こうゆづ☆の【とおまわり】

令和元年12月に、ブログタイトルを変更しました。心の動くままに、とっちらかったテーマで書いています。

LUPIN THE THIRD FIRST TV『011:7番目の橋が落ちるとき』ルパンの銃がむかう先

ご訪問ありがとうございます。Kohyuzuです。ルパン三世のテレビシリーズを第一話から見直して、ただ感想を書くというだけの試みの11回目。前作より、Secondシーズン【赤ジャケ】ルパンに向けて、徐々にテコ入れが行われはじめたよ…という感じのエピソードが登場。クレジット表記こそありませんが、宮崎駿さんの個性が所々に散りばめられています。『カリオストロの城』が好きなファンの方々には、ぜひ、このファーストシリーズの第十話と十一話は、アニメーションでみていただきたい、おススメの作品です。それでは、早速、ルパンに会いにいってみよ~!

 

第十一話『7番目の橋が落ちるとき』(1972年1月2日放映 / 脚本:宮田 雪)

〈登場人物〉ルパン・次元大介・銭形警部・ボルボ・リーサ

冒頭、橋を点検する警官たち。〈異常ないか?猫の仔一匹、近寄っていません。よし、オレは次の橋に行く。警戒を続けろ。はっ〉と、そのとき橋が爆発する。テレビからは、〈1週間に4つの橋を破壊したルパンは、昨晩5番目の橋を爆破しました。死傷者は数十名…〉と、ニュースが流れている。そこには〈ルパンは近日中に第6番目の橋を爆破すると予告しております。ルパン、必ず貴様ごと、つかまえてやるぞ。〉と息巻く銭形警部の姿も映しだされていた。

  1. 何者かが〈ルパン三世〉の名を騙り、5つの橋を順に爆破している。ルパンは、一連の犯行が中央銀行の〈現金輸送車襲撃計画〉の一環であると推測する。真犯人は、計画的に橋を破壊して輸送車のルートを限定し、都合の良い場所に誘きよせる作戦なのだ。ルパンと次元は真犯人の正体を暴くべく、爆破予告の〈6番目の橋〉へと向かう。橋の支柱を潜水して点検する次元。そこで、無線式の時限爆弾を発見する。
  2. 翌朝、爆破予告の橋の上では〈昨夜は爆発事件はなかった…〉と、警官が胸をなでおろす中、ルパンは不発の理由を求めて、必ず犯人が橋の近くに現れると予測。すると、キャプテンロックのような風貌をした男が釣り竿をもって現れる。男は竿を投げたが、なにかに引っ掛けて糸が切れてしまう。その様子をみて、大笑いする警官と次元。〈あれが、犯人だっていうのかい?今のうちに飯でも食おうやルパン。〉という次元に〈みろよ、引っ掛かったはずの【浮き】が流れてくるぜ。なんか匂わんか?次元。〉と応じるルパン。〈ジ:さぁ、【ただの浮き】だが…。変だな、くるくるまわってるぜ。〉〈ル:糸巻だよ、糸巻。それに釣り針が強力な磁石だとしたら。【誰が浮きを拾うか…】つきとめるんだ。〉〈ジ:OK〉と、地上から【浮きを追う】次元。そして一艘のボートが【浮きを回収】し、ある館に入っていくのを突き止める。

  3.  ルパンと次元は屋敷に忍び込むが、アッサリと真犯人の〈ボルボ〉に捕らえられてしまう。〈クソー、ルパン三世一生の不覚。〉と罠に気づいたルパン。次元は銃を撃つが、防弾ガラスに跳ね返されてしまう。ボルボの狙いは、何年もかけて準備してきた現金輸送車襲撃計画の【実行】をルパンたちに任せ、罪をなすりつけること。ルパンは〈今度は、オレに命令する気かい?このルパン様によ。オレを甘くみるんじゃないぜ。この檻なんて逃げる気になりゃ、すぐに抜け出してみせる〉と断る。ところが、ボルボは、リーサという名の美少女を誘拐していた。〈美しい子でしょう?つまり、この娘の命は、君の返事いかんにかかっているということですな。〉と脅迫する。それでも〈ばかやろ。笑わせるな。〉と拒否するルパンの前で〈これを見たまえ〉と、椅子に座った人形が真っ二つに切断される装置を作動して見せる。〈きちがいだ…〉と、驚愕するルパン。〈ルパン君、覚えておいてくれたまえ。君が裏切ったとき、この娘は死ぬ。この厳しい現実をね。〉と、無理やり、計画の実行を承諾させられてしまう。

  4.  ボルボは〈ゴースト街〉で輸送車を襲う計画を練っていた。【取壊しが決定し人々が住んでいない、道は曲がりくねっていて見通しが悪く、輸送車がやっと通れるだけの道幅しかない街】で完璧な計画だと、胸を張る。7番目以降の橋を次々破壊して街中を混乱させ、中央銀行の正面玄関から朝6時に出発する輸送車を、ゴースト街で爆破させるよう、ルパンたちに指示する。計画を聞いたルパンは〈気に入らねぇや。たかが車1台に大ごとすぎらぁ。ピストル1丁で十分やれるぜ。ルパン流にやらせてもらうさ。粋にやろうぜ、粋によぉ!〉と、爆破装置のリモコンをボルボへ投げ返す。〈いいでしょう。失敗したら責任をとってもらいますよ。〉とボルボ。〈おぅ、うまくいったら娘を返してもらうぜ。〉とルパン。

  5. 翌朝〈準備はいいかね、ルパン君。〉と、無線で現金輸送車の中継をするボルボ。一方、ゴースト街では〈ル:焦ったって仕方ねぇ。〉〈ジ:へっ、ひとりで張り切ってやがる。〉と、二人はのんびり煙草をふかしていた。A⇒B⇒C⇒D⇒E地点を過ぎたところで、ようやく動き出す。運転手が〈ゴースト街、嫌な街だぜ。〉と輸送車を走らせている。次元は、輸送車の正規のルートを扉が描かれたボードで塞ぐ。〈おかしいな、道を間違えたかな。この辺りは、ややこしいんだ。左へ行くんじゃないか。〉迷いこんだ輸送車に銃弾をあびせる次元。〈襲撃だ!〉と逃げる輸送車の目前には、橋が迫っていた。〈ひぇー、まただ。〉と、急ブレーキをかけた輸送車は横転し、ルパンたちが予め用意していたボートへ。〈はい、おしまい〉とばかりに、現金輸送車ごとの回収に成功する。
  6. ボートでの会話のシーン〈甘い、甘いぜ、ルパン。あの男はそんな男じゃねぇ。リーサを渡すわけがねぇ。この金もってずらかるぜ。なぁ、そうしようぜ。なぁ、なぁ、ルパン。〉〈ばか!俺の言う通りにやりゃいいんだよ。〉とルパン。一方、ボルボは〈すぐ助けにきてください。公園の桟橋にいます〉と銭形警部へ電話をかけ、ボートにリーサを乗せ【待ち合わせの桟橋】へと向かう。
    • ルパン:リーサは?
    • ボルボ:この通り無事だ。
    • ルパン:金は持ってきた。リーサを放してもらおうか。
    • ボルボ:約束は守る。トランクを1人でもってこい。止まれ。そこにトランクを置け。
    • ルパン:リーサは?
    • ボルボ:渡す。トランクを置いていけ。

    言われたとおり、トランクを桟橋の途中に置き、ボルボに背を向けてボートに戻り始めたところで、リーサの〈きゃあーぁ!〉という悲鳴が聞こえる。〈何をした!〉と振り返るルパン。ルパンの場所からは、ボルボが樹木の葉をかきわけなければ、リーサの姿はみえない。

    • ボルボ:振り向かずに歩きたまえ。(樹木の葉をかきわけ、リーサは)ココにいる、歩きたまえ。(ルパンの動作に警戒を怠らず、トランクを手に後退りして)ルパン君、娘を渡す。(と、ボルボは素早く樹木の葉の陰へと姿を消す。)
    • リーサ!(と、桟橋を駆けて、木に括りつけられたリーサに辿り着くが、実は、ダミー人形。)

    ボルボは、ボートでリーサと一緒に逃走する。〈クソ―!〉と、次元の待つボートへ向かうその背後に、銭形のパトカーが迫る。

  7. 〈止まれ、撃つぞ。観念しろ。〉と、銭形警部はルパンの両手に錠をかける。逃げるボートからボルボが〈その男だ。そいつが橋を壊した犯人だ。つかまえてください。証拠の写真もあります。〉と。〈あのやろう、ふさげやがって。〉とルパン。そこでリーサが〈違います!ルパンさんではありません、犯人はこの男です。〉と叫ぶ。リーサの声に〈なにごとだ、コリャ一体。〉と混乱する銭形警部。と、船着き場の一部がボルボの乗ったボートにひかれて壊れる。実は、次元が水中で、ボルボのボートにちょっとした仕掛けをしていたのだ。ルパンは、手錠で不自由な両手に銃を構えて、引金をひく。ボルボは撃たれて水中へ。リーサは無事に陸へと戻ってくるが、ボートが暴走。屋敷に衝突寸前で事なきを得るが、ルパンは衝撃で顎を強打する。〈ルパンさん。ありがとうございました。〉と駆け寄るリーサ。見つめ合うルパン…も、束の間〈ルパン、ルパン♬〉と、屋敷の窓からウジャウジャと警官が顔を出す。〈あばよ、リーサ。〉無念の表情で去るルパンを次元がボートで回収していくというオチ。おしまい。

 

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◆こうゆづ的*第十一話の№1シーン

ルパンがボルボに対する殺意を隠さずに、銃弾を放ったシーンをあげたい。手錠を外すことは、ルパンにとってはお手のもののはず。ところが、あえて両手が錠で拘束され、自由にならない状態のまま、敵のボルボを撃ち抜く。ルパンの真剣な表情のアップが映し出されて、無音の静けさが広がる。ルパンの静かな怒りがズバーンと心に響いてくる感慨深い演出だ。

そして、このシーンの余韻を残したまま、最後、次元がルパンをボートで回収していくのである。〈あんな街はこりごりだぜ。〉と言いつつも〈イイ娘(こ)だったなぁ。〉と感傷にひたるルパンに、〈戻りたかったら1人で戻れ。〉とツッコミを入れる次元。ルパンの【殺意】という張り詰めた空気が漂う雰囲気を、次元の皮肉めいた台詞が、さらりと撫でてくれる。お馴染みのパターンに戻ることで、緊張が解け、ホッとする瞬間である。さり気ない、けれども、気の利いた演出。うまい!と思わず呟いてしまう。


それでは、今作に散りばめられたお馴染みのルパンと次元の会話に着目してみよう。

◆6番目の橋で時限爆弾を見つけ出したときの会話

  • ルパン:(水から上がり、くしゃみをする次元に)寒いか?
  • 次元:早く家に帰って風呂にでも入りてぇや。
  • ルパン:ほんじゃ、こいつを戻してくるんだな。(時限爆弾を再び支柱に戻すよう次元に言う。)
  • 次元:あー、ひでぇや。(といいつつ、再び潜水する次元)
  • ルパン:たのむぜ。

なんだかんだ言いながら、結局はルパンの意を汲み、指示に従う次元。次元を信頼するルパン。お互いの【相思相愛】ぶりがキラリとまぶしい会話

◆浮きを追跡して、真犯人の館を突き止める場面

  • 次元:あっちだ、急げ!見失っちまうぞ。もっとスピード出ねぇのか。右へ回ったぞ。はやく、はやく!
  • ルパン:うるせぇな。
  • 次元:(操縦を変わって、望遠鏡をのぞくルパンに)みえるかい?

意外と、せっかち。そして、仕事に忠実なできる男、次元。ルパンの〈うるせぇな!〉の一言で、ボートの操縦を変わる次元との〈阿吽の呼吸〉は、健在である。器用なお方であります。器用貧乏とは、まさに次元のことを言うのでしょう。

ボルボの計画の実行を承諾し、部屋に引き上げたときの会話

  • 次元:あー、なんてこった。このオレたちが人様のために大仕事をするとはね。
  • ルパン:じじいのためにやるんじゃねぇ。
  • 次元:娘のためってのか。冗談じゃねえや。あのじじいが素直に金と娘をとりかえるはずがねぇや。
  • ルパン:金はふところ、証人の娘は消す。オレたちは全部、罪を拾うか背負うか。うまくできてるなぁ、この計画は。明日は明日の風が吹くさ。寝ようぜ、次元。

次元の正論を、軽くいなすルパン。ぼやく次元に、ルパンは飄々としたスタイルを崩さず、なお、絶妙な加減で未来を向く【合いの手】を入れる。逆に、ルパンがぼやいたときには、次元が堅実に寄り添う。ファーストコンタクトでは、お互いに手強い相手であったし、喧嘩もするけれど、基本的にはルパンと次元、相性がよいのでしょう。お互いのツボを心得ていて、会話のテンポが小気味よい。

 

また、今作では、少女に対するルパンの優しさがひかるシーンも見どころです。

  • ルパン:(囚われの身の少女に)コーヒー飲まないか。(と、カップに注いで飲むのを手伝う。)さぁ、飲みな。
  • 少女:ありがとう。
  • ルパン:つれぇだろうが、もうしばらくの我慢だ。明日の今頃は、ベットでおねんねできるわな。なぁ、お嬢さん。(少女がクスッと笑い、ルパンは微笑む)
  • ルパン:名前を聞いてなかったな。
  • 少女:リーサ。
  • ルパン:リーサか、いい名前だ。 

キザだけど、面倒見のよいルパンの温かい一面が伝わってきます。女性の前では、紳士でいたいルパン。不二子でさんざん懲りているのに、かわいこちゃんには弱い。女性が絡む日常は、ルパンの強みでもあり、弱みでもある。その振り幅がとても魅力的です。そんなルパンを間近でみて、性分だから仕方がないと思いつつも、心配でつい口を挟んでしまう次元。時には、やきもち?…と感じるような場面も。頼りになる相棒は、【恋女房】でもあるのかもしれません。

 

最後に、冒頭に述べたもう1つの見どころもみてみよう。リーサが助けてくれたルパンに対し、御礼をいう場面、そして、ルパンが去っていくのを見つめるリーサとその横に銭形警部が立っているという構図は、後の映画作品『カリオストロの城』でのルパンとクラリス、銭形警部の関係性を象徴するようなシーンですね。宮崎駿監督ならではの演出が散りばめられた本作品。アプローチが【水中】であることも、想像をかきたてます。第十話の大時計の演出といい、後の映画につながる【実験的な試み】がなされた作品といえそうです。

今作でルパンたちを陥れる真犯人〈ボルボ〉は、まったくもって魅力を感じない、これといったエピソードもない、ただただ、卑怯な人物として酷に描かれているような気がします。制作の過程では、第二話の主要登場人物〈パイカル〉の弟として〈ラオチュウ〉というキャラクターが用意されていたようですが、結局、登場することはありませんでした。この辺りの路線変更のブレが、犯人のキャラクターの弱さにつながったのかもしれません。

ルパンが明確な意志をもって、ボルボを撃ち抜くシーン。ルパンの怒りは、取引の約束を反故にされた時点で、ピークに達したのでしょう。ルパンの【誇り高さ】と同時に、仕事に対する【潔癖】、背筋が凍るような【厳格】をあわせもつ性質に、ゾクッと震えた瞬間でもあります。味方であるうちは、気のいい奴ですむけれど、敵にまわすのは、厄介、御免だなと、心底、感じたエピソード。個人的には、【黒いルパン】の一面を発見した心持ちになって、ドキッとした作品です。

 

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★おまけ★

なんちゃって、数秘術。キーワードを一覧表にザックリと書き出してみました。タイトル名の橋の数字は【7】です。7というと、ラッキーセブン、セブンシーズ、ドレミファソラシの音階、虹の色などがパッと浮かびます。タロットカードのアテュの7番は【戦車】、占星術で7番目のハウスといえば【天秤座(♎)】、年齢域の7番目の天体といえば【土星(♄)】、長寿のお祝い77歳は【喜寿】。喜は、草書体では〈㐂〉のように表されることから決められたようです。

こうして書き連ねると、7の数字って【シビアな前のめり感】があるなと思いました。キーワードの中の【欲】という感覚は、私の中では、8の数字に近いのですが、自分が欲しいものに手を伸ばす⇒好奇心から派生した【欲】という意味で使われているのかもと気づきました。7は【見極める】という意味も、わりと強いのではないかと感じています。潮目をみる、タイミングを図る。自分の力で歩いてつかみとるというより、なにか勢いのあるものに乗じて、振り落とされないようにコントロールする。うまく戦況を乗り切る。軍師的な強かさも秘めていそうです。この【見極めの姿勢⇒引いてみる⇒客観性】は、天秤座に通じるものがあります。

さて、本題に。7番目の橋が落ちるときの【7】が象徴しているものは、何でしょう。私は、ズバリ【他力本願】という意味合いで使われているのではないかと推測しました。自分と相手の距離や力量の違いを見誤ると、届きそうなものにも手が届かず、つかみかけた幸運も幻になる。自らの欲望へのコミットの姿勢、距離感、知恵を活かす方向性の教訓を〈ボルボの最期〉が語っているのではないかと思います。

脚本家の意図はわかりませんが、こうして想像する時間は贅沢で、とてもリラックスできます。うん、満足。しかし、段々と、あらすじがあらすじではなく、テープ起こしに近い感覚になりつつあるなぁ。まー、いいか!

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なんちゃって、数秘術。ご参考までに👇 

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あっ、全身…は【前進】の間違いですね。そのうち、訂正しておきます。


 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

Kohyuzu(こうゆづ☆)

LUPIN THE THIRD FIRST TV『010:ニセ札つくりを狙え!』カリオストロの城への布石かも…ね

ご訪問ありがとうございます。Kohyuzuです。ルパン三世のテレビシリーズを第一話から見直して、ただ感想を書くというだけの試みの10回目。とうとう二桁に突入しました!今作は、原作にはない初のテレビアニメオリジナルエピソードです。懐かしい記憶の扉を開けて、楽しんでいただけると嬉しいです。 では、早速、ルパンに会いにいってみよ~!

 

第十話『ニセ札つくりを狙え!』(1971年12月26日放映 / 脚本:さわき とおる)

〈登場人物〉ルパン・次元大介峰不二子・銀狐・イワノフ・ウクライナ男爵・フリンチ 

冒頭、〈行くぜ!〉と、ある車を待ち伏せするルパンと次元。〈男爵の吠え面がみてぇもんだな…〉と、車内のアタッシュケースに入った【ニセ札】を奪う。ニセ札の束を手にして〈だけどよ、ルパン、なんとか使えないもんかな…〉と未練が残る次元に対し、ルパンは〈ニセ札として完璧ではないんだ、そいつは…素人だけ騙くらかすという根性が気にくわないんだよ。ニセ札っていうものは【造幣局】と張り合うくらいのものじゃないとニセ札とはいえない〉〈完璧なニセ札をつくって、男爵の鼻をあかさないことには、オレ様の気がすまないんだよ。〉と言い放ち、出来損ないのニセ札を上空から派手にばらまく。そのニセ札には【作ったやつ:ウクライナ男爵、捨てたのは:ルパン三世】という文字が書かれていた。

  1. 遥か北方、コワルスキー王国を目指すルパンと次元。この国には、30年前にニセ札界の女王として君臨していた〈ウクライナの銀狐〉とニセ札つくりの名人でマクロの指をもつ〈イワノフ〉という男が住んでいるという。最高かつ完璧なニセ札づくりを目論むルパンたちは、同じくイワノフの技術を狙っている銀狐の甥っ子〈ウクライナ男爵〉とその部下〈フリンチ〉との勝負に挑む。一方で、男爵は、ルパンの王国行きを阻止する作戦を〈峰不二子〉に依頼する。王国を目指すルパンと上空で遭遇した不二子は、ルパンたちが乗ったヘリを容赦なく墜落させる。ところが、ルパンたちは不死身。不二子のスキをついて彼女のヘリを奪い〈不二子ちゃんを置いていくのはさみしいな、Bye!〉と投げキッスをして、再び次元と王国へ向かう。
  2. その頃、銀狐は、大時計の鐘が12時ちょうどに鳴り響くのを確認し、外出先から帰宅する。銀狐とイワノフの和やかな会話のシーン〈ご機嫌いかがです、イワノフ。〉〈はい、快適です、奥様。この大時計のように規則正しい生活が健康を保障してくれます。〉〈そう、それは結構。〉と、そこへ呼び鈴が鳴る。訪問者は、銀狐の甥であるウクライナ男爵。〈伯母さん、イワノフを貸してください。どうしてもイワノフの技術が必要なんだ。彼のミクロの指が。〉という甥に、銀狐は〈残念ながら、イワノフはいないよ。とっくにニセ札とは縁を切って、時計を集めて静かに暮らしているんだ。ニセ札の話はよしてくれ。〉と甥の頼みを突っぱねる。〈イワノフを独り占めしようったって、そうはいきませんよ。〉と男爵。そこへ、客人の知らせが入る。
  3. 応接間には、銭形警部の姿があった。〈遠路はるばるなんのご用?〉と銀狐。〈ルパン三世という大泥棒が当地へ潜入したのです。〉と銭形警部。ルパン三世?知りませんね、そんな名は。おそらくどこかのコソ泥でしょう。〉と相手にせず〈気をつけましょう。ところで、あなたに御礼をしなければ〉と、躊躇なく防犯装置を作動させる。銀狐に変装を見抜かれていたルパン。〈さすが、銀狐。イワノフをお借りしたい〉と告げる。ここでも銀狐は〈あなたも大した坊やだこと。私のところに直接挨拶にくるんだからね。(と、認めつつ)あなた自身の命を縮めたくなかったら、さっさとお帰りなさい。ルパンさん〉と断る。再び防犯装置を作動させようとした銀狐に〈また会おうぜ、ばあさん。〉と告げ、逃走。ところが、時計台の針が鋭い刃になっていることに気づき〈アラ~〉と、一直線に滑り落ちる。〈あー、いわんこっちゃないな、ルパン。〉と次元。〈聞きしに勝る手強いばあさんだ。イワノフ連れ出すのも、こりゃ容易じゃないぜ。〉とルパン。
  4. 宿泊先のホテルに戻ると、部屋では峰不二子が待っていた。〈なんの用だ、不二子。〉と警戒するルパンに〈まぁ、なんてご挨拶かしら、とっても素敵な取引にあがったっていうのに。イワノフの居所を知っているかもしれない〉と持ち掛ける。仲間に入れてほしいという不二子に、次元は〈オレは、降~りた。この取引はどうも嫌な予感がするんだ。〉と告げ、部屋を出ていく。不二子は、取引に応じたルパンに写真をみせる。そこには、時計台の10時の〈ゼロ〉の窓から顔を覗かせるイワノフの姿が映っていた。
  5. 外は、豪雪、吹き荒れる風。屋敷を捜索中の男爵をしり目に、岩壁をのぼり地道に時計台を目指すルパン。と、突風で写真が飛んでいく。追いかけようとして落ちそうになるが、長針にしがみつき事なきを得る。〈まぁ、とにかくだ。こうやって、おとなしくしていりゃ、あそこまでは自然に運んでくれることになってるんだ。〉と、長針が10に届くのを凍えながら待つルパン。そうして、大時計の内部に忍び込むことに成功する。そこへ、銀狐が燭台をもって出てくる。〈あのばあさん、一体どこから出てきやがったんだ。〉と探り、隠し部屋の扉にたどりつく。そこには、ルパンの想像を超え、本物以上に完璧とおぼしきニセ札が!〈お待ちしておりました、ルパン様〉とイワノフ。〈あんた、久しぶりに身震いするような感激をオレに味あわせてくれたぜ。すげぇや、どうだい、おれと組まないか。あんたの芸術を。〉と興奮気味に持ち掛ける。〈私はもう、新しい仕事をする気にはなりません。奥様と時計たちに囲まれて静かに余生を送りたいのです。〉と首をふるイワノフ。ルパンはなおも、諦めずにイワノフに迫るが、3段じかけの落とし穴で屋敷の1階まで戻されてしまう。と、落ちた先には、男爵とフリンチの姿が!〈ルパンを追え〉と命じる男爵。ルパンとフリンチ率いる部下たち共々、屋敷の仕掛けから、外へ放り出されてしまう。かろうじて落ちずに、屋敷内に留まった男爵。
  6. 屋敷の窓から〈みてごらん、イワノフ、鬼ごっこの真っ最中よ。まぁ、元気だこと。ほんとになにが面白くてあんなに飛び回っているのかしら。〉と銀狐。そこへ、男爵が現れる。銀狐は〈 あら、どうしたことでしょう。あなたは行かなかったの?〉と話しかける。〈みつけたぞ、イワノフ。イワノフはもらっていくぜ、動くんじゃねぇ〉と、男爵は銀狐に銃をむける。なおも、銀狐は〈おやめなさい。あなたにはニセ金を動かすような才能はありません。〉と言い放つ。イワノフは、男爵に〈お断りします。〉と応える。逆上した男爵は〈オレのものにならないなら、お前の指を粉々にしてやる。〉と迫った瞬間に、銀狐は男爵を撃つ。男爵も倒れざまに銀狐を撃ち、二人は相打ちで倒れる。〈奥様、奥様。奥様、お気を確かに。私はいつも奥様のお側です。〉と駆け寄るイワノフ。〈よかったですね、イワノフ。これでお前もニセ札作りから解放されますね。さようなら〉と、逝ってしまう。うなだれるイワノフ。時計の鐘が響き渡る。
  7. 銀狐が眠ったとき、外では、銃撃戦がおこなわれていた。走って逃げるルパン。フリンチの車のフロントガラスは、防弾ガラスで拳銃は通用しない。なおも、丸腰のルパンへ、フリンチは砲撃をあびせる。そこへ、不二子が登場し、フリンチの銃を粉砕する。〈この裏切り者め、クソッ、独り占めする気だな。〉とフリンチ。〈やっと気が付いたようね。イワノフは、私がもらっていくわよ。)と不二子。〈さーて、それはどうかな。〉とルパン。〈じゃ、元気でね、Bye!〉と不二子は去っていく。〈今度会ったら逆さづりだぞ!〉とルパン。引き続き、試合続行、殴り合いを楽しむルパンとフリンチ。
  8. 奥様の周囲に花をあしらい、時計のネジを巻くイワノフ。3時ちょうどの鐘とともに屋敷は業火に包まれ【大噴火】する。イワノフの余生は奥様と共に在ったのだ。目の前で大爆発を見届けた不二子は、〈あーぁ、最低。〉と立ち尽くす。〈なんか妙な音が聞こえなかったか。〉とルパン。〈さぁな、ちょっと耳鳴りがひどくてよく分からなかった〉とフリンチ。迎えにきた次元に〈歯ごたえがある方にはちがいねぇがな。俺の敵じゃなかった。〉と、フリンチとの殴り合いの一部始終を話すルパン。〈わかったよ、フリンチの話は聞き飽きた。完全のニセ札はどうだったんだ?〉と訊ねるが、ルパンはフリンチの話をやめない。〈奴のパンチには腰がないから、かすりもしねぇんだ。聞いてるのか、次元。〉やれやれとため息交じりに、ルパンに付き合う次元。二人の足跡が、いつまでも雪道に続いておりましたとさ。おしまい。
     

 

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◆こうゆづ的*第十話の№1シーン

第十話は、主要な登場人物以外のキャラクタの個性が炸裂している作品です。なので、あらすじも、自然と、テレビアニメの台詞を意識した流れになり、結果、テレビアニメの詳細を描くことになりました。銀狐の気高さと気品、胆力は、さすが【女主人】といった趣き。そして、イワノフ。彼はニセ札づくりには欠かせないキーマンです。

銀狐の最期の看取りの場面で、屋敷そのものを焼き尽くしてしまうイワノフの生き様をみると、銀狐とイワノフは一心胴体、運命共同体であったのだと気づかされ、胸をうたれます。

もちろん、この2人の最期も、かなり見ごたえのあるシーンなのですが、今回は、イワノフの技術にほれ込んだ〈ルパン〉と選ばれた職人であり時計コレクターでもある〈イワノフ〉の【交渉・対決】シーンを№1にしてみました。なぜなら、ルパンは、銀狐とイワノフの強い絆に、なす術なく、計画は頓挫。目的を果たせなかったのですから…。潔い玉砕、手も足もでないとはこのことですね。

では、ルパンの訪問を大時計の隠し部屋で待っていたイワノフとルパンの交渉シーンをどうぞ!

  • ルパン:こりゃ、すごい、本物そっくりだ。いやー、本物以上かもしれん。こりゃもう芸術だ、最高の芸術作品だ。素晴らしい!
  • イワノフ:『お待ちしておりました。ルパン様。』
  • ルパン:イワノフ。やぁ、素晴らしい。あんたの腕がこれほどだと思わなかったぜ。まさに神業だ。あんっ…これは、失敗作かい?
  • イワノフ:『それは、本物でございます。』
  • ルパン:本物よりいいなんて。もったいねぇ。おれはな、あんたのような世紀の芸術家をこんなところで、むざむざ埋もれさせはしねぇぞ。
  • イワノフ:『私は仕事の依頼をお断りするために、今まで何人もの人を殺してきました。が、それも、もうしたくありません。どうかこのままお引き取りください。』
  • ルパン:こんなに素晴らしい腕をみせつけておいて、帰れなんてあんたも残酷な人だぜ。
  • イワノフ:『どうかお引き取りください。」と背を向ける。
  • ルパン:そうはいかないんだ、イワノフ。俺と一緒にきてもらうぜ。と拳銃を取り出す。
  • イワノフ:『どうあっても、お引き取り願えませんか。』

諦めないルパンは、落とし穴へ。

  • イワノフ:『どうかあきらめてください。』
  • ルパン:おれは絶対、あきらめないぞ。
  • イワノフ:『仕方がありません。』

さらに、もう一段下の落とし穴へ

  • イワノフ:『どうしてもお引き取り願えませんか。』

さらに、もう一段。都合、3度。1階まで落とされる。

  • ルパン:あらー、何度でも来てやるからな! 

今作で銭形警部に変装したルパンは、銀狐とのやり取りの中で、ルパン三世のことを〈その男にかかったら、世界で盗み出せないものなどありません。〉と伝えている。しかし、銀狐には、終始、坊や扱いされ、イワノフへの説得は空振り。本来の目的である【完璧なニセ札づくり】は叶わず、計画は失敗。なにも盗み出すことが出来なかった。

フリンチとの殴り合いで終わる結末は、本来の目的を成し遂げられなかったルパンの〈羞恥心〉、傷を負った〈プライド〉を回復するために用意されたものではないだろうか。つまり、ボコボコに殴られるという【肉体の痛み】を知覚することで、少しでもルパンの【心の傷】を緩和させようする【二次的効果】を狙ったものであるように思う。

また、次元に〈ニセ札づくりはどうなったんだ?〉と、ずばり本質をつかれ、それをはぐらかすように延々と話し続けるシーン。ここでは、ルパンの気まずさ、あるいは、照れ隠し的な感情がストレートに伝わってくる。あたかも、フリンチとの決闘が本来の目的であり、男の勲章であるかのようにふるまう様子に、ルパンというキャラクターの【イタさ】、一抹の寂しさ、やり切れなさを感じずにはいられない。

しかし、その一方で、作品をみている私は、万能ではないルパンの〈人間臭さ〉を発見し共感する。そして、より身近な存在であるかのような〈錯覚〉を認めて、我が子に愛情を注ぐ〈母性的な愛着〉を自覚するのだ。さらには、豊かな可能性を秘めたルパンというキャラクターの才能、作品への期待感が、一層に高まっていくのだから、面白い。

【失敗は、成功のもと】とは、ある意味、こういった私自身の心の機微、感情を伴うプロセスを示唆しているといえるのではなかろうか。ルパンがルパンであり続ける所以は、私がルパンに恋い焦がれる所以でもあるらしい…。こんなことを意識した第十話でありました。


さらに、今回の話の中では、峰不二子の【本質】が散りばめられた台詞をいくつか見つけることができるのも、見どころのひとつ。備忘録的にざっと記してみると

  1. フリンチが男爵に〈ルパンの相棒の女〉であると、峰不二子を紹介するシーン
    【心配しなくたっていいわよ、男爵さん。私はいつも有利な方につく。損な取引はしないわ。ルパンは立ったわよ。】
  2. ルパンと次元の王国行きを妨害する作戦を実行するシーン
    【素敵なところでお会いしたわね、ルパンさん】(この後、不二子はルパンのヘリに集中砲火を浴びせて、ルパンたちのヘリを墜落させる。)
    【ちょっと、あっけなさすぎたわね。ルパンの最後にしちゃ、さびしいな。ちょっとだけ。】(ヘリを奪われ、取り残されて)【あー、待ってよ。ルパン!】
  3. インペリアルホテルでルパンと次元に取引を持ち掛けるシーン
    交換条件だけど、私を仲間にいれてくださる?】(断ったら)【男爵に言いつけるだけ。】(不二子が渡した写真をみて、これがどうしたっていうんだ?というルパンに)【もっと目を皿のようにして、もっとよーく、真剣に
  4. ルパンとフリンチの鬼ごっご(戦闘)中に、突如、登場したシーン
    【フリンチ。あなたもプロのつもりなら対等にやるべきよ。卑怯だわ。】 

変幻自在な柔軟性、情報や人の心を巧みにつかみ、操作する知性、クルクルと目まぐるしく変わる表情と素直でオーバーな感情表現。これらの傾向を踏まえると峰不二子は【風】の人と言えるかもしれない。しかし、これら〈風〉の資質をなんのために使うのか?ということになると、非常にドライな側面が見えてくる。

自分の欲望に忠実で、計算高く、利益を重視する傾向が強い。狙った獲物は、どんなことをしても、どんなに時間がかかっても、手に入れようとする。自分の魅力を熟知して、女であることをうまく利用することができる貪欲さ。不二子の根本にあるのは、【飢え】。この上ない〈渇望・狩りの欲求〉であると思う。この渇き具合は、現物に価値を見出す【土】の本質を見事に表わしているのではないでしょうか。

〈土〉の真面目で重苦しい本質を好奇心旺盛な軽やかな〈風〉で見事に演じて乗り越える。峰不二子の中に共存するものは【土+風】。基本的には、相容れない二つの元素。恐らく、不二子自身にも、自分というものが掴みどころのない生物に映っているのではないでしょうか。【理解不能】であるということ、その不可解な生き様こそが、彼女の最大限の武器であり、魅力であると思う。

彼女の爪の垢を煎じて飲んでみたい…。叶わぬ願望を夢みる私なのでありました。

 

〈おまけ〉次元が不二子を仲間に入れるのを否としたときの台詞

  • お~りた。あったりまえじゃねぇか。こんな女を仲間にいれるのは、爆弾抱えて火事場をウロウロしているようなもんだぜ。悪いけど、ルパン、じゃあな。気をつけるんだな、女には。

実は、次元が不二子の本質を、直観的にもっとも的確にとらえているのではないでしょうか。巧みな【風】使いである次元のなかなかに興味深いセリフです。

 

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以前の記事で、火・風・水・土の4元素の特徴について、触れました。ザックリまとめると以下のとおり。今後も、登場人物の特徴をタロットカードに当てはめながら、遊んでみたいと思いますので、よかったら、参考にしてください。

 ◆4元素図(火・風・水・土)

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最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

Kohyuzu(こうゆづ☆)

【記録】冒頭まとめ〈ナウシカ*ルパン*コナン*ワンピース*ハンターハンター〉

ご訪問ありがとうございます。kohyuzuです。以前からまとめたかったアニメーションの冒頭の言葉と主題歌。やっとこ、実現しました。なんの意味もなさそうなこの作業ですが、個人的には満足。たっのしーい!こうして、文字にして並べてみると、改めて声優さんはスゴイ!ということを実感します。特に、コナンのモノローグなんて、かまずに読むのはひと苦労。そして、耳コピするのもひと苦労。

つい最近、風の谷のナウシカのプロローグを何気にアクセントを意識しながら音読していると、相方に聖書でも読んでるのかと思った…と、笑われました。聖書?ある意味で正しい。なんてたって私のバイブルですもの♡

 

 

風の谷のナウシカ】プロローグ

ユーラシア大陸の西のはずれに発生した産業文明は、数百年のうちに全世界に広まり巨大産業社会を形成するに至った。大地の富をうばいとり、大気を汚し、生命体をも意のままに造り変える巨大産業文明は、1000年後に絶頂期に達し、やがて急激な衰退をむかえることになった。

「火の7日間」と呼ばれる戦争によって、都市群は有毒物質をまき散らして崩壊し、複雑高度化した技術体系は失われ、地表のほとんどは不毛の地と化したのである。その後産業文明は再建されることなく、永いたそがれの時代を人類は生きることになった。

かつて栄えた巨大産業文明の群は、時の闇の彼方へと姿を消し、地上は有毒の瘴気を発する巨大菌類の森・腐海に覆われていた。

人々は腐海周辺にわずかに残された土地に点在し、それぞれ王国を築き暮らしていた。ー風の谷ー そこは人口わずか500人。海からの風によって、かろうじて腐海の汚染から守られている小王国であった。

『木々を愛で、虫と語り、風をまねく鳥の人』
その者青き衣をまといて金色の野に降りたつべし 失われた大地との絆をむすばん

映画版:失われた大地との絆を結び、ついに人々を清浄の地にみちびかん

 

★Kohyuzuのつねづね

風の谷のナウシカは、単に好きというのも憚られるくらい大事にしている愛読書。私の人生のバイブルです。王国の長の娘として育ち、先導者あるいは、革命家のようでもあり、思想家のようでもあり、生物の存在の不思議を探究し続けた学者のようでもあるナウシカ。時として暴走しそうになる怒りや哀しみを手に、苦しみながらも使命を貫く生き方には、ホレボレとします。理性は、クシャナの生き方に共感するのですが、精神の根っこの部分では、ナウシカに強くひかれます。憧れというのかな。

クシャナには、ルパン三世と同じく〈火、風、水、土〉の四元素全ての力がバランスよく、備わっているように感じます。一方のナウシカは火と風の人。〈えっ、根本は水なのでは?〉と感じる方もいるかもしれませんが、ナウシカには、水の要素はあまり感じないというのが正直なところ。恐らく、ナウシカの出自が【水の本質】を覆い隠してしまったのだとは思いますが、詳しくはまた、別の機会に書きたいと思います。

風の谷のナウシカは、アニメ映画とアニメージュに掲載されていた漫画とでは、筋書きが異なりますが、映画は映画で言わんとするところは、よくまとまっている大作だと思います。

いつの頃だか、宮崎駿さんがインタビューで、サン=デグジュベリの『人間の土地』という本から、風の谷のナウシカの筋書きの構想、インスピレーションを得た…と話しているのを聞いて、すぐに本屋さんに走り購入したのですが、中学生の私には、ちんぷんかんぷん。あれから30年以上を経た今でも、難解だと感じます。人とはなにか?人の生き方を問う哲学的なエッセイといったイメージの本ですが、『星の王子さま』も然り、彼のエッセンスは、核心に触れそうで触れない感じが、後をひく。読み返すたびに新たな発見があり、新鮮なメッセージを届けてくれます。

ナウシカは、いつの日か、きっと、考察してみたい作品のひとつです。

Kohyuzu 

 

ルパン三世】モノローグ

オレの名はルパン三世。かの名高き怪盗ルパンの孫だ。世界中の警察がおれに血眼。ところがこれが捕まらないんだなー。まぁ、自分で言うのもなんだけど、狙った獲物は必ず奪う神出鬼没の大泥棒。それがこのオレ、ルパン三世だ。

次元大介…オレの相棒。早撃ち0.3秒のプロフェッショナル、クールなガンマン。そのうえ義理堅く頼りになる男。

三代目石川五ヱ門…いにしえの大泥棒、石川五ヱ門の末裔。居合抜きの達人。なんでも真っ二つにしちまう怒らせると怖い男。

銭形警部…ご存知、銭形刑事の子孫、警視庁の敏腕警部。オレを捕まえるのを生きがいとするオレのもっとも苦手なとっつぁんだ

謎の女・峰不二子…オンナ盗賊か女スパイか、このオレにもわからない謎の女。いつもひどい目に合うが、憎めないんだな。オレはかわいこちゃんに弱いからね。

『さてさて、これら一癖も二癖もある連中に囲まれて、今週はどんな事件を巻き起こしてやろうか!』

 

★Kohyuzuのつねづね

好きすぎて、感想は秘密…というより、まだ書けないというのが正直なところ。だからこうしてブログで〈第1話〉から、振り返っているのかもしれません。2019年11月現在、Secondシーズンがテレビ放映中。ルパン三世といえば、緑ルパンより赤ルパン!という声が多いのも、心情的には頷ける。コミカルなテンポの良さが小気味よい作品集です。とはいえ、私は緑ルパンの影のある雰囲気やハードボイルド感が好きです。

原作を読んで、一貫して感じるのは、70年代の創作物という古さも手伝って、社会的ジェンダーの視点でみると、引っかかる言葉が散見しているということ。けれども、そんな不平等さや不透明さがあっても、やっぱり好き。たぶん、いつまでも好き。

Kohyuzu

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ルパン三世のテーマ〉作詞・作曲:大野雄二

真っ赤な薔薇はあいつの唇
やさしく抱きしめてくれとねだる
瞳の奥に獲物を映して
さみしく問いかける愛の在りか

男には自分の世界がある
たとえるなら 空をかけるひとすじの流れ星
孤独な笑みを夕陽にさらして
背中で泣いてる男の美学

真珠の色はあいつのまなざし
遥かな幸せを夢に描く
いためることを恐れるあまりに
冷たく突き放す愛もあるさ

男には自分の世界がある
たとえるなら 風をはらい荒れくるう稲光
都会の闇に体を溶かして 
口笛吹いている男の美学

 

◆映画カリオストロの城〈炎のたからもの〉 作詞:橋本淳 / 作曲・編曲:大野雄二

幸せをたずねて 私は行きたい
いばらの道も凍てつく夜も 二人で渡っていきたい
旅人のさむい心を 誰が抱いてあげるの 誰が夢をかなえてくれる
炎と燃えさかる私のこの愛
あなたにだけはわかって欲しい

絆で私をつつんで

荒野をさすらうあなたを 眠らせてあげたいの 流れ星はあなたのことね
炎と燃えさかる私のこの愛
あなたにだけはわかって欲しい

なぞめく霧も晴れていく

 

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名探偵コナン】モノローグ

オレは高校生探偵、工藤新一。幼馴染で同級生の毛利蘭と遊園地に遊びに行って、黒ずくめの男の怪しげな取引現場を目撃した。取引を見るのに夢中になっていたオレは、背後から近づいてくるもう一人の仲間に気づかなかった。オレはその男に毒薬を飲まされ、目が覚めたら身体が縮んでしまっていた。

工藤新一が生きていると奴らにバレたら、また命を狙われ、周りの人間にも危害が及ぶ。アガサ博士の助言で正体を隠すことにしたオレは、蘭に名前を聞かれて、とっさに〈江戸川コナン〉と名乗り、奴らの情報をつかむために、父親が探偵をやっている蘭の家に転がり込んだ。

ワシが天才発明家のアガサ博士じゃ。ここでワシの傑作を紹介しよう。時計型麻酔銃に蝶ネクタイ型変声器、キック力増強シューズ、ターボエンジン付きスケートボード、そして犯人追跡メガネ。このメガネの片側には、もう一つの最新のメカが取り付けてある。それは、赤外線望遠鏡機能じゃ。これらはみな、小さくなった新一のためにつくったものじゃ。彼はこれらのメカを使って、毛利くんの声で事件を解いたり、犯人を捕まえたりしている。そうそう、忘れるとこじゃった。彼の同級生、少年探偵団のもっている探偵バッジと腕時計型ライトもワシが作ったんじゃ。

ところで、彼の正体を知っている者が、ワシの他に4人いる。彼の父親である推理小説家の工藤優作と母親の元女優・工藤有希子、西の高校生探偵・服部平次くん、そして同級生の灰原哀くんだ。彼女の本名は、宮野志保。黒ずくめの男の仲間だったが、姉の宮野明美を組織に殺害され、組織から逃げ出す際、新一が飲まされたのと同じ薬を飲んで、身体が縮んでしまった。

黒ずくめの男たちは、執拗に灰原の行方を追った。そして今、オレの気づかないところで何かが起ころうとしている。

『小さくなっても頭脳は同じ。迷宮ナシの名探偵、真実はいつもひとつ!』

 

★Kohyuzuのつねづね

このモノローグを耳にするたびに、私は〈真実はどうしたって、ひとつではないよなー〉と思ってしまう。事実はひとつだと思うのだけれど、そのひとつの事実さえも、みんなが同じ事実をみているとは限らない世界に私たちは生きているのだから。だけど、コナンこと工藤新一にとっての真実は〈ひとつ〉なのでしょう。【自分の真実を信じきる】そのひたむきな潔さに魅かれて、性懲りもなくコナンにチャンネルをあわせてしまう私がいるのであります。

共通点としては、シャーロックホームズが好きという部分でのみ、工藤新一と私はつながっているのかもしれません。我が家の愛犬の名前〈Holmes〉は、神経質で繊細そうな彼をイメージして名付けたもの。コナンという子どもの容姿だから、あまり意識することはないですが、等身大の工藤新一は、かなりのナルシストで、キザで理屈っぽい高校生ですよね。個人的には、一見、あたって砕けろ的な唐突キャラのようで、その実、友達想いの西の高校生探偵、服部平次の情熱と純情が好みです。

もちろん、コナンと蘭には、幸せになってもらいたいですが、平次と和葉の愛の行方も気がかりです。進展しそうでしないところがもどかしくも、甘酸っぱい青春。いいなぁー。そうして、シェリー、灰原哀こと宮野志保の未来、結末がどうなっていくのか…今後の展開次第で、私のコナン作品に対する評価は大きく変わっていく気がしています。

青山先生、いつも興奮とスリルをありがとうございます。私の推しメン諸星大、沖矢昴こと赤井秀一さまの出番を楽しみにしております!この先のストーリー、最後まで見届ける所存です。お身体、くれぐれもお大事になさってください。

 Kohyuzu

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オープニング曲〈キミがいれば〉 作詞:高柳恋 / 作曲:大野克夫

うつむくその背中に 痛い雨がつき刺さる 祈る想いで見ていた
この世にもしも傘がたったひとつだとしても 探してキミに渡すよ
なにもできないけどキミの代わり 濡れるくらいわけもないさ
お願い その悩みをどうか私に打ち明けて…

必ず朝はくるさ 終わらない雨もないね  だから自分を信じて
月と太陽なら私は月  君がいれば輝けるよ
一人で背負わないで 気づいて私がいること

もうすぐその心にきれいな虹が架かるから
もうすぐその心にきれいな虹が架かるから

 

ONE PIECE】プロローグ

時は大海賊時代。かつて、この世の全てを手に入れた男がいた。その名は、海賊王ゴールド・ロジャー。遥かな大海原グランドラインには、彼が遺した〈ひとつなぎの大秘宝【ワンピース】〉が隠されているという…。伝説の秘宝を求め、人々は競うように海へと漕ぎ出してゆく。

そして、ここにもグランドラインを目指す者が一人。悪魔の実と呼ばれる不思議な実の1つ〈ゴムゴムの実〉を食べ、全身がゴムのように伸びるゴム人間になったモンキー・D・ルフィだ。幼い頃に赤髪のシャンクスから麦わら帽子を託された彼は、海賊王になるという壮大な野望を抱いていた。

海へと乗り出しルフィは、航海の中で大冒険を繰り返し、様々な人々と出会ってゆく。信頼できる個性的な仲間、悪党どもや海軍など立ちふさがる強大な敵。さぁ、まだ見ぬ世界へ向けて帆をあげろ!歴史を変える大航海が、今、出航の時を迎える!

『海賊王に、俺はなる!』

 

★Kohyuzuのつねづね

著者が同世代の星!熊本出身…ただそれだけの理由で、応援している。なぜ、ワンピースがこんなにも人気なのか。私にはよく分からない。それでも、1巻から最新刊までリアルタイムで購入しているのだから、どこか無意識の部分で魅かれるものがあるのかもしれない。それにしても、ワノクニ編に入ってからは、全然ストーリーが入ってこない。困ったもんだ。尾田先生はコマに対する画が繊細で、とてつもない情報量が詰まっている。本当はジャンプサイズの紙面で読むのが目に優しいのだが、いかんせん保管場所が確保できない。

近年のジャンプでは、〈鬼滅の刃〉がイチオシ…だと思うのだが、楽しみにしていたテレビ放映がパタリと終わってしまい、続きが映画へと移行してしまったのは残念至極。また、続きをテレビでやってくれないかなー。ワンピースは、登場人物が多すぎて、私の頭では伏線が回収できないので、アニメを見ることで、やっとこ追いつく感じを繰り返しています。ボンちゃんことMr.2(ボン・クレー)のような魅力的でわかりやすいキャラがなかなか出てこないのが寂しい。尾田先生、ここらでひとつメリハリキャラを登場させては、いかがでしょう!期待をこめて。

Kohyuzu 

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▶001:俺はルフィ、海賊王になる男だ! テレビアニメ放映冒頭

富、名声、力、この世の全てを手に入れた男、海賊王ゴールド・ロジャー。彼の死に際に放った一言は、人々を海へと駆りたてた。『俺の財宝か。欲しければくれてやる。さがせ!この世の全てをそこに置いてきた。』男たちはグランドラインを目指し、夢を追い続ける。世は、まさに大海賊時代。

ありったけの夢をかき集め  捜しものを探しに行くのさ  one piece
羅針盤なんて渋滞のもと 熱にうかされ舵をとるのさ
ホコリかぶってた宝の地図も 確かめたのなら伝説じゃない!
個人的な嵐は 誰かのバイオリズム乗っかって思い過ごせばいい!

ありったけの夢をかきあつめ 捜しものを探しに行くのさ  ポケットのコイン
それと you wannar be my friend?We are , We are on the cruise!ウィ アー!

 

【HUNTER × HUNTER】プロローグ

クジラ島で暮らす少年ゴンの夢は、幼い頃に別れた父と同じハンターになること。世界中に散らばる財宝、秘宝、珍品、珍獣などなど。未知への挑戦に命を懸けるプロハンターになる決意を胸に旅立つゴン。ゴンの奇想天外、早大苛烈な冒険の旅が、今始まる!

▶第一話:出発の日

怪獣・珍獣、財宝・秘宝、魔境・秘境。未知という言葉が放つ魔力。その力に魅せられたすごい奴等がいる。人は彼等を〈ハンター〉と呼ぶ!

 

★Kohyuzuのつねづね

オープニング曲が好きで、当時はよく口ずさんでいました。小野正利さんの声もまたイイ!歌詞は、火と土の元素の特徴をよく言い表していると思います。そして、歌詞をかみしめるたびに、パールバックの〈大地〉を読み返したくなるんですよね。『大地を踏みしめる!』というのがなんとも泥臭い。けれども、〈生きる〉の根本に立ち返る、痛烈なメッセージを伝えていると思うのです。ナウシカの台詞にも『人は、土を離れては生きられないのよ!』とありますが、その世界と通じる匂いを、ハンターハンターには感じるのです。全く相容れないような物語の展開と雰囲気なのに、とても不思議です。

ハンターハンターとの出会いは、他の4つのアニメーションとは違って、漫画よりテレビが先です。ジャンプを読まなくなっていたので、しばらくは、存在を知らずに過ごしていました。推しキャラは、ヒソカとキルアの変化形コンビ。彼らの美貌と変態ぶりがたまらない、とまらない♡

グリードアイランド編で、ゴンとキルア対レイザーの闘いに、ヒソカが参戦したときの歓びと言ったらなかったです。私のために書いてくれたのかと、妄想するほどに、そのシーンだけは、何百回と再生して見返しています。永久保存版です。ゴンに対するキルアの友情に、ヒソカの歪んだ愛に、胸キュンがとまらない。

幻影旅団のクロロとの戦いでは〈The END 退場!〉にならなくて、ホントによかった。ヒソカを生かしていただき、ありがとうございます!冨樫先生。2019年11月現在、ハンターハンターもテレビ放映されています。次回作が近いのかも…と期待してしまう。コミックは36巻まで刊行中で、1年が経過。そろそろ新刊が待ち遠しい今日この頃。

たびたび、休載になってしまうのも、名作なので許してしまう。どうか、お身体をお大事に。今後の展開も楽しみに待っています。だから〈連載途中でやーめた〉ってことになったら、たぶん、私も、怒り狂ってあばれます。

Kohyuzu

 

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オープニング曲〈departure〉作詞・作曲:羽場仁志

大地を踏みしめて 君は目覚めていく  天使の微笑みで連れ出して
孤独でも一人じゃないさ  生まれてきたことに必ず意味がある
やさしさに満ち溢れている  青い地球(ほし)にありがとう

You can try again 太陽浴びて
You can fly away  世界は君の輝きを待ってる

大地を踏みしめて 君は目覚めていく
天使の微笑みで連れ出して(You can smile again)
始まりはいつでも遅くないさ  何度でも立ち上がれ!

最後まであきらめないさ  やり続けることに必ず意味がある
You just try again 闇を抜けて
You just go away    未来はいつも僕たちを待ってる
大空駆け抜けて 海原越えて行け  天使の投げキッスつかまえて(You can try)
まだ誰もみたことのない世界へ  飛び出そう明日

大地を踏みしめて 君は目覚めていく  天使の微笑みで連れ出して(You can smile)
終わらない冒険にでかけよう!いつまでもどこまでも

流れおちる涙 勇気に変えていく  天使の羽広げ 舞い上がれ(You can fly)
悲しみも痛みも包みこんで 強くなれ明日
大地を踏みしめて 君は目覚めていく  天使の微笑みで連れ出して(You can smile)
始まりはいつでも遅くないさ
何度でも(You can try) 何度でも(You can try)何度でも立ち上がれ!

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ここまで書いて、7,800文字。結構な文字数になったものだ。名言もまとめてみたいけれど、道のりは遠い…。のんびりと、気長にやりますか。現状、どうしても、ナウシカの主題歌は受け入れがたく、省略。天空の城ラピュタの主題歌は、物語の世界観を内包して素敵なのになぜに…。ディスりたい気持ちをグッとこらえて(いえ、すでにこらえられてないけど)、ランランララランランラン♬の〈ナウシカレクイエム〉を口ずさみながら、上書き。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

Kohyuzu(こうゆづ☆)

 

 

 

 

 

 

LUPIN THE THIRD FIRST TV『009:殺し屋はブルースを歌う』不二子をめぐる男たちの行方は?

ご訪問ありがとうございます。Kohyuzuです。ルパン三世のテレビシリーズを第一話から見直して、ただ感想を書くというだけの試みの9回目。懐かしい記憶の扉を開けて楽しんでいただけると嬉しいです。あっ、今回は、結構、長いです。時間のない方は、目次からどうぞ!それでは、ルパンの元へいってみよ~!

あらすじ 

第九話『殺し屋はブルースを歌う』(1971年12月19日放映 / 脚本:さわき とおる)

〈登場人物〉ルパン・次元大介峰不二子石川五ヱ門・プーン・キャップ 

冒頭は、空港のシーンから。ルパンによく似た男〈殺し屋プーン〉と次元に似ても似つかない男〈弟分のキャップ〉。ルパンが狙っている次の獲物は、ある倉庫で預かっている時価数億円の書類。その仕事をプーンに手伝って欲しいと持ち掛ける。しかし、プーンは、3年間探し続けている女〈峰不二子〉の行方を辿って、香港へやってきたと話し、仕事を断る。

  1. ルパンは不二子と車で移動中、仕事の内容次第で一緒に組むという不二子に【時価数億円の高性能電子頭脳の機密書類、奪取計画】を打ちあける。一方、アジトでは、痺れを切らした次元と五ヱ門がルパンの帰りを待っていた。〈遅いな〉と、ダーツの矢を投げ続ける次元。そこへ、ルパンが不二子を伴い、帰宅する。五ヱ門は、薔薇の入った花瓶を真っ二つに斬り〈俺は仕事に女が加わるのはご免だ〉と出ていく。〈まぁ、お堅いこと〉と、不二子。
  2. 相手のアジトへ、書類をいただきに出かけたルパン。だが、ルパンの正体は、変装した不二子であることが、キャップにバレる。不二子は単なる足止めのフェイク。同時に、倉庫がルパンにより襲撃され、書類が盗まれたことに気づいたキャップ。不二子は役目を終え、出ていこうとすると、そこにはプーンの姿が。〈あっ〉と息をのむ不二子。キャップは、すかさず〈クソ~ッ〉と不二子に向けて銃弾を放つ。不二子は煙幕を使って逃走。プーンは不二子を追おうとするが〈あいつの行方はすぐわかるぜ〉とキャップ。床には、不二子の血痕が残っていた。
    【♬ルパンルパンルパンルパンルパンルパン!!♬の効果音】
  3. 銃に撃たれた不二子は重傷でうなされる中、何度も〈プーン〉という名前を口にする。ルパンは次元に〈プーンって誰だい?〉と聞く。次元は、プーンと女はシンジゲートでは、知られた殺し屋チームであったが、ある仕事で女はヘマをした。組織はプーンに殺せと命じたが、プーンは女を殺せなかったと話す。次元の説明で、ルパンと次元は、不二子がその女である可能性に気づくと同時に、確信する。次の瞬間、プーンと弟分キャップが〈書類をいただきにきたぜ。ルパン〉と姿を現す。次元は銃で反撃しようとするが、不意をついた相手が上手。書類と不二子の両方を奪われてしまう。不二子は、すぐにでも手術が必要な危篤の状態。ルパンは〈よせ、正気か!〉という次元を残して、すぐさまハンドルを握り、敵を追っていってしまう。〈なんて奴だ〉と、ルパンを見送る次元。そこへ、再び五ヱ門が登場し、二人そろったところに、ルパンから敵を追い詰めたという無線が入る。
  4. キャップは〈機密書類は手に入った。女は置いていこうぜ〉というが、プーンは動こうとしない。部屋の外では、次元が合流。相手は8時間立てこもりっきりだという。熱にうなされ続ける不二子を階段から静かに眺めるプーン。〈どうしちまったんだ。なぜ、そこまでこの女にこだわるんだ〉と訝し気なキャップ。すると、立てこもっている部屋へ、ルパンから竹筒の矢が届く。矢に搭載された無線から〈プーン、聞け。一刻も猶予できん。女を返して欲しい〉とルパンの声。プーンは〈ルパン残念だが、女は渡すわけにはいかねぇや〉と応じる。が、なおも〈俺は女の命を助けたいだけだ〉と説得するルパン。
  5. そこへ五ヱ門が登場。〈医者は、怖気づいてきちゃくれねぇ。じゃ、おれは用済みだな〉と、手術道具を届けて去っていく。一方、プーンは【不二子、覚えているかい。殺し屋の世界で黄金のコンピだといわれた、あの頃のことを…】と、不二子を見つめて黄金チームであった頃の日々を回想する。〈なんとしてでも、連れていくぜ。不二子〉と、プーンは不二子に布団をかける。ボンヤリとした意識の中で、不二子の眼には、プーンの後ろ姿が映る。瞬時に脳裏には【逃げろ、不二子、早く。なにをしてる早くしろ、早く後ろへ飛び込め…】といって銃弾をわざと外して、不二子を逃がしたプーンとの別れの記憶がよみがえる。断崖絶壁から落ちて、波に消えゆく不二子。記憶に触れて涙を流す。
    【♬夕焼けに向かって横笛を演奏する五ヱ門。もの悲しさを誘う調べ♬効果音】
  6. 再び、ルパン。〈聞いてくれプーン、すぐ女の手術をしたい〉と呼びかける。〈残念だが、ルパン。君をこの家にいれることはできない〉とプーン。〈あんたが手術をやってみないか…〉と、強引に消毒済みの術具を入れた竹筒を次々に飛ばす。その様子を見た次元は〈おい、ルパン。手術の方法を知っているのか〉と聞く。〈知らんよ。オレはただチャンスを待っているだけだ〉と、微妙に狙いを外しながら、竹筒を飛ばし続けるルパン。〈また、来た。クソッ、下手くそなやろうだ〉と、キャップが屋外に出たところで〈チャンスだ!〉とばかりに、敵のアジトへ走り込むルパン。一直線に不二子とのところへ向かう。
  7. 〈見事だな、ルパン君〉とプーン。〈もらっていくぜ、女を…〉と言って、ルパンは不二子を抱きかかえると、プーンに背をむける。不二子は〈ハッ、撃たないで…〉と、プーンに銃口を向け、引金をひく。撃たれたプーンは〈惚れたか…不二子。もう一度、お前とチームを組みたかったぜ…〉と言って、そのまま息絶える。〈どうしたんだ〉と駆け込んだきた次元。一瞬で全てを悟った次元は、帽子を脱ぎ、哀悼の意を捧げるかの如く、プーンに向かって軽く頭をさげるのでした。 

一転、ディスコで不二子と踊るルパン。ノリノリで絶好調のルパン。そこへ、次元があらわれ、扉をあける。〈あー、どうした〉と次元。頭にタンコブをつくったルパンは一言〈女は、逃げちゃった〉と。〈アハハハハハ、こいつはイイ!〉と腹を抱えて愉快そうに笑う次元というオチ。

その頃、不二子は(満天の星空のなか、3度、星がキラリと瞬いて…)海を凝視したまま、ひとり、静かに涙を流すのでありました。おしまい。

 

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こうゆづ的*第九話の№1シーン

余韻を味わいたい第九話。見どころもたくさん。けれども、本筋から遠く離れたところに、私には何度も巻き戻してみてしまうお気に入りのシーンがある。それは、ルパンと次元が第4倉庫を襲撃して書類を盗み出す場面。倉庫から飛び出してきたルパンは、すぐさま車に乗りこみ、次元を回収して引き上げる。

このとき、次元は第4倉庫の屋根の上にいて、敵を銃撃しているのだが、ルパンが運転する車が通るタイミングを見計らって、倉庫から車へ飛び乗る。まさにこのシーン。次元の【飛び乗る】というより、倉庫から直立不動で【ただ落ちる】という…、この次元のストンと落ちる姿に、ときめいてしまうのだ。アホみたいに巻き戻し再生する私。

共感してくれる人いるかなー、イヤ、いないだろうな。

というわけで、№1シーン本命は、不二子への恋心がバレバレになってしまうルパンと次元のやり取り。不二子の命を助けようと必死に、プーンとの交渉を続ける場面をあげてみました。機密書類は要らないから、不二子を返して欲しいと必死に交渉を続けるルパンに…

  • 次元:ルパン、放っておけ、あの女なんか。裏切り続けてきた女だ。
  • ルパン:うるせぇ―!もう一度いってみろ。
  • 次元:あー、おまえ、本気でほれたな。
  • ルパン:エッ、バカ言え~ィ!誰があんな女。

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【】は、ルパンの振り返り。

  • ルパン:【今まで何度も裏切られたのが嘘のような気がするぜ。】
  • 不二子:【ルパン、なんだか本当にあなたのことが好きになったみたい。変ね。】
  • ルパン:【変なもんか。ずっと昔から恋人同士だったような気がするぜ。】

〈ふっ、クククク。〉と自嘲気味に笑い、キザなこと言っちゃって…と、振り返る。

【かっこ書き】の回想シーンは、実は、あらすじ1の〈車中の会話〉を再現したものである。詳細を記すと…。

  1. 不二子が運転する車でご機嫌のルパン。〈さすが、トライアンフだ。コーナリングがいいや。このままドライブしようか。〉と、不二子の肩を引き寄せようとするが、やんわりと断られる。
  2. 〈そんなことより早く、仕事の内容を聞かせてほしいわ。〉と、ルパンを焦らす不二子。仕事次第で一緒に組むという不二子に、ルパンは、機密書類奪取計画を打ちあける。
  3. 〈さすが、気に入ったわ。〉と、乗り気になった不二子の肩に、再び手をまわすルパン。今度は不二子も自分の手を重ねて、ルパンに身をゆだねる。こうして、以下の台詞へと続く。
  • ルパン:こうしてやってると、ずっと恋人同士だったような気がするぜ。今まで何度も裏切られたのがウソのような気がする。
  • 不二子:私もよ、ルパン。なんだか本当にあなたが好きになったかもしれない。
  • ルパン:もともとこれが自然なのさ、お互いにな…。

実際には、このような〈やり取り〉が行われていたのだ。このルパンと不二子の甘いドライブの裏側では、次元と五ヱ門がルパンの帰りを〈遅い!〉と、待ちわびていた。

  • 次元:まーた、女にうつつを抜かしているんじゃないのか。
  • 五ヱ門:もし、そうなら今度は、どうするつもりか!
  • 次元:もう勘弁しねぇ。

帰宅したルパンは〈おぅ、次元。よろこんでくれ〉と、不二子を連れてくる。

  • 次元:ルパン、いつもそいつとは、もう組まねぇって…。
  • 五ヱ門:ルパン、女は必要か?

五ヱ門の問いに〈必要なんだよ〉と応じるルパンに、愛想をつかした五ヱ門は出ていく。次元は言葉とは裏腹に、すべてを承知しているような表情で、状況を受け入れる。

次元は、驚くほどにルパンの性格をよく理解しています。相棒とは、こういうものなのでしょうか…さすがです。一方の五ヱ門は、譲歩しません。自分の意志を貫きます。頑固です。それでも、後に、様子をみに戻ってくるところがカワイイ。結局、五ヱ門にとって、ルパンは気になる存在なのですね。おそらくは、不二子の存在も。

ルパンは、第一話から、なんだかんだと、不二子にちょっかいを出しながら、その小悪魔的な魅力にひかれていきました。次元やプーンとのやり取りで、ルパンの口から何度も【医者】という言葉が出てきます。不二子の命を助けたいという【純粋さ】がみえてくる。そうして、プーンとの交渉中、作戦とはいえ、必死に〈あんたが手術をやってみないか。あんたが手術をやるんだよ。やるのか、やらないのか〉と鬼気迫る勢いで、プーンに畳みかけます。相当に熱いです。

第九話の演出は、実に巧みです。ルパンと不二子の〈車中での会話〉が、中盤から終盤にかけて、イキイキと輝きを増してくる仕掛け。次元に不二子への【純愛】を指摘されたシーンで、ルパンが自嘲気味に不二子への恋心を自覚していく過程は、見事です。グッと心に響いてくるものがあります。

不二子をめぐるシーンでのプーンや次元とのやり取りでは、〈火・風・水・土〉四元素の性質すべてを使って駆け引きをし、対峙する相手の心を揺さぶる【ルパンの性質】が非常によく現れていると思います。

 

次元の献身

今回も、次元の台詞に散りばめられた相棒としての【献身】ぶりを見ていきます。

◆不二子を看病していたルパンが、次元のところに戻ってくるシーン。

盗んだ書類を眺めて〈核子の結合エネルギー…なんだこれは、さっぱりわからねぇな。〉とつぶやいている次元。ところが、浮かない顔のルパンが戻ってくるとすぐに、〈どうした?〉と声をかける。〈いけねぇ〉というルパンに、〈あんまり考え込むなよ。医者がついてるんだ、ちゃんと〉と、絶妙な距離感で寄り添う。この辺りの頭の回転の速さは群を抜くものがあります。短い言葉で相手が一番欲しいであろう言葉を的確に選択する。次元ならではの能力でしょう。

◆ルパンからプーンのことを聞かれたとき

〈はて、聞いた名前だな。プーン、そうだ殺し屋プーン。若い女の子とチームを組んで、ひと頃派手に売り出したが、3年前、女がいなくなってから名前を聞かなくなった。〉と話し、それを聞いたルパンが〈次元、もしかすると。〉と口にしただけで、〈お前、あの女といつからつきあった。確か…あの女の3年前以前のことは知らなかったはずだ。〉と切り返す。ルパンと不二子のはじまりさえも、記憶している凄さ! 次元の情報網も素晴らしいです。プーンのことを瞬時に思い出すあたりもさすがです。

◆ルパンが敵のアジトを突きとめて無線で連絡してきたとき

五ヱ門が再び登場して〈どうした?ルパンは〉とたずねると、次元は〈知るかい〉という。そこへ無線の通信が入ると〈おれだ、次元だ〉と応じ、〈やつら追い込んだぜ。お前の助けが必要だ〉とルパンに言われて、〈そうこなくっちゃ。〉と、急ぎ出かけていく。これら一連の動きは、完全にルパンの行動を把握しているからこそ、信頼して待つことができる次元の【義理堅さ】の本質を、明確に表わしています。助けが必要だ!と言われたときの次元の歓びは、感極まるものがあったと思います。ルパンも、次元の【心を動かす】ツボを心得ている。デール・カーネギーならぬ、ルパンの処世術ともいえそうです。

その一方で、五ヱ門は、ルパンの一見身勝手にみえる行動パターンや、次元の皮肉めいた言葉の裏側にあるルパンへの熱い信頼に、気づいているようで、まだ、気づけていない感じがあります。良くも悪くも、相手が放った言葉を【真に受ける】純粋さが、五ヱ門の持ち味であるともいえるでしょう。落ち着いた見かけに反して、露骨に反骨精神を押し出す感じが、時にとても幼く感じて、キュンとしてしまいます。〈おぬし、なかなかやるな~〉と言いたくなる!無自覚に母性をくすぐる五ヱ門。

 

殺し屋プーンの生きがい

最後に、今作の主役である殺し屋プーンの台詞をみていきます。過去の女に情を残しながら、絶命するプーンの眼差しは、儚げで、それでいて、安堵したような心持ちも見え隠れして、とても印象的です。男の悲哀と覚悟がバシッと伝わってきます。切ない…。

  • やっと(不二子の)居場所がわかった。どうしても探し出さなくちゃならねぇ。俺が生きるためだ。
  • 俺にとってあれほど充実したときはなかった。しかし、あれから、あのことがあってから…俺は組織を追われた。お前が生きていると聞いたとき、またあの〈充実感〉が取り戻せると思った。
  • 俺は、お前からの連絡を待った。この3年間。
  • ルパンを甘く見るんじゃねぇ。やれるもんならやってみろ。

このように、プーンは不二子に関しては、強烈な思い入れがあり、過去に【執着】している感じが、強く見受けられます。3年間、ジッと連絡を待ち続けるという【忍耐強さ】。自分が不二子のことを想うのと同じくらい、不二子からも自分が【必要とされる存在】であるのだと思いたい…そんなプーンの切なる願いを想像すると、胸が締めつけられます。恐らくは、彼の人生の中心は、不二子とチームを組んでいた充実の時に、集約されるといっても、過言ではないのでしょう。

組織から、必死にかばって逃がした女に、撃たれて絶命する最後…彼は、そのとき、どのような景色をみていたのでしょう。一途に想い続けた女に撃たれて【本望だ】と思ったでしょうか。俺の人生は終わった…〈過去=不二子〉との決別で人生の幕をおろすことに、案外、納得していたのかもしれません。そして、不二子とルパンの未来、不二子の幸せを、心から祈ったのではないでしょうか。

プーンは、ルパンとやり取りをする最中に、ルパンの発する言葉の端々から、【不二子への執着】を、それが多分に【深い愛情】であることを、察していたような気がします。そうして、この男、ルパンに自分の【想いを託す】ことを、ある意味、悟っていたのかもしれません。だからこそ、弟分のキャップが強行突破しようとしたときに、〈ルパンを甘く見るな!〉と、戒めたのだと思います。不二子のチーム相手としてのルパンの力量を、どこかで嫉妬するほどに、認めていたのでしょう。

クールでドライな殺し屋のイメージからは程遠い、ウエットでロマンチックな一面をみせるプーンの【生き様】は、人によって評価が分かれそうです。けれど、少なくとも、プーンの【死に様】は痛々しいほどに潔く、ハードボイルド的な人々の記憶に残る、見事な幕引きだったのではないかと思います。なによりも、不二子の流した涙が、プーンの人となりを教えてくれている…そんな気がします。しみじみと…プーンのご冥福をお祈りいたします。合掌。

回を重ねるごとに、キャラクターの特性が鮮やかに彩られていきますね。読み解いていくのがとても、楽しみです。

さて、次回は、クルクルと表情を変える不二子の本質が、ますます混乱極まりそうな予感。雲散霧消する性質は【癸(みずのと)】のようですが、【丙(ひのえ)】のようなパワフルな華やかさも捨てがたい。なかなか手の内を見せてくれない手強い不二子に、乞うご期待!

***もしかすると…来週18日(月)0:00の投稿は、難しいかもしれません。その場合、20日中にはお届けできるようにする予定です!よろしくお願いいたします。 

 

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以前の記事で、火・風・水・土の4元素の特徴について、触れました。ザックリまとめると以下のとおり。今後も、登場人物の特徴をタロットカードに当てはめながら、遊んでみたいと思いますので、よかったら、参考にしてみてください。

 ◆4元素図(火・風・水・土)

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最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

Kohyuzu(こうゆづ☆)

LUPIN THE THIRD FIRST TV『008:全員集合トランプ作戦』8時だよ~!って、まさかね。

ご訪問ありがとうございます。Kohyuzuです。ルパン三世のテレビシリーズを第一話から見直して、ただ感想を書くというだけの試みの8回目。懐かしい記憶の扉を開けて楽しんでいただけると嬉しいです。 では、早速、ルパンの元へいってみよ~!

 

第八話『全員集合トランプ作戦』(1971年12月12日放映 / 脚本:宮田 雪)

〈登場人物〉ルパン・次元大介峰不二子石川五ヱ門・銭形警部・Mr.ゴールド 

冒頭、大量の金貨が奏でる音を楽しむカジノ王、Mr.ゴールドが登場。金に愛されたのは、ナポレオンカードを手にしてからだという。そこに、一本の電話が入る。電話の主は、ルパン三世。誕生日パーティ当日〈12時ちょうどにカードをもらいにいく〉と告げる。笑い飛ばすMr.ゴールドに〈札束を見てみろ〉と伝えるルパン。すると【ルパン】の3文字が書かれた帯の札束がみつかる。ルパンの本気を悟ったMr.ゴールドは、一転【対ルパン】の警戒態勢を整えるという展開へ。

  1. Mr.ゴールドの誕生日パーティー当日、警備にやってきた銭形警部。〈ヤツは、変装・金庫破りの名人ですぞ〉と、パーティーを中止にするよう警告する。ところが、Mr.ゴールドは、警視総監の20年来の友人であるという。銭形警部が警視総監の命令で職務にあたる以上、ルパンからトランプカードを守ることが使命だと諭される。こうして、パーティーは開催されることに。
  2. 150年前、トランプカードはフランス皇帝〈ナポレオン〉の下にあった。カードを手にした後に〈飛ぶ鳥を落とす勢い〉で成功を収めたナポレオンは、世界征服をもくろむ。しかし、ロシア侵攻では雪と寒さに苦しむ。進むか退くか、カードで占った結果、出たのは【JOKER】。カードは、風雪の原野の彼方に散り、ナポレオンの手を離れていった。その後のナポレオンは、幸運に見放され、島流しにあい孤独な生涯を終えたという。こうして、幸運をもたらすカードは、人から人へと渡り、ついにMr.ゴールドの手に入ったのである。
  3. ルパンの予告時刻12時まで、残り10分。ふと、銭形警部は〈あれ、おかしいな〉と、時計台の時計が、5分前を指していることに気づく。慌てて、自分の腕時計の時刻を修正した銭形。時計台の12時の鐘とともに、電気が消える。非常灯がついたとき〈約束どおり、ナポレオンカードはもらっていく〉と、ルパンの声が響く。Mr.ゴールドは、慌てて厳重警戒を解き、ケース内のトランプカードを確認する。【本物である】ことを確かめ、安心したのもつかの間、トランプカードは、女客に変装したルパンに吸い上げられて、ルパンの手に渡る。時計の針は、5分進めてあったのだ。〈今がちょうど12時です〉と告げ、ルパンは逃走する。〈ルパンめ、第一ラウンドはお前の勝ちだ。トランプは絶対取り返してみせるぞ〉と、誓うMr.ゴールド。
  4. その頃、カードは不二子の手に渡っていた。不二子は、〈このカードは、自分で人から人へと渡り歩いているのよ。〉という。ある闇の夜に、不二子が雪道で車を走らせていると、ジョーカーが舞い降り〈ナポレオンカードの守り神、ジョーカーと申します。ナポレオンカードは、あなたのところにやってくる。いずれまた、マドモアゼル〉と予言して、去っていったのだという。そこに戸を叩く音が。すかさず銃を構える次元と、剣をにぎる五ヱ門。来客は、花束をもった女の子。花束は、一瞬、警戒を解いた次元の手の中で爆発し、次元は足を負傷する。花束は、Mr.ゴールドからの贈り物であった。その後、次元の入院した病院でも、次々に医療従事者に扮したMr.ゴールドの刺客がやってくるが、五ヱ門が次々と斬り倒す。〈不二子、そのトランプは、疫病神じゃないのか?〉と、不審がるルパン。一方、待機していた銭形は、市民からの通報を受け〈今度こそルパンをつかまえてやる!〉と、鼻息荒く出動する。
  5. 次から次へと現れる刺客にキリがないと、ルパンたちは二手に分かれる。そうして、次元と不二子は洋館に隠れるが、〈あとはルパンが飛び込んでくるのを待つだけ。〉と、銭形警部の指揮する警官たちに包囲されてしまう。〈まるで袋の鼠だぜ。だから、俺は女と逃げるのは嫌だって言ったんだ。〉とぼやく次元に、〈いつまで同じことをいっているの、男らしくない。このトランプがある限り大丈夫よ〉と応える不二子。なおも、トランプを疫病神扱いする次元に〈私は絶対トランプを信じるわ〉と告げる。ところが、トランプには【発信機】が仕掛けられていた。その発信機を頼りに、Mr.ゴールド自ら、ヘリで追跡していたのだ。次元はまさに〈疫病神〉だと、発信機をライターの火で焼やす。
  6. 望遠鏡で、様子をうかがうルパン。洋館が砲撃されても、一向に動こうとしないルパンに、痺れを切らした五ヱ門。〈助けないつもりなのか?まさかそういう男とは知らなかった。短いつきあいだったな。〉と、その場を後にする。洋館では、突入部隊を相手に次元が素手で応戦していた。相手のマシンガンに気づいた次元は、〈きさまら警官じゃないな〉と、相手がMr.ゴールドの私設警察であることを見抜く。〈ゴールドに逆らった君たちは、ここで死んでもらう…〉と、そのとき、危機一髪で五ヱ門が登場。私設警察を一網打尽にする。そうして、〈信じたくはないだろうが、ルパンは俺たちを見捨てた〉と告げる。〈五ヱ門さん、その背中についているものはなに?〉と不二子。〈みろよ、ルパンだ、すぐ助けに来るってよ。脱出方法まで書いてあるぜ。〉と次元。
  7. 外では、Mr.ゴールドに扮したルパンが、着々と脱出の準備をすすめていた。ルパンは、銭形警部が見守る傍で、堂々と次元たちがいる部屋の窓にロープをかけて、車を走らせ〈すると、こうなるのだ…〉と、説明してみせる。ロープの先には、脱出用の大凧が取り付けてあった。こうして、見事ルパンは、3人の救出に成功する。〈やっぱり、このトランプは幸運のトランプなんだわ〉と喜ぶ不二子の前に、再び現れたJOKER。〈トランプを嫌な奴から救い出してくれてありがとう。ではご免。〉と告げ、不二子の手を離れて、トランプは空を舞っていくというオチ。〈あー、行っちゃった〉と残念がる不二子をしり目に、〈あばよ、疫病神!〉と、清々しい表情で空を振り仰ぐルパン。

シュールな結末と、カントリー調の効果音が見事にマッチ!登場人物のイキイキとした独創性が心地よい、なんともユニークな第八話でありました。おしまい。

 

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◆こうゆづ的*第八話の№1シーン

主要登場人物、ルパン三世次元大介峰不二子石川五ヱ門、そして、とっつぁんこと銭形警部の5人が、はじめて揃ったお話。タイトルの【全員集合】とは、こういう訳だ。№1シーンは、迷うなー。今回は、読み手のイマジネーションがどこまでも膨らみそうな場面を選んでみました。 Mr.ゴールドの刺客に〈キリがない〉と、追っ手をまくために、ルパンたち4人が〈二手に分かれる〉選択をするきっかけとなったシーン。

逃走車に、なぜか食肉加工の冷凍室が備わったトラックを調達したルパンたち。〈あのトランプは【疫病神】に、ちげえねぇや。もっとマシな車はなかったのかよ〉と、ぼやくルパン。冷凍室には、ルパンと次元と食肉。運転席には不二子、助手席には五ヱ門という配置。一度は追っ手の罠にはまり、トラックごと相手の大型トラックに捕らえられてしまうが、すぐさま五ヱ門がトラックを真っ二つに斬る。

トラックを捨て逃走するために、冷凍室を開けた瞬間、不二子は〈ルパン早く!あら、凍ってる…〉と言う。そこには、かちんこちんに凍ったルパンと次元の姿が…。〈逮捕だー!〉とばかりに迫る銭形。だが、彼のおとしたタバコの火が、ガソリンにおちて引火。その熱で素早く解凍された次元は不二子と、同じく解凍されたルパンは五ヱ門と二手に分かれて逃走する。

興味深いのが二手の分かれ方。ルパンと五ヱ門は、不二子と逃走するのは、自分だと言い合ったかもしれない。次元は一番、不二子に遠い存在。次元の〈女と逃げるのは嫌だ!〉という案は、即、却下されて、このような組み合わせになったのかも…と想像すると楽しい。なぜなら、ルパンと五ヱ門、そして不二子にとっても、次元は唯一【アンパイ(安全牌)】の存在だと、考えられるからである。

そうして、もう一つ気になるのが、トラックの中での配置。冷凍室に入っていたのは、ルパンと次元。不二子はともかく、助手席は、なぜ、五ヱ門に決まったのであろうか。例えば…

  • 五ヱ門が嫌がった。〈それがしは、冷凍室などに入らん。入るなら抜ける〉とかなんとかかんとか、屁理屈をこねた。
  • ルパンの優しさ。五ヱ門が仲間に加わっての初仕事なので、歓迎の意をこめて助手席をゆずった。
  • 次元の優しさ。不二子が冷凍室に入ることはないと判断。不二子と二人の空間より、冷凍室を選択。〈つべこべいわず、はやく乗れ〉と、素早くルパンを誘導した。初対面に近い五ヱ門と二人になるのは照れくさかった。
  • 不二子の鶴の一声。なんでも真っ二つに斬る五ヱ門がナイトとして一番ふさわしいと判断した。
  • 単なる戦略。仕事にマジメで、頼もしいほどに強い剣の使い手である五ヱ門が、一番助手席にふさわしかった。

などなど…実際は、どうなのでしょうね。こういう風に、空想を巡らせるひと時は、私にとって、とても有意義な時間。どういう理由であれ、収まるべきところに収まった感はあり、やっぱり、冷凍室には〈ルパンと次元〉の組み合わせしか、存在しないような気がしてくるのだから、不思議だ。そして、子ども騙しの面白さだと分かっていても、不二子が〈あら、凍ってる〉という台詞をいうときの表情、ルパンと次元のフリーズした姿が、何度見ても可愛くて、ついクスリッと笑ってしまうのである。


第八話では、いつの時代も、いかなる職業においても、会社組織の一員である限り〈ヒエラルキー〉というものが存在することを、銭形警部をとおして意識する。

Mr.ゴールドが銭形を軽んじているのが分かるのが、【警視総監とは20年来の友人】であるという台詞。〈指揮系統の指示に従え〉という、強力なプレッシャーをかけて、ついには、銭形警部から指揮命令権を奪いとる。象徴する小物は〈トランシーバー〉。Mr.ゴールドが〈カジノ王〉にのし上がった所以が、手に取るように見えてくるシーンであり、権力を堂々と行使することを厭わない、図太い性格であるらしいことが分かる。

Mr.ゴールドとのやりとりで〈上司の指示は絶対だ〉と、自分を律し〈ンーンーンー〉と、閉口して辛抱する銭形警部の姿は、とても印象的である。こういったルールや規則を重んじる姿勢をみるにつけ、やはり、銭形警部は【土+水】の人であることを実感する。

さらに、第八話の見どころとして、次元と五ヱ門の台詞に、それぞれ着目してみたい。

本来は【風】の性質が強い次元の中に【水】の性質が垣間見える台詞

  • ルパンがナポレオンのトランプカードを見事に盗み出し、不二子が〈やっぱりこのカードは、私のところにやってくるものだった〉と予言があたったことを喜ぶ場面で、次元は〈礼ぐらい言ったらどうだ〉と、口をはさむ。
  • 足を負傷した次元が、病院から棺桶に入れられて脱出し、移動する場面。トランプカードの幸運を信じ切っている不二子に、ルパンは〈疫病神〉だと言い、五ヱ門は〈居場所がやつらに筒抜けだ〉と、口々に不満を言い出す。悪化しそうになる空気を、絶妙なタイミングで切り替えるのが、次元の〈イイ加減にこの棺桶からだしてくれよ〉という台詞。 

いずれも、仲間たちへの礼儀を重んじる〈義理堅さ〉や〈気遣い〉が感じられる名言だと思う。

 

五ヱ門の信条よく分かる台詞

  • ルパンと逃走中に、高台から、次元と不二子の様子をうかがうシーン。ルパンが仲間を助けに行かないと、早とちりした五ヱ門は〈ちょっと、待てよ〉というルパンに【武士道といふは、死ぬこととみつけたり】と言い、立ち去る。この言葉を受けて、ルパンは〈格好つけやがって。古いやつだ。〉とつぶやく。
  • ルパンが〈古いやつ〉と発言した五ヱ門の台詞は、1716年江戸時代中期の武士の修養書『葉隠(はがくれ)』に記された有名な言葉である。佐賀藩士の鍋島家に伝わる奉公人としての心構えが記されているのだという。鍋島藩といえば、佐賀の名家である。個人的には「鍋島さま」という〈最中(もなか)〉で、お世話になっています。子どもの頃から食べている記憶に残る懐かしい味で、とても美味しいです。

話がそれましたが、この言葉の真意は、ウイキペディアによると

自己を中心とした利害に基づく判断からの行動は、結局のところ誤った行動となってしまう。本当に最良の行動ができる必境とは、自己を捨てたところ、すなわち、自身が死んだ身であるという心境からの判断であり、そのような心境から得られる判断が、自分も含めた全体にとって最良の結果を生むというところにある。

ということらしいです。なんという潔癖。〈切腹〉の光景が浮かんでくるような。『葉隠』は全11巻から成るのだそう。五ヱ門は、当然、完読していて、武士の心得を守ろうと肝に銘じているのでしょうね。

天邪鬼であるルパンが、のらりくらりと〈なんだって、おれが助けなきゃいけないんだ。〉なんて言うものだから、生真面目な五ヱ門は、その言葉を真に受けてしまったのですね。相棒の次元なら、ルパンの真意を見抜くでしょうが、そこはまだつき合いの短い五ヱ門。己の信念を貫くべく、ルパンに背をむけ、仲間の救出にむかいました。

武士の書が〈愛読書〉だと思われる五ヱ門。やはり、第五話で直観したとおり、風というより【水】の元素が強そうです。自分が信じたものを〈マネる〉ことからはじめて、深く落としこんでいく作業を通して学ぶ姿勢は、蟹座や蠍座の世界に通じるものがあります。

最後に…本作では、不二子の意外な一面をみることもできました。一貫して、トランプJOKERの【予言】を信じ抜くというひたむきさ。このエピソードから、不二子の性質も探れそうです…が、なかなかに、つかみどころのない峰不二子。私の中で、まだこれ!といった確固たるイメージが決まらないのですよ。引き続き、回を重ねて、検証していきたいと思います。

さて、次回は、不二子をめぐる男たちの三角関係が勃発します。果たして、男たちの想いは報われるのでしょうか…お楽しみに!

 

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火・風・水・土の4元素の特徴をザックリまとめると以下のとおり。今後も、登場人物の特徴をタロットカードに当てはめながら、遊んでみたいと思いますので、よかったら、参考にしてみてください。

 ◆4元素図(火・風・水・土)

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最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

Kohyuzu(こうゆづ☆)

トートタロットに聞いてみた★悪意の本質とは?

ご訪問ありがとうございます。Kohyuzuです。とある芸人さんの〈所得隠し〉が報道されていますね。この3、4日の間に【悪意】という言葉を、驚くほどに耳にしました。そこで、気になったのが【悪意】の本質とは、なにか…ということ。

【悪意】とは

  1. 他人を憎み、害を加えようとする気持ち。ex) 悪意に満ちた眼差し
  2. 良くない意味。ex) その行為を悪意にうけとる
  3. 法律上の効力に影響を及ぼす事情を知っていること。道徳的な意味とは異なる。

3.の法律上の意味に着目すると、悪意とは、法律用語では、一定の事情を知っていることをさし、道徳的な評価としての善意とは関係がなく、事情の知・不知を意味する。

  • 【悪意】ある事実について知っていること
  • 【善意】ある事実について知らないこと

えぇ!そうだったのか…知らなかった。私は、今まで【悪意】という言葉を使う場合には、1、2の言葉の意味で解釈していましたが、法律上では〈焦点になっている事柄の事実を、知っているか、知らないか〉を表わすときに用いる言葉なんですね。なぜ、私がこの意味に着目したのか!それは、相方と会話していて『どうにもかみ合わないな』と感じたからです。

話をしていると、相方は、〈悪意と悪質〉という言葉を、明らかに使い分けていることに気づいたのです。私は【悪意】について、1、2の言葉の意味で使っていたので、相方があえて、使い分けていることに腑に落ちない違和を感じました。

もちろん、厳密にいえば、悪+意(意思、意味、気持ち)、悪+質(性質、本質、たち)なので、オフィシャルには使い分けすることも必要でしょうが、プライベートの会話、しかも、言い換えなくても意味が通じる場面で、厳密に使い分ける必要があるか?という違和を覚えたわけです。

【悪質】とは

  1. ものの質がわるいこと、わるいさま ex) 粗悪品
  2. 行動や振舞いなどのたちがわるいこと、わるいさま ex) 悪質な犯罪

と、大辞林第三版にはあります。つまり、よくない意味〈悪〉のシーンで使う用語だということです。なので、私的には、まるっと〈悪〉の表現でいいじゃん、と思った。

ところが、こうして言葉の意味を調べてみると、今回は、明らかに私の〈無知〉からくる『かみ合わなさ』でした。つまり、相方は、所得税を納めなければならないことを知っていた【悪意】にもかかわらず、なすべき義務を怠ったということは、明らかに質がわるい【悪質】という風に使い分けていたのです。ははーん。なるほど。

私は、よくない気持ち、よこしまな気持ち【悪意】が、あるとは言い切れないのではないか!という、見解だったので、相方の言っていることが『???』になって混乱したわけです。以前から、話題の芸人さんを見るたびに、瞳に現実味がないというか、空虚漂う〈がらんどう〉のようなイメージを抱いていた。器質的に何かをもっていそうだなという…不思議を感じていたからこそ、なおさら1、2の意味での【悪意】という風には、思えなかったわけです。

このような『かみ合わない』会話は、我が家では日常茶飯事なのですが、今回は、三大義務のひとつである【納税】、しかも、よくテレビでみかける芸人さんの話題。普段は、税金に無関心な世代も注目していると感じたので、我が家の会話事情の〈ひとコマ〉を、とりあげてみました。

個人的には、会話の謎がとけてスッキリ!無知というのは〈伸びしろ〉があるということ。こういう些細な会話で感じる違和で、いまだ、私は成長・学習中です♡

ここからは、トートタロットで【悪意】という本質に含まれるものについて、1、2の意味と3の法律上の意味にわけて検証してみます。お時間ある方は、お付き合いくださいませ。

 

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★トートタロットに聞いてみたシリーズ!と、いなないていそうな画像を選んでみた。

A)1、2のよくない気持ち、意思があるという意味で引いたカードは、Ⅵ.Lovers(恋人たち)+ Prince of Disks(ウエイト版のKnigtと同じ)。人物カードが出たので、もう1枚補助的にひくと、Ⅸ.Hermit(隠者)が出ました。

B)3の法律上のある事情の知・不知という意味で引いたカードは、XX.Aeon(永劫)+ Swrods9(残酷)。カードの枚数をそろえるために、こちらも、もう1枚ひいてみると、Ⅶ.Chariot(戦車)が出ました。図らずも、大アルカナが2枚という組み合わせ。潜在的に大きなテーマのようです。

個人的には、今回の脱税は、1、2のような意味をもつものではないと思っていましたが、男性の人物カードと一緒に出たところをみると、もしかしたら、本人が再三、口にしていた想像を絶する〈ルーズさ〉という性格的なものに起因するのではなく、明確に〈隠すという意思〉を伴う行動だったのかもしれないなーと、感じました。個人的な印象とトートタロットが示した見解は、今回の場合には、異なりました。

 

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 A)の3枚を目にしたときに、瞬時に浮かんだのは【離反】という言葉。 

  • 恋人には、契約、選択、離別という意味がある。ここでは、多くの人の中に紛れ込むという意味も付加したい。
  • ディスクのプリンスには、勤勉でマジメ、コツコツと目標を達成する有能さという利点の反面、五感の乏しさ、鈍感、近すぎる視点という意味も含まれる。
  • 隠者には内面の光や自分の才能を他者に示して、後身を導くという厚意の反面、秘密、背信という、自らの闇に潜む光を見て見ぬふりをするという意味も含む。

これらから、【離反】という意味が浮かんだのである。うまれながらにして伴う国家と国民の契約〈納税〉という義務を知りながら、是に背き離れようとする遠心力のようなものが働く。人混みや闇にまぎれて、隠れるという行為におよぶ。意に反して、行動は伴わないという意味をこの3枚で見事に表しているように思う。

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一方、B)の3枚。これは、なかなかに読み解くのが厄介だなと思った。瞬時に描いた絵は【傷みを伴う俯瞰】という姿勢。みんなが協力して地球を守るといった世界平和的なマクロな視点から、もっと実際的で身近なルール、約束ごと〈守るべきものは守らねばならぬ…〉という個人のお役目を意識したミクロの視点を内包するようなイメージが浮かんだ。

  • 永劫には、時代の潮目、未来の可能性を信じて過去のしがらみを絶つという意味があり、過去から未来をいったりきたりする。その人物がどこに立つかによって視点が異なるが、進歩的にとらえるなら、目線は常に前、未来を向く。なぜなら、永劫は火の精霊の象徴であり、火の元素の特徴〈未来志向〉を含むからである。ここでは、代々受け継がれてきた司法と時代の変化によって変わってきた司法の融合と、その状況を俯瞰的にみている視点を付加したい。
  • ソードの9には、やりきれなさ、苦悩、否定、嘘などの意味がある。知性の刃が内向きか外向きかの見極めは必要だが、いずれにしても痛みを伴う考え方が存在している。根本には〈今という状況をどうにかして乗り越えよう〉と、もがくために生じる苦痛という意味が含まれる。〈生きる〉を強烈に意識するが故にあがくという、前のめりの意志のようなものを、私は感じる。
  • 戦車には、自分自身の安全という目的のために突撃したり、防衛したりを繰りかえすという意味がある。占星術で例えるなら、月という内面、無意識の安心・安全という領域を、蟹座の特徴、母性的な愛情をもってテリトリーを保護する。伝統への愛着、ほどよい距離感で誠実に愛を表現するという利点の反面、行き過ぎた愛情、慣習への固執と反抗などの意味も含む。

これらから、【傷みを伴う俯瞰】をイメージした。つまり、今を生きること、この世に生を受けて国民としてのお役目は、思考的な苦痛や苦悩、あるいは、感情的な慈悲や個人的な目的のある行動などを、超越したところにあるということ。そして、時代の流れの求めるモノを誠実に汲み、その事柄を知っているか、知らないかという決めごとを表現しているに過ぎない…悪とか善とかその言葉が内包する意味というより、単なる〈シンボル〉として役割をもつ、〈表現型〉としての言葉だよ…ということなのだろう。

法律用語の【悪意】は、思考や感情を超えた次元で決められたシンボルであり、それは同時に、人類が前を向いて生きてきた証しでもあり、未来への架け橋にもなりうるということだと、私は思う。

あくまで、私の解釈であるが、A)とB)では、明らかに世界観は異なる。A)の本質は、より現実的で実際的で個人としての行動が可能な領域。B)の本質は、時代や精神的なものが現実を内包するイメージで、社会ひいては宇宙が掲げた意識というスケール観。行動の視点、漢字の成り立ちがもつ本来の意味に、A)は近く、B)は遠い。

トートタロットが問いかけてくる〈なんぞやの視点〉は、とても新鮮で、その時々の気づき、躍動がたまらない。軽い気持ちで始めたことが、思いがけず、無知から知への発見になりました。ん、充電充電、パワー満タン。楽しかったな。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

Kohyuzu(こうゆづ☆)

LUPIN THE THIRD FIRST TV『007:狼は狼を呼ぶ』鉄の秘伝書って、あの名刀の?

ご訪問ありがとうございます。Kohyuzuです。ルパン三世のテレビシリーズを第一話から見直して、ただ感想を書くというだけの試みの6回目。懐かしい記憶の扉を開けて楽しんでいただけると嬉しいです。

本日10月28日は、1972年に上野動物園に初来日したジャイアントパンダにちなんで、2012年に【パンダの日】として制定されたのだそう。〈ランラン〉と〈カンカン〉が日本にやってきたときは、それはそれは、どえらいお祭り騒ぎとなりました。

この年になるまで、パンダの魅力に気づかずにいた自分に、がっかりです。彩浜やシャンシャンの成長を見守っていると、パンダが人々に愛される理由がたっぷりと浮かんできます。パンダのどこに心くすぐられるのか…そのツボは人それぞれでしょうが、なんでしょうね。あの愛くるしさは!

か細く、か弱く、生々しく、100gに足りないような極小サイズで誕生する赤ちゃんパンダ。〈本当に育つのかしら…〉と心配、ハラハラしてしまう心理を逆手にとって、予想に反してまんまると、コロンとした巨大なフォルムに成長していく…その過程のギャップに萌えるといいますか、ただ眺めているだけなのに、自然と笑みがこぼれてくるような、ものぐさな志、おっとりとした仕草といいますか、〈これがイチオシの理由だ!〉と決めさせてはくれないなにか…、とどのつまりは〈なにをやっていても絵になる!〉というのが、パンダという生きものの運命なのでしょう。

黒柳徹子さんは、一貫してパンダ好きを公言していますが、さすがお目が高い!徹子さんのカリスマ性もまた、相当なものです。パンダとテツコには、共通した愛くるしさ、人々をくぎ付けにする〈独創的な美しさ〉があるような…。全く異なる生物なのに、不思議です。

さて、それでは、本題へ。独自の輝きを放つルパン三世に会いにいってみよ~!

 

第七話『狼は狼を呼ぶ』(1971年12月5日放映 / 脚本:大和 屋竺)

〈登場人物〉ルパン・石川五ヱ門峰不二子次元大介・示刀流総帥 

冒頭、精神統一し、居合や空手など鍛錬に忙しいルパンが登場。しかし、一筋縄ではいかぬようで、全身、包帯でぐるぐる巻きに…。そんなルパンに、次元は〈秘伝書を奪うどころか、入門書さえおぼつかねぇよ〉と、からかう。

  1. 暗黒街の殺法、今世最強の刀〈斬鉄剣〉の製法を記した【秘伝書】を狙うルパン三世斬鉄剣の秘伝書は、19世紀に開発され、世紀の大怪盗アルセーヌ・ルパンの手によって盗み出されたもの。ルパンは一族の誇りをかけて【秘伝書】を奪い返すことを計画する。次元は〈この計画はやめた方がいいな〉と、ルパンを諭す。なぜなら、ターゲットの示刀流総帥の下には、ご指南役に〈絶望的だな、ルパン。いるんだあいつが…。石川の…五ヱ門っていうお方〉がいることが判明したからである。
  2. ルパンは次元を置いて、独り、示刀流の入門者〈はんじろう〉になりすまして、黒鳥山を目指す。入門者控えの場には、志願者が5人。紅一点の〈ふじなみぎんこ〉の正体は、峰不二子である。いよいよ、ルパンの番になり、目にしたものは、指南役の石川五ヱ門にピッタリと身を寄せる不二子の姿であった。五ヱ門は〈貴様、剣はなにをつかう〉と、たずねるが、ルパンは不二子が気になってそれどころではない。〈あぁ、情けない。不二子があんな…はしたない〉と、偶然、叫んだところで、相手が自滅し、ルパンは試験に合格する。推薦状を持参していないルパンに違和を覚えた五ヱ門は〈スキあり!〉とばかりに、一太刀を浴びせる。ルパンは倒れざまに、五ヱ門の袴に【盗聴器】をしかけることに成功する。
  3. 洞窟の奥深くの鍛冶場、そこに秘伝書は保管されていた。総帥は〈秘剣、斬鉄剣がまた生まれる。五ヱ門、お前にまた試し斬りをしてもらわんといかんな。〉と、五ヱ門の剣の腕前を認めながらも〈おぬしに欠けているもの、それは、非情さに徹するという精神じゃ〉と話す。間髪入れずに〈確かに…〉と応える五ヱ門。ここで総帥は〈入門者の中に、ルパンがまざっているのではないか、もしルパンなら、どうするつもりじゃ。〉と五ヱ門に問う。〈それがしが斬ります〉と胸をはる五ヱ門。盗聴していたルパンが〈ちぇっ~。〉とふくれっ面をしたとき、五ヱ門は自分の周りをブンブン飛び回るテントウムシ型の盗聴器をまっぷたつに、斬りおとす。
  4. 深夜、屋敷に忍び込むルパン。そこには、峰不二子の姿が。辺りには撒菱が仕掛けられている。〈ルパン、あなたも同じ獲物を狙っているようね、でも私の方が色々と準備してあるのよ。ルパンさん〉と不意に背後から殴られ、倒れるルパン。示刀流入門志願者の他の3人は、みな、不二子の仲間であった。気絶したフリをして様子をうかがうルパン。洞窟に向かう不二子たちの前に、五ヱ門が立ちはだかる。〈それがしは女は斬らん。〉という五ヱ門に〈私をこのままかえしたら、面倒になるかもしれないわよ。〉という言葉を残し、不二子はその場を後にする。と、同時に、秘伝の巻物を手にしたルパン三世が現れる。ところが、五ヱ門は落ち着き払っている。実にその秘伝書は偽物で、ダイナマイトにすり替えられていたのだ。だが、一瞬のスキをついて、五ヱ門を撒いたルパンは、そのまま総帥の下へと向かう。
  5. 〈さぁ、話してもらおうか、斬鉄剣の秘密をな〉と、総帥に迫るルパン。総帥は、25年前の風の強い日に、ある男に対決を挑み、見事に負けたことを白状する。《後にも先にも、不覚をとったのはあのときだけ。自分の未熟さに気づかず、あの刀さえあればと、一途に思い込み、その秘密をやっとの思いで盗み出したのだ》と話す。その男が、ルパンの先祖である【ルパン2世】であった訳だ。〈本物の巻物はどこにある〉と迫るルパンに、〈ここにある!〉と、巻物を胸元に入れた五ヱ門が姿を現す。そして、総帥に〈話しを全部聞いた以上、あなたの命令に従うわけにはいかない。二人で闘い、勝ったほうが獲ればよいだろう。〉と、決闘をけしかける。

  6. 〈おのおの、であいなされ!〉五ヱ門のかけ声と共に、示刀流斬鉄剣を構えた総帥と鉄鋼の鎧に身を固めたルパンが登場。ルパンの銃弾は、全てまっぷたつに。そして、鎧もあっけなく切られるが、ここからはルパンの思惑どおり【追いかけっこ】になるという展開。木上の仕掛けや落とし穴、総帥は、ルパンの罠に見事にかかってしまう。勝負あり…と、ルパンが秘伝の巻物を手にしようとした瞬間、空中から不二子登場。〈頂いていくわよ~、ルパン。あはははは。ごめんね、ルパン〉と去っていく。〈クソー、不二子め覚えてろよ。〉と悔しがるルパンというオチ…で、終わらないのが七話の見どころ。五ヱ門は〈ルパン、受け取れ。これが本物だ。〉と巻物を差し出す。そうして去り際に、五ヱ門はルパンに再び対決を所望する。

  7. ルパンと五ヱ門の決闘シーン〈決闘状は届いただろうな〉とやる気満々の五ヱ門。対するルパンは〈まったく、つまんねぇもの送りやがって。鼻をかむには、硬すぎる。飛行機つくるにゃ、でかすぎる。風呂の焚きつけにでもするか。五ヱ門風呂のよぉ~。〉と返す。逸る心で対決を急かす五ヱ門に、再三〈動くな、おれに近づくとロクなことはないぜ〉と、ルパンは警告する。そこには、またしても、落とし穴が…、罠にはまる五ヱ門。〈やれやれ、同じ手に引っかかるとは。〉手を差し伸べるルパンの手をとる五ヱ門。こうして決着がつき、次元と合流したルパンが車を走らせていると、またしても、五ヱ門が待ち伏せしていた。そしてすれ違い様に、車をスパッとまっぷたつに斬る。〈やりやがったな、五ヱ門〉と、まっぷたつにされた車で追うルパン、走って逃げる五ヱ衛。楽しい【追いかけっこ】のはじまり。あははははは~♬と、嬉しそうに逃げる五ヱ門、戯れに追うルパン。〈やれやれ、厄介な仲間が一人増えたようだな…〉と、見守る次元という構図で幕引き。おしまい。

 

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◆こうゆづ的*第七話の№1シーン

今回はなんといっても、五ヱ門がルパンと次元の仲間に加わったエピソードが見どころです。ルパンの斬鉄剣の秘伝書にかける想い、一族のプライドをかけた闘いが、いつの間にか、五ヱ門とルパンのコミカルな対決にすり替わっていくところがユニークです。№1シーンは、次元が最後につぶやく台詞と迷ったのですが、最終的には、下記のシーンに軍配があがりました。

ルパンと総帥の対決でルパンが勝利を収めたシーンでの【五ヱ門の台詞】。ルパンには『この勝負はおぬしの勝ちだ。だが、それがしとの勝負は、まだ残っている。いいな。では、また改めて』と話し、総帥には斬鉄剣のお秘密が失われた今、それがしの役目は終わりですな。ではごめん』と声をかけて、立ち去ります。

その五ヱ門を『あいつめぇー。』と、まぶしげな眼で称えて、嬉しそうな表情を浮かべるルパン。ルパンが五ヱ門に〈惚れた〉、完全に心を許した瞬間といえるでしょう。五ヱ門の気高さ、意志を貫く姿勢、不器用な可愛さに、ルパンは魅かれたのだと思います。一方の五ヱ門は不器用であるが故に【対決・決闘】という言葉でルパンと対峙することでしか、仲間に加わる術を知らなかったのかもしれません。

対決シーンで、五ヱ門が、あえて【落とし穴】の罠に引っかかったような気がするのは、私だけでしょうか。ルパンも五ヱ門の頑なさが解けるように、分かりやすく穴を掘り、手を貸した。第五話の五ヱ門と本作の五ヱ門では、ルパンに対する心持ちが、あからさまに変化しているように感じられます。五ヱ門にない軽やかさがルパンにはある。一見、チャラそうにみえるルパンの中に、筋の通った誇り高さのようなものを感じとったことで、リスペクトの念が生じ、惹かれていくようなイメージです。

今回、次元の出番は、冒頭と最後のみと少ないカットですが、それでも次元。心に染み入る言葉を残します。今回の計画に反対するふりをする次元に〈やつとはどうせ、対決する運命なんだよ。〉と、言い放つルパン。次元は、そのルパンの背に向け〈俺を置いていくのか?〉と発言する。〈これは、ルパン家の誇りの問題だって言っただろう?〉と、次元を置いていくシーン。

【オ・レ・ヲ・オ・イ・テ・イ・ク・ノ・カ】10文字。いやー、グッときます。そして、ルパンと五ヱ門の〈追いかけっこ〉を見守るシーンでは、【ヤッカイナ・ナカマガ・ヒトリ・フエタ・ヨウ・ダナァ】20文字。ルパンの行動の先が見えすぎてしまう次元は、苦労性でしょう。状況を把握し、受け入れるのが早いっ、早すぎる!なんという柔軟性、適応力の高さでしょう。今回のお話も、ニヤニヤが止まりません。三人三様の生き方がまぶしいお話でありました。最高!

 

次回第八話は、あの歴史上の人物〈ナポレオン〉にツキをもたらしたカードゲーム、トランプが登場します。ターゲットは、本当にトランプなのか?お楽しみに!

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

Kohyuzu(こうゆづ☆)