こうゆづ☆の【とおまわり】

令和元年12月に、ブログタイトルを変更しました。心の動くままに、とっちらかったテーマで書いています。

妖怪noことほぎ★今日と明日の30文字なるもの【the 28-29th】

ご訪問ありがとうございます。Kohyuzuです。今日は、散歩中にリードの金具が外れ、肝を冷やしました。今までも、何度か同じようなことはあり、注意を払っているのですが、どうしても、犬たちの突拍子のない動きについていけずに、外れてしまうことがあります。今日は、過去最長距離30mほどを、必死に追いかけました。

ちょうどそのとき、私が落とした袋を拾って、親切に追いかけてきてくださった方がいました。その方が声をかけてくれなかったら、最悪の事態になっていたかもしれない。日本語に不慣れな様子があり、その方の声が、かなり大きかったおかげで、一瞬、犬がこちらを振り向いて、立ち止まったのです。その瞬間を逃さずキャッチ!

本当に、助かりました。「袋を探しているかもしれないと思って」と、笑顔で袋を届けてくれた彼女が【救世主】にみえました。このような優しさの折にふれると、胸がグッと熱くなって、涙がこぼれそうになります。若い頃は、クールでドライ、涙なんか一滴も流さないようなイメージの私でしたが、涙もろくなったものです。

一説には、涙もろさは【脳の老化】なのだとか。喜びや感謝を伝える涙なら、老化だろうがなんだろうがイイかなーと思います。犬たちとの付き合いも、16年。犬はおじいちゃんになり、その間、私も年をとりました。犬たちの動きは、かなり緩慢になりましたが、私の反射神経も鈍くなっているので、お互い様といったところです。救世主さまに感謝!

 

それでは、今日も妖怪がおくる【今日と明日の30文字なるもの】へ、いってみよー!

 

【0604】今日の妖怪365

天降女子(あもれうなぐ):克己復礼
《はじめの一歩》あなたにとって有益なものを見極めましょう。厳選したものを大切にするのです。

 

【0605】明日の妖怪365

浅茅ヶ原の鬼婆:私利私欲
《はじめの一歩》大切な人にこそ、あなたの愛情を出し惜しみせずに、表現してみましょう。

 

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今日の妖怪は、【天降女子(あもれうなぐ)】でした。 各地に伝わる羽衣伝説のひとつですが、天降女子は、鹿児島県奄美大島にのみ伝わるお話です。おおよそ、羽衣伝説は、羽衣をまとって天から下りてきた〈天女〉とその天女に恋をする〈男〉を中心にストーリーが展開していきます。

有名なのは、丹後の国(京都府丹後市)に伝わる物語でしょうか。天に帰らず、この地にとどまった天女というのが、伊勢神宮外宮に祀られる豊宇気毘売神(トヨウケビメ)であるといわれています。

奄美地方の物語は、他の羽衣伝説とは一線を画したストーリー展開です。天降女子には、地上に降り立つ明確な目的があります。好みの男性を求めてやってくるのです。

天降女子が地上に現れるときには、いつも小雨が降ったそうです。白い風呂敷をまとって、地上に降りてきた天女は、男性をみつけると、妖艶に微笑みながら、男性を手招きします。その魔性ぶりは、百発百中…とはいかなかったようですが、天女の誘惑に負けてしまった男性は、生命を奪われてしまうというのです。仮に、誘惑に耐えたとしても、天女が勧める柄杓の中にある水を飲んでしまうと、魂を奪われてしまうのです。

それでも、生命や魂を抜かれてしまわない対策もあったようで、〈①誘惑されたとき、天女を睨み返す/②柄杓の水を飲むときには、柄を下から支えて持つ〉これら2つのことを守れば、生命までは奪われずにすんだそうです。

それにしても、相手は【魔性の天女】ですからね。男性にとっては、とても抗いがたい誘惑であったことでしょう。人というのは、とことん試される性をもった生物のようです。こういった誘惑は、現世においても、溢れんばかりに散りばめられています。

 

不慮の事故というのは、いつどこで、発生するか分からないものです。悪事を働いているとか、温厚だとか、慕われているとか、孤独だとか、そういった性質とは、全く関係のないところで、突如として起こります。

なぜ、私がこんな目に…という、【なぜ】を探しても、意味をなさないこと、理不尽なことは、この世にごまんとあります。頭では理解していても、心が追いつかない。その結果、原因を必死になって追い求めてしまうのは、当然の理だと感じます。それでも、人は、やるせない性と向きあい、生を全うすることを強いられる運命とともにあります。

だからこそ、しんどいことは、しんどい。嬉しいことは、嬉しい。喜怒哀楽の感情を素直に表出できる居場所を、人は【よりどころ】にするのかもしれません。

ネット社会は、その最たる象徴であるといえそうです。〈個〉に目覚めて、個性を尊重しつつ、世界中の人々と、瞬時につながれる世界。文化、民族、国家の多様性に目を向けるとき、人は、自分の中にながれる鉱脈、【血筋】というものを意識せざるをえない。それは、ある意味、自分が所属する社会生活以上に、シビアな世界であるような気もします。

天降女子は、自分のテリトリー内に男性が侵入してくることを、手ぐすねをひいて待っています。さながら、ネット社会で網を張って、カモがやってくるのを待っているハンターのようです。自分は何者なのか、自分の核になる信念・思想はなにか、何を仕掛けられても、自分であることを主張できる、しなやかな軸(芯)を、クリアにしておくことで、万全に準備された〈誘惑〉にさえ、打ち克つことができるのではないでしょうか。

天降女子の伝説は、莫大にあふれる情報社会の中で、自分に本当に必要な純度の高いものだけを選択し、育んでいくことが、あなたにとってどのような意味をもつのかを問うてくれています。

羽衣が、白い風呂敷…というのは、なんとも滑稽だと思うのは、私だけでしょうか。〈白〉という色が象徴する意味には、【清廉潔白、純真、浄化、クリアにする】などがあります。色仕掛けで誘惑し、魂を抜くという恐ろしさの対極にあるような色。この白色を選んだあたりに、なにか伏線のような意図が隠されているのではないかと、想像をかき立てられます。なんとも、心憎い演出ではないですか!

もしかすると、誘惑に耐えて、本来の【白色】の自分に立ち返るよう、警鐘をならしているのかもしれません。伝説の数だけ、解釈も様々。羽衣という美しさの中に、人の危うさ、弱さのようなものが透けてみえる物語であると思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

Kohyuzu(こうゆづ☆)