こうゆづ☆の【とおまわり】

令和元年12月に、ブログタイトルを変更しました。心の動くままに、とっちらかったテーマで書いています。

LUPIN THE THIRD FIRST TV『010:ニセ札つくりを狙え!』カリオストロの城への布石かも…ね

ご訪問ありがとうございます。Kohyuzuです。ルパン三世のテレビシリーズを第一話から見直して、ただ感想を書くというだけの試みの10回目。とうとう二桁に突入しました!今作は、原作にはない初のテレビアニメオリジナルエピソードです。懐かしい記憶の扉を開けて、楽しんでいただけると嬉しいです。 では、早速、ルパンに会いにいってみよ~!

 

第十話『ニセ札つくりを狙え!』(1971年12月26日放映 / 脚本:さわき とおる)

〈登場人物〉ルパン・次元大介峰不二子・銀狐・イワノフ・ウクライナ男爵・フリンチ 

冒頭、〈行くぜ!〉と、ある車を待ち伏せするルパンと次元。〈男爵の吠え面がみてぇもんだな…〉と、車内のアタッシュケースに入った【ニセ札】を奪う。ニセ札の束を手にして〈だけどよ、ルパン、なんとか使えないもんかな…〉と未練が残る次元に対し、ルパンは〈ニセ札として完璧ではないんだ、そいつは…素人だけ騙くらかすという根性が気にくわないんだよ。ニセ札っていうものは【造幣局】と張り合うくらいのものじゃないとニセ札とはいえない〉〈完璧なニセ札をつくって、男爵の鼻をあかさないことには、オレ様の気がすまないんだよ。〉と言い放ち、出来損ないのニセ札を上空から派手にばらまく。そのニセ札には【作ったやつ:ウクライナ男爵、捨てたのは:ルパン三世】という文字が書かれていた。

  1. 遥か北方、コワルスキー王国を目指すルパンと次元。この国には、30年前にニセ札界の女王として君臨していた〈ウクライナの銀狐〉とニセ札つくりの名人でマクロの指をもつ〈イワノフ〉という男が住んでいるという。最高かつ完璧なニセ札づくりを目論むルパンたちは、同じくイワノフの技術を狙っている銀狐の甥っ子〈ウクライナ男爵〉とその部下〈フリンチ〉との勝負に挑む。一方で、男爵は、ルパンの王国行きを阻止する作戦を〈峰不二子〉に依頼する。王国を目指すルパンと上空で遭遇した不二子は、ルパンたちが乗ったヘリを容赦なく墜落させる。ところが、ルパンたちは不死身。不二子のスキをついて彼女のヘリを奪い〈不二子ちゃんを置いていくのはさみしいな、Bye!〉と投げキッスをして、再び次元と王国へ向かう。
  2. その頃、銀狐は、大時計の鐘が12時ちょうどに鳴り響くのを確認し、外出先から帰宅する。銀狐とイワノフの和やかな会話のシーン〈ご機嫌いかがです、イワノフ。〉〈はい、快適です、奥様。この大時計のように規則正しい生活が健康を保障してくれます。〉〈そう、それは結構。〉と、そこへ呼び鈴が鳴る。訪問者は、銀狐の甥であるウクライナ男爵。〈伯母さん、イワノフを貸してください。どうしてもイワノフの技術が必要なんだ。彼のミクロの指が。〉という甥に、銀狐は〈残念ながら、イワノフはいないよ。とっくにニセ札とは縁を切って、時計を集めて静かに暮らしているんだ。ニセ札の話はよしてくれ。〉と甥の頼みを突っぱねる。〈イワノフを独り占めしようったって、そうはいきませんよ。〉と男爵。そこへ、客人の知らせが入る。
  3. 応接間には、銭形警部の姿があった。〈遠路はるばるなんのご用?〉と銀狐。〈ルパン三世という大泥棒が当地へ潜入したのです。〉と銭形警部。ルパン三世?知りませんね、そんな名は。おそらくどこかのコソ泥でしょう。〉と相手にせず〈気をつけましょう。ところで、あなたに御礼をしなければ〉と、躊躇なく防犯装置を作動させる。銀狐に変装を見抜かれていたルパン。〈さすが、銀狐。イワノフをお借りしたい〉と告げる。ここでも銀狐は〈あなたも大した坊やだこと。私のところに直接挨拶にくるんだからね。(と、認めつつ)あなた自身の命を縮めたくなかったら、さっさとお帰りなさい。ルパンさん〉と断る。再び防犯装置を作動させようとした銀狐に〈また会おうぜ、ばあさん。〉と告げ、逃走。ところが、時計台の針が鋭い刃になっていることに気づき〈アラ~〉と、一直線に滑り落ちる。〈あー、いわんこっちゃないな、ルパン。〉と次元。〈聞きしに勝る手強いばあさんだ。イワノフ連れ出すのも、こりゃ容易じゃないぜ。〉とルパン。
  4. 宿泊先のホテルに戻ると、部屋では峰不二子が待っていた。〈なんの用だ、不二子。〉と警戒するルパンに〈まぁ、なんてご挨拶かしら、とっても素敵な取引にあがったっていうのに。イワノフの居所を知っているかもしれない〉と持ち掛ける。仲間に入れてほしいという不二子に、次元は〈オレは、降~りた。この取引はどうも嫌な予感がするんだ。〉と告げ、部屋を出ていく。不二子は、取引に応じたルパンに写真をみせる。そこには、時計台の10時の〈ゼロ〉の窓から顔を覗かせるイワノフの姿が映っていた。
  5. 外は、豪雪、吹き荒れる風。屋敷を捜索中の男爵をしり目に、岩壁をのぼり地道に時計台を目指すルパン。と、突風で写真が飛んでいく。追いかけようとして落ちそうになるが、長針にしがみつき事なきを得る。〈まぁ、とにかくだ。こうやって、おとなしくしていりゃ、あそこまでは自然に運んでくれることになってるんだ。〉と、長針が10に届くのを凍えながら待つルパン。そうして、大時計の内部に忍び込むことに成功する。そこへ、銀狐が燭台をもって出てくる。〈あのばあさん、一体どこから出てきやがったんだ。〉と探り、隠し部屋の扉にたどりつく。そこには、ルパンの想像を超え、本物以上に完璧とおぼしきニセ札が!〈お待ちしておりました、ルパン様〉とイワノフ。〈あんた、久しぶりに身震いするような感激をオレに味あわせてくれたぜ。すげぇや、どうだい、おれと組まないか。あんたの芸術を。〉と興奮気味に持ち掛ける。〈私はもう、新しい仕事をする気にはなりません。奥様と時計たちに囲まれて静かに余生を送りたいのです。〉と首をふるイワノフ。ルパンはなおも、諦めずにイワノフに迫るが、3段じかけの落とし穴で屋敷の1階まで戻されてしまう。と、落ちた先には、男爵とフリンチの姿が!〈ルパンを追え〉と命じる男爵。ルパンとフリンチ率いる部下たち共々、屋敷の仕掛けから、外へ放り出されてしまう。かろうじて落ちずに、屋敷内に留まった男爵。
  6. 屋敷の窓から〈みてごらん、イワノフ、鬼ごっこの真っ最中よ。まぁ、元気だこと。ほんとになにが面白くてあんなに飛び回っているのかしら。〉と銀狐。そこへ、男爵が現れる。銀狐は〈 あら、どうしたことでしょう。あなたは行かなかったの?〉と話しかける。〈みつけたぞ、イワノフ。イワノフはもらっていくぜ、動くんじゃねぇ〉と、男爵は銀狐に銃をむける。なおも、銀狐は〈おやめなさい。あなたにはニセ金を動かすような才能はありません。〉と言い放つ。イワノフは、男爵に〈お断りします。〉と応える。逆上した男爵は〈オレのものにならないなら、お前の指を粉々にしてやる。〉と迫った瞬間に、銀狐は男爵を撃つ。男爵も倒れざまに銀狐を撃ち、二人は相打ちで倒れる。〈奥様、奥様。奥様、お気を確かに。私はいつも奥様のお側です。〉と駆け寄るイワノフ。〈よかったですね、イワノフ。これでお前もニセ札作りから解放されますね。さようなら〉と、逝ってしまう。うなだれるイワノフ。時計の鐘が響き渡る。
  7. 銀狐が眠ったとき、外では、銃撃戦がおこなわれていた。走って逃げるルパン。フリンチの車のフロントガラスは、防弾ガラスで拳銃は通用しない。なおも、丸腰のルパンへ、フリンチは砲撃をあびせる。そこへ、不二子が登場し、フリンチの銃を粉砕する。〈この裏切り者め、クソッ、独り占めする気だな。〉とフリンチ。〈やっと気が付いたようね。イワノフは、私がもらっていくわよ。)と不二子。〈さーて、それはどうかな。〉とルパン。〈じゃ、元気でね、Bye!〉と不二子は去っていく。〈今度会ったら逆さづりだぞ!〉とルパン。引き続き、試合続行、殴り合いを楽しむルパンとフリンチ。
  8. 奥様の周囲に花をあしらい、時計のネジを巻くイワノフ。3時ちょうどの鐘とともに屋敷は業火に包まれ【大噴火】する。イワノフの余生は奥様と共に在ったのだ。目の前で大爆発を見届けた不二子は、〈あーぁ、最低。〉と立ち尽くす。〈なんか妙な音が聞こえなかったか。〉とルパン。〈さぁな、ちょっと耳鳴りがひどくてよく分からなかった〉とフリンチ。迎えにきた次元に〈歯ごたえがある方にはちがいねぇがな。俺の敵じゃなかった。〉と、フリンチとの殴り合いの一部始終を話すルパン。〈わかったよ、フリンチの話は聞き飽きた。完全のニセ札はどうだったんだ?〉と訊ねるが、ルパンはフリンチの話をやめない。〈奴のパンチには腰がないから、かすりもしねぇんだ。聞いてるのか、次元。〉やれやれとため息交じりに、ルパンに付き合う次元。二人の足跡が、いつまでも雪道に続いておりましたとさ。おしまい。
     

 

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◆こうゆづ的*第十話の№1シーン

第十話は、主要な登場人物以外のキャラクタの個性が炸裂している作品です。なので、あらすじも、自然と、テレビアニメの台詞を意識した流れになり、結果、テレビアニメの詳細を描くことになりました。銀狐の気高さと気品、胆力は、さすが【女主人】といった趣き。そして、イワノフ。彼はニセ札づくりには欠かせないキーマンです。

銀狐の最期の看取りの場面で、屋敷そのものを焼き尽くしてしまうイワノフの生き様をみると、銀狐とイワノフは一心胴体、運命共同体であったのだと気づかされ、胸をうたれます。

もちろん、この2人の最期も、かなり見ごたえのあるシーンなのですが、今回は、イワノフの技術にほれ込んだ〈ルパン〉と選ばれた職人であり時計コレクターでもある〈イワノフ〉の【交渉・対決】シーンを№1にしてみました。なぜなら、ルパンは、銀狐とイワノフの強い絆に、なす術なく、計画は頓挫。目的を果たせなかったのですから…。潔い玉砕、手も足もでないとはこのことですね。

では、ルパンの訪問を大時計の隠し部屋で待っていたイワノフとルパンの交渉シーンをどうぞ!

  • ルパン:こりゃ、すごい、本物そっくりだ。いやー、本物以上かもしれん。こりゃもう芸術だ、最高の芸術作品だ。素晴らしい!
  • イワノフ:『お待ちしておりました。ルパン様。』
  • ルパン:イワノフ。やぁ、素晴らしい。あんたの腕がこれほどだと思わなかったぜ。まさに神業だ。あんっ…これは、失敗作かい?
  • イワノフ:『それは、本物でございます。』
  • ルパン:本物よりいいなんて。もったいねぇ。おれはな、あんたのような世紀の芸術家をこんなところで、むざむざ埋もれさせはしねぇぞ。
  • イワノフ:『私は仕事の依頼をお断りするために、今まで何人もの人を殺してきました。が、それも、もうしたくありません。どうかこのままお引き取りください。』
  • ルパン:こんなに素晴らしい腕をみせつけておいて、帰れなんてあんたも残酷な人だぜ。
  • イワノフ:『どうかお引き取りください。」と背を向ける。
  • ルパン:そうはいかないんだ、イワノフ。俺と一緒にきてもらうぜ。と拳銃を取り出す。
  • イワノフ:『どうあっても、お引き取り願えませんか。』

諦めないルパンは、落とし穴へ。

  • イワノフ:『どうかあきらめてください。』
  • ルパン:おれは絶対、あきらめないぞ。
  • イワノフ:『仕方がありません。』

さらに、もう一段下の落とし穴へ

  • イワノフ:『どうしてもお引き取り願えませんか。』

さらに、もう一段。都合、3度。1階まで落とされる。

  • ルパン:あらー、何度でも来てやるからな! 

今作で銭形警部に変装したルパンは、銀狐とのやり取りの中で、ルパン三世のことを〈その男にかかったら、世界で盗み出せないものなどありません。〉と伝えている。しかし、銀狐には、終始、坊や扱いされ、イワノフへの説得は空振り。本来の目的である【完璧なニセ札づくり】は叶わず、計画は失敗。なにも盗み出すことが出来なかった。

フリンチとの殴り合いで終わる結末は、本来の目的を成し遂げられなかったルパンの〈羞恥心〉、傷を負った〈プライド〉を回復するために用意されたものではないだろうか。つまり、ボコボコに殴られるという【肉体の痛み】を知覚することで、少しでもルパンの【心の傷】を緩和させようする【二次的効果】を狙ったものであるように思う。

また、次元に〈ニセ札づくりはどうなったんだ?〉と、ずばり本質をつかれ、それをはぐらかすように延々と話し続けるシーン。ここでは、ルパンの気まずさ、あるいは、照れ隠し的な感情がストレートに伝わってくる。あたかも、フリンチとの決闘が本来の目的であり、男の勲章であるかのようにふるまう様子に、ルパンというキャラクターの【イタさ】、一抹の寂しさ、やり切れなさを感じずにはいられない。

しかし、その一方で、作品をみている私は、万能ではないルパンの〈人間臭さ〉を発見し共感する。そして、より身近な存在であるかのような〈錯覚〉を認めて、我が子に愛情を注ぐ〈母性的な愛着〉を自覚するのだ。さらには、豊かな可能性を秘めたルパンというキャラクターの才能、作品への期待感が、一層に高まっていくのだから、面白い。

【失敗は、成功のもと】とは、ある意味、こういった私自身の心の機微、感情を伴うプロセスを示唆しているといえるのではなかろうか。ルパンがルパンであり続ける所以は、私がルパンに恋い焦がれる所以でもあるらしい…。こんなことを意識した第十話でありました。


さらに、今回の話の中では、峰不二子の【本質】が散りばめられた台詞をいくつか見つけることができるのも、見どころのひとつ。備忘録的にざっと記してみると

  1. フリンチが男爵に〈ルパンの相棒の女〉であると、峰不二子を紹介するシーン
    【心配しなくたっていいわよ、男爵さん。私はいつも有利な方につく。損な取引はしないわ。ルパンは立ったわよ。】
  2. ルパンと次元の王国行きを妨害する作戦を実行するシーン
    【素敵なところでお会いしたわね、ルパンさん】(この後、不二子はルパンのヘリに集中砲火を浴びせて、ルパンたちのヘリを墜落させる。)
    【ちょっと、あっけなさすぎたわね。ルパンの最後にしちゃ、さびしいな。ちょっとだけ。】(ヘリを奪われ、取り残されて)【あー、待ってよ。ルパン!】
  3. インペリアルホテルでルパンと次元に取引を持ち掛けるシーン
    交換条件だけど、私を仲間にいれてくださる?】(断ったら)【男爵に言いつけるだけ。】(不二子が渡した写真をみて、これがどうしたっていうんだ?というルパンに)【もっと目を皿のようにして、もっとよーく、真剣に
  4. ルパンとフリンチの鬼ごっご(戦闘)中に、突如、登場したシーン
    【フリンチ。あなたもプロのつもりなら対等にやるべきよ。卑怯だわ。】 

変幻自在な柔軟性、情報や人の心を巧みにつかみ、操作する知性、クルクルと目まぐるしく変わる表情と素直でオーバーな感情表現。これらの傾向を踏まえると峰不二子は【風】の人と言えるかもしれない。しかし、これら〈風〉の資質をなんのために使うのか?ということになると、非常にドライな側面が見えてくる。

自分の欲望に忠実で、計算高く、利益を重視する傾向が強い。狙った獲物は、どんなことをしても、どんなに時間がかかっても、手に入れようとする。自分の魅力を熟知して、女であることをうまく利用することができる貪欲さ。不二子の根本にあるのは、【飢え】。この上ない〈渇望・狩りの欲求〉であると思う。この渇き具合は、現物に価値を見出す【土】の本質を見事に表わしているのではないでしょうか。

〈土〉の真面目で重苦しい本質を好奇心旺盛な軽やかな〈風〉で見事に演じて乗り越える。峰不二子の中に共存するものは【土+風】。基本的には、相容れない二つの元素。恐らく、不二子自身にも、自分というものが掴みどころのない生物に映っているのではないでしょうか。【理解不能】であるということ、その不可解な生き様こそが、彼女の最大限の武器であり、魅力であると思う。

彼女の爪の垢を煎じて飲んでみたい…。叶わぬ願望を夢みる私なのでありました。

 

〈おまけ〉次元が不二子を仲間に入れるのを否としたときの台詞

  • お~りた。あったりまえじゃねぇか。こんな女を仲間にいれるのは、爆弾抱えて火事場をウロウロしているようなもんだぜ。悪いけど、ルパン、じゃあな。気をつけるんだな、女には。

実は、次元が不二子の本質を、直観的にもっとも的確にとらえているのではないでしょうか。巧みな【風】使いである次元のなかなかに興味深いセリフです。

 

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以前の記事で、火・風・水・土の4元素の特徴について、触れました。ザックリまとめると以下のとおり。今後も、登場人物の特徴をタロットカードに当てはめながら、遊んでみたいと思いますので、よかったら、参考にしてください。

 ◆4元素図(火・風・水・土)

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最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

Kohyuzu(こうゆづ☆)