こうゆづ☆の【とおまわり】

令和元年12月に、ブログタイトルを変更しました。心の動くままに、とっちらかったテーマで書いています。

【エッセイ的な備忘録】フレグランスの基礎の基礎

---フレグランスの向こう側

〈調香師〉という名称に
なんとなく、ふわっと導かれて
たまには、香水を選んでみるか…と
思わなくもないけれど

フレグランスには、とても疎い私。

人工的で強い香りの
海外製品は、特に苦手。

今でこそ、ナチュラルな香りのモノも
選べるようになったけど

〈シャネルの5番〉が
流行っていた時代には

身にまとう香水で
セクシャリティの魅力が高まる
そう信じきった男と女。

みな同じような香りを
鼻先に残して
行ったり来たりしていた。

海外のお土産の定番は
新作のフレグランス。
等身大の私には
滑稽で、ちぐはぐで
必要のないもの。

それでも、要らないと言えなくて
ぎこちない笑顔をつくっては
欲しがるフリをしていた。

香水がステイタス?
どこに個性があるのだろう…
いつも、そう思っていた。

香水が薫る売り場も、
香水が似合う雰囲気も
タバコの煙が漂う場所も
きらびやかなミラーボールも
ゴージャスなシャンデリアも
据えた香りが残る葉巻も
爆音が轟くディスコも

全部、嫌いだった。

私はアロマテラピーを好んで
ほんのり香るくらいの
エッセンシャルオイル
ひとり、楽しんでいた。

鼻で笑ったり
陰口を叩かれたり
そんなことは
なんてことはなかった。

むしろ、誘われることの方が
こわかった。
断る言葉を探すのは
大抵の場合、面倒だ。

 

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25年経った今
人よりだいぶ遅れて
フレグランスの売り場で
彼のために
香水を選んでいる私がいた。

フレグランスの種類は
香料の配合率によって
呼び名が変わる。

もっとも配合率が高いのは
パルファムで15-30%
持続時間も最も長い。

次にオードパルファム
7-15%の配合率で
6時間ほど香る。

そして、オードトワレ
5-10%の配合で
3-4時間程度楽しめる。

オーデコロンは
配合率、5パーセント未満
1-2時間で消失する。


私が気に入ったのは、オードトワレ。

 

店員さんは
とても丁寧に言葉をつむぐ。
好きなことを
説明するときの表情は
とても豊かにクルクル変わる。


香りの成分は、
時間によって変化する。

これは、揮発の速度〈ノート〉といって
基本的には、精油と同じ考え方。

10-30分で香るのがトップ
第一印象はこれで決まる。
シトラスやハーバル系の香りが多く
初心者でもなじみやすい
爽やかな香りが特徴的。

続いて香るのがミドル
おおよそ1時間ほど楽しめる
香りの中心となる
〈THE Fragrance / Aroma〉
フローラル系の華やかさを
十分に吟味して。

そして、ラスト
2-3時間後から消えゆくまで
その人と同居する香り
スイート、クール、キュート
ムーディー、オリエンタル
思う存分、遊んで。

エッセンシャルオイル
つくった香水は
いつも、手首や耳の後ろに
つけていたけれど

さりげなく、スマートに
楽しむのなら
足首やウエストに
つけるのもありですよと
店員さんが教えてくれた。

私が一人で選んだ
はじめての香水は

【ペンハリガン】

英国王室御用達の1本だ。

もちろん、謂れは知らなかったけれど
ブリティッシュ好きの彼なら
きっと気に入ってくれるだろう。

なぜか、そう確信したとき
嫌いだったはずの
フレグランス売り場の香りを
私は
胸を開いて
思いっきり吸い込んでいた。

いまなら
天高く舞い上がって
まだ見ぬ世界へ飛んでいけそうな

新たな自分に
生まれ変われそうな

くすぐったい心持ちを
帰路につくまでの間
いつまでも、いつまでも
握りしめていた。

 

Fin

 

Kohyuzuより愛をこめて