鐘】をうつ。
    • ルパン:立ち上がり〈仕方がない。次元、あれやるか!〉
    • 次元:〈えっ?やー、あれはいかん、あれは。まだ、計画の途中だ。〉
    • ルパン:〈しかしだな、あれ以外に30億なんて【現ナマ】を手に入れる方法はないんだぞぉ!〉
    • 次元:〈ん…〉と頬杖をつく。
    • 不二子:二人の言動を見守っていたが、立ち上がり〈ねぇ、ルパン。なーに?あれって。〉
    • ルパン:〈ルパン一家の華麗なる泥棒作戦さ!〉と、ジオラマを披露する。
    • 不二子:〈まぁ、これは!〉
    • ルパン:不二子の声にかぶせるように〈そう、経済省印刷局大東工場。まっ、つまり、なんだ。手っ取り早く言っちまえば、お札をわんさか作っているとこってわけ。〉
    • 不二子:〈それで?どうするの。〉
    • ルパン:〈なーに。オレたちの手で【30億の現ナマ】を刷り上げちまおうってわけ。〉
    • 次元:〈うまくいけば…の話だけど?大体、ルパン一家ともあろうものが、完全に仕上がっていない計画を実行に移すなんて、オレは気に入らねぇな。
    • ルパン:〈うまくいくか、いかねぇかなんて。そんなものは、やってみなきゃ分からないじゃねぇかよ。
    • 次元:〈やってみなくちゃ分からねぇか…。(ここで、一瞬、白目をむいたようにみえる次元の顔がたまらん)プロフェッショナルの言葉じゃねぇな~。〉と、時計が【15時30分】の鐘をうつ。〈ワカリマシタ。ヤリマスヨ。
  6. 暗がりに堂々と照明を放ち、ドーンとかまえた趣の印刷局がみえてくる。門の前に、車をとめるルパン。不二子は〈もう、【20時20分】。〉とつぶやく。〈やーれやれ。土曜日だっていうのに、どうして日本人ってのはこう、残業が好きなんだろうねぇ。仕方ねぇ。もう一回りしてくるか。〉と、再び、車を走らせる。〈ねぇ、ルパン?ところで、あなたたちの計画ってどこまで進んでいたの?〉と不二子。助手席に座る次元が〈ここまでさ。〉と小道具を取り出し、後部座席の不二子にみせる。不二子は訝し気に〈なーに?これ。縄梯子?〉〈そう。おととい、街の雑貨屋で買ってきたばかりなんだ。〉と次元。〈はん?〉と不二子。
  7. 再び、印刷局正面玄関。〈なんたって、時間がねぇんだ。いっちょ、行ってみるぜ!〉と、縄梯子を壁に引っ掛け登り始める。ところが、壁のてっぺんに手をかけた途端、すさまじい電流がルパンを襲い、転げ落ちる。〈ちきしょー、高圧電流が流れていやがった。〉そこへ、警報が鳴りだす。次元は用意しておいた鼠を、素早く壁の上へ放り投げる。〈おぉ!いたいた…〉と鼠に気づいた警備員。〈なんだ~、鼠の悪戯か…。まったく人騒がせだぜ。〉とあっけなく立ち去る。
  8. 腕時計は【22時】を指している。
    • 不二子:車内にて〈まったくもぅ!一体なんてザマなの!塀の上に電流が流れていることくらい分からなかったの?〉と右こぶしを突き上げ、悔しがる。
    • 次元:〈だからいったじゃねぇか。まだまだ、計画の途中だった。〉
    • 不二子:〈途中もクソもあるもんですか!そういうのは【無計画】って言うんです。〉と、ふて腐れて後部座席に横になる。
    • ルパン:バツの悪そうな表情を浮かべて〈あと、7時間…。名月よ、あと7時間なり、わが命か…。トホホホ。〉と、頼りなさげに満月を見上げるルパンの目に、大売り出しの垂れ幕を提げた【アドバルーン】が飛び込んでくる。目に輝きが戻ったルパンは〈ん…?アドバルーン!でけた!〉と叫ぶ。
    • 車を勢いよく飛び出していくルパンに続く次元と不二子。階段を駆け上り、アドバルーンの出所に辿り着く。
    • ルパン:〈ルパン三世、まだまだ天に見放されちゃ~いなかったぜ。〉と指をならす。
  9. アドバルーンに乗り込んだルパンと次元。不二子は、見張り役。アドバルーンを操作し、二人は工場の屋上に辿り着く。〈聞こえるか?ルパン。〉〈あぁ、景気のいい音だこと!〉。工場内では〈カシャーン、カシャーン〉と規則正しい音で、莫大な数のお札が刷られている。ルパンは、空調の吹き出し口に、薬液を紛れ込ませて、通気口の隙間から、スタッフ全てが寝てしまったことを確認する。防具マスクをつけたルパンと次元は、工場内に潜入し、屋外で見守る不二子へと手を振る。不二子は満足げに〈さすが、ルパン。〉と言いつつも、腕時計の針が【23時】を指すのを確認して〈あと6時間か…〉とつぶやく。出来立ての札束を手際よく、袋で待ち受けるルパンと次元。1時間で、袋の中は10億の札束でいっぱいに。〈10億で約1時間か、ということは(深夜)2時には任務完了だな。〉とルパン。
  10. その頃、1台の車が工場の表門に到着していた。不二子は車に気づくと〈あら~?今頃どうしたのかしら。〉と呟く。警備員は、夜間窓口の受話器を手に【リリリリリーン♬】と、工場内の黒電話を鳴らす。ギクリとするルパンと次元。ルパンは恐る恐る受話器に手を伸ばす。〈どうして、すぐ出ないんだ!〉と憤る警備員に、ルパンが無言〈…。〉で応じると、〈フハハ。残業疲れか?ところで、主任はいるかい?〉と話す。〈はいはい、主任さん、お電話。〉と、ルパンは受話器を次元に渡す。〈え~?〉と矛先をむけられて怯む次元。気のよい警備員は〈よぅ、こんばんは!あれ?どうしたい。いつもと声が違うな。えぇ!風邪ひいた?そりゃ、気ぃつけなあかんな。まぁ、今度、一杯やろうや。ハハハハハ。あっ、現金輸送車が到着したぜ。ところで、今夜の分できたかい。あっ、そうか。機械の調子が悪いのか。〉工場内では、次元が冷や汗をかきながら〈そうなんだよ、それでその2時間や1時間ほど遅れるんだ。〉と応じる。すると〈仕方がねぇな。よぅし、分かった。じゃ、1時間経ったらそっちへ行くぜ。〉と電話を切る。〈へぇ…〉と胸を撫でおろす次元。〈バカヤロウ!いきなり人に電話を回すヤツがあるかよ!〉と次元。〈おぅ、悪い悪い。〉と言いながら、ルパンは作業を続けている。〈それより、1時間経ったら、下の連中があがってくるんじゃないですかねぇ。〉とルパン。〈そうだ、こうしちゃいられねぇんだ。〉と急ぎ、次元も作業に戻る。早送り【2倍速】の勢いで、せっせと働くルパンと次元。
  11. 階下では、警備員たちが将棋をゆるりと、指していた。〈あぁ?おい、もうそろそろ、上に行くんじゃないのか。〉と、見あげた時計は、【深夜1時】になろうというところ。〈あぁ、時間切れか!残念。じゃぁ、ちょっと行ってくるわ。〉と腰を上げる。その頃、ルパンと次元は10億×3袋の現金を担ぎ、せっせと階段を上っていた。懐中電灯を手に警備員が扉をあけると、そこには、倒れている女性の姿が。双眼鏡で見守っていた不二子は〈成功したんだわ。あの連中。〉と、ルパンと次元が袋をアドバルーンに固定する様子を眺めている。ルパンが手を振り不二子に合図を送ったまさにその時、パトカーのサイレンの音が響いてくる。〈しまった、バレた!急げ、次元。〉と急ぎ飛び立とうとするが、思うように動かない。〈札束が重すぎるんだよ…。頼むぞ、不二子!〉とルパン。不二子は、アドバルーンの操作に手動で挑むが、リールが重すぎて動かない。
  12. 銭形警部率いるパトカーが到着し、空を見上げた銭形は〈小隊、構え。目標アドバルーン、撃て!〉と、勢いよく銃弾を放つ。すると、バルーンを銃がかすめ、ガスがもれ始める。ルパンは、瞬時に、一か八かとナイフを投げ、不二子が操作している本体に通じる縄を切る。銭形たちから遠ざかるように動き出したアドバルーン。〈くそぅ、逃がすな。撃て撃て!〉と息巻く銭形に〈あばよ、銭形さん。〉と、インクまみれの姿で手を振る。〈あの、気球を追え!遠くへは飛べないはずだ!〉と銭形。そしてパトカーに乗り込み〈気球は、市の中心部に向かっている。前線非常線を張って、道を絶て!〉と指示を飛ばす。勢いよくガスがもれ続けるアドバルーン。そうして、煙突に激突してしまう…が、ぶつかった衝撃で煙突は折れてしまい、アドバルーンは、ガスを噴射しながらも、なんとか移動を続けていた。〈チッキショウ…。どんどん、降りるようだぜ。〉とルパン。そこになおも、銭形率いるパトカーが迫ってくる。
  13. とある一軒家のアンテナにぶつかり、屋根を破壊しつつも、まだアドバルーンの勢いは止まらない。そして、とあるマンションの一室のバスルームに、バルーンから落ちて1人突っ込んでしまったルパン。顔面に桶をぶつけられながらも逃走し、再び、次元と合流する。そうして〈やるぞ、ルパン…〉と言って、次元はバルーンと30億が入った袋を固定していた縄を切る。頭から地面におちて大きなタンコブをつくったルパン。銭形は、その異変に気づかず〈よーし、もう一息だ!〉と気球を追っている。次元は〈あー、なんとかごまかしたな。〉と言うが、〈ヤツら、すぐに戻ってくるぞ!〉とルパン。だが、30億円分の札束入りの袋が重くて、うかつに移動することができない。すると、ルパンの目に古びた倉庫が飛び込んでくる。〈いよっ、あそこに隠れようぜ!〉
  14. 【午前4時】。造幣局の工場を襲った二人組のニュースが流れ、まだ犯人確保には至っていないことを伝えている。アジトでは、ウロウロと歩き回る不二子と腰を据えて座る五ヱ門が待機していた。気球が発見された模様…と報じるニュースに、一瞬、目を輝かせる不二子。だが、腕時計を眺め〈あー!あと、45分。〉と呟く。現場では、銭形が〈クソゥ、途中で降りやがったな。いいか、奴らは重い札束を抱えている。絶対、遠くには逃げられん!ここと大東工場までの間をしらみつぶしに捜索しろ!〉と部下たちに命じる。銭形は、ルパンたちが逃げ込んだはずの倉庫の前に、苦虫を噛み潰したような顔をし立っている。〈警部、ダメです。猫の仔一匹見当たりません。〉〈草の根をわけてでも探し出すんだ。〉〈そんなこと言ったって…。みりゃ分かるでしょう。〉〈バカ野郎!そんなこと分かってる!クソゥ、ルパンのヤツ。奴はともかく、札束まで消えたなんて…こりゃ。〉と銭形。
  15. アジトでは不二子が〈あー、あと30分!五ヱ門?あんた仲間たちが危ないってのに平気なの?〉と焦りを募らせていた。〈安心しろ、帰ってきたぞ。〉五ヱ門すると、扉が開き、疲れ果てたルパンと次元が〈いま、帰った。〉と姿を現す。〈ルパーン!〉と喜ぶも束の間、〈んっ?あぁ、手ぶらなの?〉と素に戻る不二子。〈フフフ…ん、まぁ、話はあとで。〉と肩で息をするルパンと次元。時計の針は【16時45分】を指している。〈とにかく、星影銀子のところへ行こうぜ。〉ナイトクラブ〈ATRANTIS〉にて。〈…というわけだ、マダム。30億は確かに確保したんだが、引き渡す時間がないんだ。〉と説明するルパン。引き渡しまで少なくとも、あと3日は必要だというルパンに、マダム銀子は、パイプの煙をフーッと吐き出し〈よろしい。では3日後の午前5時にということにしましょう。〉と、応じる。腕時計は約束の24時間、17時まで【残り3分】足らず。〈それより、あと3分しか…。〉とルパン。銀子は〈時計を外してあげなさいな。〉と部下に命じる。こうして、ルパンたちは時限爆弾の期限の17時まで【残り3秒】というところで、無事に解放される。〈ほぅっ、あぁ、助かった。〉と胸をなでおろすルパン。が、そこに〈きゃぁ~、助けて!〉と不二子の声。二人の男から銃口を突き付けられた不二子を、約束の日までの人質にとるという。不二子は〈いいの、ルパン。信じてるわ、私。〉と言い、ルパンは感無量の面持ちで〈不二子ぉ。そこまで、オレを信じてくれているのか…〉と応じる。
  16. 約束の【3日後の5時】。とある倉庫前に2台の車がやってくる。倉庫の扉を開けると、中は空っぽ。ルパンは〈えぇ、銭形のヤツも、まさか、この空っぽの倉庫に、あの大きな包みがあるとは思わなかったろうけどね。ところが、札束ってやつはねぇ、一列にズラーッと並べるとね、案外、かさばらないもんで。〉と、背後の木板の壁を肘でたたく。すると、木板がバラバラと外れて、壁一面にうず高く積まれた札束が出てくる。〈あぁ!〉と感嘆の声をあげる銀子。ルパンは、札束が崩れ落ちてくるのを背にして、愉快気に笑う。無事に取引が完了し、ルパンは〈さぁ、それじゃぁ、不二子の身柄を返してもらおうか。〉と言うが、不二子は〈あぁ…、あたしのこと、ダメよ、私。忙しいの。だって、早く帰って【分け前の勘定】しなくちゃならないんですもの。また会いましょうね、ルパン。楽しかったわ。〉と、銀子の車に乗り込み去っていくというオチ。
  17. 〈ルパン。まぁ、そう気をおとすなよ。お前の気持ちは、よく分かる。ん。〉と、ルパンの肩を抱く次元。ルパンは〈今、何時だ?次元。〉〈あー、【17時30秒前。】〉〈そうか…。不二子のヤツ、かわいそうに。〉と意味深に言うルパン。その頃、車中では、銀子と不二子が満面の笑みを浮かべていた。〈実は、夕べ。あの車に細工しといたんだよ。17時きっかりに【ガイーン】〉〈あぁ?〉すると、銀子たちの乗った車の一部が爆発する。後部座席に座った銀子と不二子の髪の毛は、散り散りに。爆発の衝撃で、札束は宙を舞う。〈あぁ、お金~!〉と、二人の美女の声が響き渡ったかと思うと、嬉々洋々として…事故の衝撃でおかしくなってしまった不二子と銀子は、宙を舞うお札をみて〈キャッキャ♬〉と声をあげ、お金をかき集めるのでした。その様子を見たルパンは、愉快そうに笑うが、次元は〈いくらなんでも、勿体ないなぁ。〉と少し浮かない表情を浮かべる。すると〈あいつは、使えないんだよ…〉とルパン。〈なに?〉〈印刷所でな、ちょっと【悪戯】しといたんだ。〉風に乗って次元の手元に舞い落ちてきた【1万円札】には、聖徳太子に成りすました【ルパンの顔】が刻印してありましたとさ。〈…ンフフフ…ンハハハハ♬…〉おしまい。

 

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◆こうゆづ的*第十七話の№1シーン

最終場面での美女二人の壊れっぷりは、ぜひ、映像で見てほしい!アニメーションならではの演出が、かなり愉快な作品です。みどころ№1シーンは、最後、ルパンの悪戯に沸き、男二人がしてやったり!と笑うシーン、あるいは、アドバルーンでの逃亡シーンでしょうか。息の合った二人の飛行ぶりは、痛快にして爽快。また、造幣局の工場でのルパンと次元の働きっぷりも、見ていて清々しい。なんだかんだ、仕事熱心な二人が健気で、可愛らしくみえてきます。わが身の命に危険が迫っている場面ですからねぇ…。当然と言えば、当然なのかもしれませんが。

上記にあげた見どころシーンは、あくまで一般論でのお話。個人的に好きな場面は、次元が絡むシーン。中でも、ナイトクラブでルパンに負けず劣らずはっちゃける場面と造幣局の工場でルパンに受話器を渡されて、難局を乗り切る場面。ルパンのムチャぶりに応じて、大役を終えた次元がホッと安堵の息をつく場面には、次元本来の生真面目さや人の良さが伝わってきて、温かい気持ちになります。

また、個人的に引っ掛かりを感じるのは、五ヱ門の登場シーンの台詞の数々でしょうか。今作での五ヱ門の立ち位置、役割をどのように捉えたらよいのか…判断が難しいところです。単に、ブラックユーモアで流せばよいのでは?…と思うものの、なんだか、しっくりこない。どことなく演出が、中途半場な気がします。

私は、五ヱ門のキャラクターに限って言えば、ルパン三世に初登場した五ヱ門の潔いほどに融通が利かず、頑固で生真面目な感じと、不二子ちゃんをガールフレンド呼ばわりする甘酸っぱさを兼ね備えた感じが好きです。

途中から演出を引き継いだ【Aプロダクショングループ】は、五ヱ門という人物に、あまり魅力を感じていないのか、はたまた、掘り下げる方向性を探っている最中なのか…。んー、五ヱ門の魅力が、十分に描き切れていないように感じるのは、私だけでしょうか。魔毛狂介が登場する【第13話】あたりが過渡期でしょうか。その頃から、五ヱ門のキャラクター設定にブレが感じられ、どことなく胸騒ぎのような、落ち着かない違和を感じます。

少し、話がそれました。さて、今回の女主人〈月影銀子〉は、宝塚歌劇団のトップスターのような華やかな名前に負けず、そのキャラクターの堂々たる演じっぷりは、お見事です。しっとりとした丁重な口調の中に込められた、かましく強かな【メッセージ】には、二面性の対比が垣間見えて、とても惹きつけられます。キャラが立っているのがよいです。以下は、月影銀子の人柄を象徴する名言集です。

  • 拘束したルパンたちを前に〈あー、本当に美味しいお酒だこと。〉とカクテルを煽る。銀子は、空になったグラスを置き、振り向きざま〈お気に召しまして?その時計は、時限爆弾が仕掛けてありますのよ?なかに…。〉
  • 私は、かねてから、あなたがたの盗みのテクニックに興味を抱いておりましたの。でも、いかにあなた方が優秀でも、その時計は外せませんわ。なぜならば…あの時計を壊したり、または、分解しようとして、余計な力をちょっとでも加えると…〉と話し、ルパンたちに、同じ型の時計を装着したモデル人形が、木っ端みじんに吹き飛ぶ映像をみせる。
  • 〈ご安心なさい。皆さんの腕時計は、あと24時間は爆発しないようになっていますから。アハハハ。そうです。【明日の朝の5時】までは。〉
  • 〈もし、あなたがたがもう一度自由を回復したいとお思いならば、あなた方はあなた方自身の【身代金】を払わなければなりませんの。身代金は1人につき、たった10億円。3人でわずか30億円ですわ。アハンッ。たやすいことでしょう?あなた方の一流のテクニックをもってすれば…。とにかく、時間は24時間。30億と引き換えに、時計は外して差し上げますわ。オホホホホホホ。〉
  • ルパンが仕事の成果を説明する場面で、パイプを片手に〈ニュースで聞きましたわ。警察でも札束が見つからなくて天手古舞しているようね。いつ、引き渡していただけるの?
  • 腕時計の時限爆弾解除直後、〈時計の代わりと言っちゃぁなんですが、約束の3日後まで不二子さんの命を預からせてもらいます。
  • 約束の日。倉庫の中をみた銀子は〈あら、伽藍洞じゃないの。30億なんて、一体どこにあるの?〉と冷たく言い放つ。
  • 不二子を返してもらおうというルパンに〈そうね。そういうお約束でしたわよね。ねぇ、不二子さん、ルパンのところへ行くの?〉と問いかける。

うーん。さすがナイトクラブの女主人!肝がすわっています。女性に寛大すぎるルパンですが、今回の対決相手は、分が悪すぎるような…。ちょっと、気の毒です。

今作は、30分という時間が、たっぷり贅沢に使われている感じがします。二転三転する展開をみていると、60分くらい鑑賞したような高揚感に包まれるから、不思議です。要所での【時間経過】を知らせる演出がとても効いています。ということで、なんだかんだ、ツッコミながらも、分かりやすく冒険が楽しめる良作に、変わりはない!

冒頭でも書きましたが、こうゆづ的には、ぜひぜひ、アニメーションで堪能してほしい作品です。本作については、もう少し、違う角度から掘り下げてみる予定だったのですが、アニメーションの演出までなぞってしまったことで…うっかりと【10,000文字】に迫る勢いに。おあとがよろしいようで…。本日は、ここまでといたします。 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

Kohyuzu(こうゆづ☆)