こうゆづ☆の【とおまわり】

令和元年12月に、ブログタイトルを変更しました。心の動くままに、とっちらかったテーマで書いています。

LUPIN THE THIRD FIRST TV『011:7番目の橋が落ちるとき』ルパンの銃がむかう先

ご訪問ありがとうございます。Kohyuzuです。ルパン三世のテレビシリーズを第一話から見直して、ただ感想を書くというだけの試みの11回目。前作より、Secondシーズン【赤ジャケ】ルパンに向けて、徐々にテコ入れが行われはじめたよ…という感じのエピソードが登場。クレジット表記こそありませんが、宮崎駿さんの個性が所々に散りばめられています。『カリオストロの城』が好きなファンの方々には、ぜひ、このファーストシリーズの第十話と十一話は、アニメーションでみていただきたい、おススメの作品です。それでは、早速、ルパンに会いにいってみよ~!

 

第十一話『7番目の橋が落ちるとき』(1972年1月2日放映 / 脚本:宮田 雪)

〈登場人物〉ルパン・次元大介・銭形警部・ボルボ・リーサ

冒頭、橋を点検する警官たち。〈異常ないか?猫の仔一匹、近寄っていません。よし、オレは次の橋に行く。警戒を続けろ。はっ〉と、そのとき橋が爆発する。テレビからは、〈1週間に4つの橋を破壊したルパンは、昨晩5番目の橋を爆破しました。死傷者は数十名…〉と、ニュースが流れている。そこには〈ルパンは近日中に第6番目の橋を爆破すると予告しております。ルパン、必ず貴様ごと、つかまえてやるぞ。〉と息巻く銭形警部の姿も映しだされていた。

  1. 何者かが〈ルパン三世〉の名を騙り、5つの橋を順に爆破している。ルパンは、一連の犯行が中央銀行の〈現金輸送車襲撃計画〉の一環であると推測する。真犯人は、計画的に橋を破壊して輸送車のルートを限定し、都合の良い場所に誘きよせる作戦なのだ。ルパンと次元は真犯人の正体を暴くべく、爆破予告の〈6番目の橋〉へと向かう。橋の支柱を潜水して点検する次元。そこで、無線式の時限爆弾を発見する。
  2. 翌朝、爆破予告の橋の上では〈昨夜は爆発事件はなかった…〉と、警官が胸をなでおろす中、ルパンは不発の理由を求めて、必ず犯人が橋の近くに現れると予測。すると、キャプテンロックのような風貌をした男が釣り竿をもって現れる。男は竿を投げたが、なにかに引っ掛けて糸が切れてしまう。その様子をみて、大笑いする警官と次元。〈あれが、犯人だっていうのかい?今のうちに飯でも食おうやルパン。〉という次元に〈みろよ、引っ掛かったはずの【浮き】が流れてくるぜ。なんか匂わんか?次元。〉と応じるルパン。〈ジ:さぁ、【ただの浮き】だが…。変だな、くるくるまわってるぜ。〉〈ル:糸巻だよ、糸巻。それに釣り針が強力な磁石だとしたら。【誰が浮きを拾うか…】つきとめるんだ。〉〈ジ:OK〉と、地上から【浮きを追う】次元。そして一艘のボートが【浮きを回収】し、ある館に入っていくのを突き止める。

  3.  ルパンと次元は屋敷に忍び込むが、アッサリと真犯人の〈ボルボ〉に捕らえられてしまう。〈クソー、ルパン三世一生の不覚。〉と罠に気づいたルパン。次元は銃を撃つが、防弾ガラスに跳ね返されてしまう。ボルボの狙いは、何年もかけて準備してきた現金輸送車襲撃計画の【実行】をルパンたちに任せ、罪をなすりつけること。ルパンは〈今度は、オレに命令する気かい?このルパン様によ。オレを甘くみるんじゃないぜ。この檻なんて逃げる気になりゃ、すぐに抜け出してみせる〉と断る。ところが、ボルボは、リーサという名の美少女を誘拐していた。〈美しい子でしょう?つまり、この娘の命は、君の返事いかんにかかっているということですな。〉と脅迫する。それでも〈ばかやろ。笑わせるな。〉と拒否するルパンの前で〈これを見たまえ〉と、椅子に座った人形が真っ二つに切断される装置を作動して見せる。〈きちがいだ…〉と、驚愕するルパン。〈ルパン君、覚えておいてくれたまえ。君が裏切ったとき、この娘は死ぬ。この厳しい現実をね。〉と、無理やり、計画の実行を承諾させられてしまう。

  4.  ボルボは〈ゴースト街〉で輸送車を襲う計画を練っていた。【取壊しが決定し人々が住んでいない、道は曲がりくねっていて見通しが悪く、輸送車がやっと通れるだけの道幅しかない街】で完璧な計画だと、胸を張る。7番目以降の橋を次々破壊して街中を混乱させ、中央銀行の正面玄関から朝6時に出発する輸送車を、ゴースト街で爆破させるよう、ルパンたちに指示する。計画を聞いたルパンは〈気に入らねぇや。たかが車1台に大ごとすぎらぁ。ピストル1丁で十分やれるぜ。ルパン流にやらせてもらうさ。粋にやろうぜ、粋によぉ!〉と、爆破装置のリモコンをボルボへ投げ返す。〈いいでしょう。失敗したら責任をとってもらいますよ。〉とボルボ。〈おぅ、うまくいったら娘を返してもらうぜ。〉とルパン。

  5. 翌朝〈準備はいいかね、ルパン君。〉と、無線で現金輸送車の中継をするボルボ。一方、ゴースト街では〈ル:焦ったって仕方ねぇ。〉〈ジ:へっ、ひとりで張り切ってやがる。〉と、二人はのんびり煙草をふかしていた。A⇒B⇒C⇒D⇒E地点を過ぎたところで、ようやく動き出す。運転手が〈ゴースト街、嫌な街だぜ。〉と輸送車を走らせている。次元は、輸送車の正規のルートを扉が描かれたボードで塞ぐ。〈おかしいな、道を間違えたかな。この辺りは、ややこしいんだ。左へ行くんじゃないか。〉迷いこんだ輸送車に銃弾をあびせる次元。〈襲撃だ!〉と逃げる輸送車の目前には、橋が迫っていた。〈ひぇー、まただ。〉と、急ブレーキをかけた輸送車は横転し、ルパンたちが予め用意していたボートへ。〈はい、おしまい〉とばかりに、現金輸送車ごとの回収に成功する。
  6. ボートでの会話のシーン〈甘い、甘いぜ、ルパン。あの男はそんな男じゃねぇ。リーサを渡すわけがねぇ。この金もってずらかるぜ。なぁ、そうしようぜ。なぁ、なぁ、ルパン。〉〈ばか!俺の言う通りにやりゃいいんだよ。〉とルパン。一方、ボルボは〈すぐ助けにきてください。公園の桟橋にいます〉と銭形警部へ電話をかけ、ボートにリーサを乗せ【待ち合わせの桟橋】へと向かう。
    • ルパン:リーサは?
    • ボルボ:この通り無事だ。
    • ルパン:金は持ってきた。リーサを放してもらおうか。
    • ボルボ:約束は守る。トランクを1人でもってこい。止まれ。そこにトランクを置け。
    • ルパン:リーサは?
    • ボルボ:渡す。トランクを置いていけ。

    言われたとおり、トランクを桟橋の途中に置き、ボルボに背を向けてボートに戻り始めたところで、リーサの〈きゃあーぁ!〉という悲鳴が聞こえる。〈何をした!〉と振り返るルパン。ルパンの場所からは、ボルボが樹木の葉をかきわけなければ、リーサの姿はみえない。

    • ボルボ:振り向かずに歩きたまえ。(樹木の葉をかきわけ、リーサは)ココにいる、歩きたまえ。(ルパンの動作に警戒を怠らず、トランクを手に後退りして)ルパン君、娘を渡す。(と、ボルボは素早く樹木の葉の陰へと姿を消す。)
    • リーサ!(と、桟橋を駆けて、木に括りつけられたリーサに辿り着くが、実は、ダミー人形。)

    ボルボは、ボートでリーサと一緒に逃走する。〈クソ―!〉と、次元の待つボートへ向かうその背後に、銭形のパトカーが迫る。

  7. 〈止まれ、撃つぞ。観念しろ。〉と、銭形警部はルパンの両手に錠をかける。逃げるボートからボルボが〈その男だ。そいつが橋を壊した犯人だ。つかまえてください。証拠の写真もあります。〉と。〈あのやろう、ふさげやがって。〉とルパン。そこでリーサが〈違います!ルパンさんではありません、犯人はこの男です。〉と叫ぶ。リーサの声に〈なにごとだ、コリャ一体。〉と混乱する銭形警部。と、船着き場の一部がボルボの乗ったボートにひかれて壊れる。実は、次元が水中で、ボルボのボートにちょっとした仕掛けをしていたのだ。ルパンは、手錠で不自由な両手に銃を構えて、引金をひく。ボルボは撃たれて水中へ。リーサは無事に陸へと戻ってくるが、ボートが暴走。屋敷に衝突寸前で事なきを得るが、ルパンは衝撃で顎を強打する。〈ルパンさん。ありがとうございました。〉と駆け寄るリーサ。見つめ合うルパン…も、束の間〈ルパン、ルパン♬〉と、屋敷の窓からウジャウジャと警官が顔を出す。〈あばよ、リーサ。〉無念の表情で去るルパンを次元がボートで回収していくというオチ。おしまい。

 

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◆こうゆづ的*第十一話の№1シーン

ルパンがボルボに対する殺意を隠さずに、銃弾を放ったシーンをあげたい。手錠を外すことは、ルパンにとってはお手のもののはず。ところが、あえて両手が錠で拘束され、自由にならない状態のまま、敵のボルボを撃ち抜く。ルパンの真剣な表情のアップが映し出されて、無音の静けさが広がる。ルパンの静かな怒りがズバーンと心に響いてくる感慨深い演出だ。

そして、このシーンの余韻を残したまま、最後、次元がルパンをボートで回収していくのである。〈あんな街はこりごりだぜ。〉と言いつつも〈イイ娘(こ)だったなぁ。〉と感傷にひたるルパンに、〈戻りたかったら1人で戻れ。〉とツッコミを入れる次元。ルパンの【殺意】という張り詰めた空気が漂う雰囲気を、次元の皮肉めいた台詞が、さらりと撫でてくれる。お馴染みのパターンに戻ることで、緊張が解け、ホッとする瞬間である。さり気ない、けれども、気の利いた演出。うまい!と思わず呟いてしまう。


それでは、今作に散りばめられたお馴染みのルパンと次元の会話に着目してみよう。

◆6番目の橋で時限爆弾を見つけ出したときの会話

  • ルパン:(水から上がり、くしゃみをする次元に)寒いか?
  • 次元:早く家に帰って風呂にでも入りてぇや。
  • ルパン:ほんじゃ、こいつを戻してくるんだな。(時限爆弾を再び支柱に戻すよう次元に言う。)
  • 次元:あー、ひでぇや。(といいつつ、再び潜水する次元)
  • ルパン:たのむぜ。

なんだかんだ言いながら、結局はルパンの意を汲み、指示に従う次元。次元を信頼するルパン。お互いの【相思相愛】ぶりがキラリとまぶしい会話

◆浮きを追跡して、真犯人の館を突き止める場面

  • 次元:あっちだ、急げ!見失っちまうぞ。もっとスピード出ねぇのか。右へ回ったぞ。はやく、はやく!
  • ルパン:うるせぇな。
  • 次元:(操縦を変わって、望遠鏡をのぞくルパンに)みえるかい?

意外と、せっかち。そして、仕事に忠実なできる男、次元。ルパンの〈うるせぇな!〉の一言で、ボートの操縦を変わる次元との〈阿吽の呼吸〉は、健在である。器用なお方であります。器用貧乏とは、まさに次元のことを言うのでしょう。

ボルボの計画の実行を承諾し、部屋に引き上げたときの会話

  • 次元:あー、なんてこった。このオレたちが人様のために大仕事をするとはね。
  • ルパン:じじいのためにやるんじゃねぇ。
  • 次元:娘のためってのか。冗談じゃねえや。あのじじいが素直に金と娘をとりかえるはずがねぇや。
  • ルパン:金はふところ、証人の娘は消す。オレたちは全部、罪を拾うか背負うか。うまくできてるなぁ、この計画は。明日は明日の風が吹くさ。寝ようぜ、次元。

次元の正論を、軽くいなすルパン。ぼやく次元に、ルパンは飄々としたスタイルを崩さず、なお、絶妙な加減で未来を向く【合いの手】を入れる。逆に、ルパンがぼやいたときには、次元が堅実に寄り添う。ファーストコンタクトでは、お互いに手強い相手であったし、喧嘩もするけれど、基本的にはルパンと次元、相性がよいのでしょう。お互いのツボを心得ていて、会話のテンポが小気味よい。

 

また、今作では、少女に対するルパンの優しさがひかるシーンも見どころです。

  • ルパン:(囚われの身の少女に)コーヒー飲まないか。(と、カップに注いで飲むのを手伝う。)さぁ、飲みな。
  • 少女:ありがとう。
  • ルパン:つれぇだろうが、もうしばらくの我慢だ。明日の今頃は、ベットでおねんねできるわな。なぁ、お嬢さん。(少女がクスッと笑い、ルパンは微笑む)
  • ルパン:名前を聞いてなかったな。
  • 少女:リーサ。
  • ルパン:リーサか、いい名前だ。 

キザだけど、面倒見のよいルパンの温かい一面が伝わってきます。女性の前では、紳士でいたいルパン。不二子でさんざん懲りているのに、かわいこちゃんには弱い。女性が絡む日常は、ルパンの強みでもあり、弱みでもある。その振り幅がとても魅力的です。そんなルパンを間近でみて、性分だから仕方がないと思いつつも、心配でつい口を挟んでしまう次元。時には、やきもち?…と感じるような場面も。頼りになる相棒は、【恋女房】でもあるのかもしれません。

 

最後に、冒頭に述べたもう1つの見どころもみてみよう。リーサが助けてくれたルパンに対し、御礼をいう場面、そして、ルパンが去っていくのを見つめるリーサとその横に銭形警部が立っているという構図は、後の映画作品『カリオストロの城』でのルパンとクラリス、銭形警部の関係性を象徴するようなシーンですね。宮崎駿監督ならではの演出が散りばめられた本作品。アプローチが【水中】であることも、想像をかきたてます。第十話の大時計の演出といい、後の映画につながる【実験的な試み】がなされた作品といえそうです。

今作でルパンたちを陥れる真犯人〈ボルボ〉は、まったくもって魅力を感じない、これといったエピソードもない、ただただ、卑怯な人物として酷に描かれているような気がします。制作の過程では、第二話の主要登場人物〈パイカル〉の弟として〈ラオチュウ〉というキャラクターが用意されていたようですが、結局、登場することはありませんでした。この辺りの路線変更のブレが、犯人のキャラクターの弱さにつながったのかもしれません。

ルパンが明確な意志をもって、ボルボを撃ち抜くシーン。ルパンの怒りは、取引の約束を反故にされた時点で、ピークに達したのでしょう。ルパンの【誇り高さ】と同時に、仕事に対する【潔癖】、背筋が凍るような【厳格】をあわせもつ性質に、ゾクッと震えた瞬間でもあります。味方であるうちは、気のいい奴ですむけれど、敵にまわすのは、厄介、御免だなと、心底、感じたエピソード。個人的には、【黒いルパン】の一面を発見した心持ちになって、ドキッとした作品です。

 

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★おまけ★

なんちゃって、数秘術。キーワードを一覧表にザックリと書き出してみました。タイトル名の橋の数字は【7】です。7というと、ラッキーセブン、セブンシーズ、ドレミファソラシの音階、虹の色などがパッと浮かびます。タロットカードのアテュの7番は【戦車】、占星術で7番目のハウスといえば【天秤座(♎)】、年齢域の7番目の天体といえば【土星(♄)】、長寿のお祝い77歳は【喜寿】。喜は、草書体では〈㐂〉のように表されることから決められたようです。

こうして書き連ねると、7の数字って【シビアな前のめり感】があるなと思いました。キーワードの中の【欲】という感覚は、私の中では、8の数字に近いのですが、自分が欲しいものに手を伸ばす⇒好奇心から派生した【欲】という意味で使われているのかもと気づきました。7は【見極める】という意味も、わりと強いのではないかと感じています。潮目をみる、タイミングを図る。自分の力で歩いてつかみとるというより、なにか勢いのあるものに乗じて、振り落とされないようにコントロールする。うまく戦況を乗り切る。軍師的な強かさも秘めていそうです。この【見極めの姿勢⇒引いてみる⇒客観性】は、天秤座に通じるものがあります。

さて、本題に。7番目の橋が落ちるときの【7】が象徴しているものは、何でしょう。私は、ズバリ【他力本願】という意味合いで使われているのではないかと推測しました。自分と相手の距離や力量の違いを見誤ると、届きそうなものにも手が届かず、つかみかけた幸運も幻になる。自らの欲望へのコミットの姿勢、距離感、知恵を活かす方向性の教訓を〈ボルボの最期〉が語っているのではないかと思います。

脚本家の意図はわかりませんが、こうして想像する時間は贅沢で、とてもリラックスできます。うん、満足。しかし、段々と、あらすじがあらすじではなく、テープ起こしに近い感覚になりつつあるなぁ。まー、いいか!

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なんちゃって、数秘術。ご参考までに👇 

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あっ、全身…は【前進】の間違いですね。そのうち、訂正しておきます。


 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

Kohyuzu(こうゆづ☆)