こうゆづ☆の【とおまわり】

令和元年12月に、ブログタイトルを変更しました。心の動くままに、とっちらかったテーマで書いています。

【夢日記】クラゲは、かぷかぷわらう…よ。

夢をみていた。クラゲが気持ちよさそうに、プカプカと浮かんでいる。あぁ、イイな。なんにも考えてなさそうで、ただ、波に身をまかせて漂流しているクラゲ。生まれ変わるなら、絶対にクラゲ…このようなことを考えていると、不意に、宮沢賢治の【やまなし】のフレーズが聞こえてきた。

クラムボンはわらったよ…。クラムボンはかぷかぷわらったよ。クラムボンは跳ねてわらったよ。クラムボンはかぷかぷわらったよ…。クラムボンは死んだよ…。♬

えぇ~、死んだ!そう思ったときには、しっかりと目が覚めていた。これは断じて夢落ちの話ではない。クラゲの話である。プカプカ浮いていたのはクラゲであり、かぷかぷ笑っていたのもクラゲなのである。

小学校の国語の教科書で出会ったこの【やまなし】という教材。〈クラムボンの正体は、なにか?〉という議論が展開された国語の時間。今でも、授業のことをハッキリと覚えている。

なぜか?それは〈クラムボンの正体なんて、なんでもいいや〉と、内心思っていた私が放った一言が、クラスの見解の協調を破ったからである。先生をはじめ、クラスメイトは、あっけにとられた…かと思うと、爆笑の渦に包まれた。〈んなわけあるか~!〉と、私の意見は、即、却下され、静かだった教室のボルテージが最高潮に達し、程なく、結論は〈泡〉に決まった。クラスの一体感が、強調された瞬間でもある。

現在も【やまなし】が、小学生の教材になっているかどうかは知らないが、この当時、クラムボンの正体は

  1. 光(太陽の日差し、光線)
  2. 泡(気泡、水中の酸素)
  3. 魚など海の生き物
  4. カニの兄弟の(亡くなった)母親
  5. 宮沢賢治の造語で、特別な何かを意図したものではない。

などと考えられていた。他にもあったかもしれないが、覚えているのはこのくらい。私たちのクラスも、【泡】でまとまりそうな気配が漂い始めていた。

私には、クラムボンが笑っている姿がくっきりと見えていた。見えていたのだ。『クラムボン=クラゲ』正確には、クラゲのようなモノ、これが私の答えだ。クラムボン…、私の空想の中では、クラゲに似た容貌である透明の生命体が、確かに存在していて、わらっていたのだ。クラムボンは生きている。生命そのものである。そう、直観していたのだから、それ以外の答えを、私はもたない。

やまなしの授業の一見があって以来、私は小説が読めなくなった。自分と同じような空想上の生物であるという考えをもつ生徒は、一人もいなかった。今、思えば、言い出せなかっただけかもしれないし、異を唱えるのが面倒なだけだったのかもしれない。

私は、国語が好き。そして、得意であるという認識は、グラグラと揺らぎ、崩壊していった。中高の国語のテストでは、小説の答えだけがどうしても分からなかった。選択肢に正解だと思えるものが、大方、見つからなかったからである。

とにかく、この授業の衝撃といったらなかった。胸がドックンドックンと飛び出しそうなくらい波打って、そのうち爆発して、毛穴から出てくるのではないかと、真剣に怯えたくらいだ。

それでも、私は自分の見解を譲らなかった。クラスが導いた正解である【泡】の確固たる証明ができない以上、私の【クラゲ】という答えが間違えているという証明もできないのではないかと、思ったからである。現に、宮沢賢治は、クラムボンの正体を明かしてはいない。

クラムボン】という響きは、なんて柔らかで、くすぐったいんだろう。ただ、それだけで良いのでないか。自分が知っている〈何か〉の中に当てはめて、解を求めてしまおうとすると、とても窮屈だ。

小説は、イマジネーションとクリエイティブが同居することで生まれる〈化学変化〉こそが、とりとめもなく愉快だ。作者の意図だけを尊重するのではなく、読者の感想や考察が加わることで、自由な余白が幾重にも広がっていくのだ。躍動のエネルギーは、動きをとめない。誰にも止められない。

このように思えるようになったのは、実は、結構、経ってから。社会にでて、様々な個性に出会うまでは、悶々とした気持ちが消えることはなかった。世の中、ヘンな人っていっぱいいるじゃん。その事実に気づいてからは【変人上等】という、根拠のない思い込みだけが、生きる原動力になっている。

今回、あえて、とりとめのない記憶を備忘録的に記してみたのは、夢を見たからである。

この頃、夢と記憶、夢と現実が結びつく出来事が、わりとあることに気づいて、夢とは〈ただボーっと、漠然とみているだけでは、勿体ないのではないか〉と感じるようになった。忘れっぽい私は〈わー、すごい!〉という感動だけを残し、内容はいとも簡単に忘れていくので、今回は、サラッと書き留めてみた次第。

 

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さて、冒頭で、クラゲは、水の中で気持ちよさそうに、ただ漂流している…ようなことを書いたが、よくよく観察してみると、実は、そうではないかもしれないことに気づく。クラゲは、一生懸命生きている。傘を開いたり閉じたりしながら、自分の意志で、目的地に向かって泳いでいるように見える。

ヒトという生物に比し、あまりにも短い生涯を全うすべく、子孫を残し続けるクラゲ。あぁ、クラゲ。健気なクラゲよ。生きて、生きて、生きて、生きて、生きて。

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【プロフィール:クラゲ】

  • 出現時期:5億年前~
  • 寿命:約一年、天敵はアオミノウミウシ
  • 分類:動物界・刺胞動物
  • 性別:雌雄異体
  • 特徴:二胚葉(外胚葉・中胚葉)。体制は、ポリプorクラゲ型で分類。
  • 進化:エディアカラ生物群の生き残りかも。あんなにグロい生物と同じって…。
  • 不老不死?:ベニクラゲ(ポリプ⇔成体の繰り返し。)の天敵は、ウミガメ。

〈クラゲの一生〉

  1. プラヌラ:赤ちゃん。プランクトンとして浮遊。岩などに付着して芽を出す種。 
  2. ポリプ:芽を出した場所で分裂を繰り返す。イソギンチャクのような様相
  3. ストロビラ:さらに増殖し、お椀が幾重にも重なったような形態に変化。
  4. エフィラ:幼生。誰もが知っているクラゲの姿へ。泳ぎながら成長していく。
  5. 成体:触手で移動し、獲物を捕獲する。産卵後、息絶える。

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 一言に、クラゲといっても、その種類は3,000以上にも及ぶらしい。日本では、200種類のクラゲが生息しているのだそう。鑑賞している分には癒されるけど、刺されると、冗談じゃないくらいジリジリ痛い。海に行くと、ゼラチン質の身体に、まんべんなく触れ、頬ずりしてみたい衝動に駆られるのを、グッと堪える。生ガキにあたってもあたっても食べてしまう、懲りない私も、クラゲには、もう二度と刺されたくない。

プカプカ・ふわりふわりと泳ぎながら、時に、カプカプ・ムナムナ・ケケケと笑っていそうなクラゲ。動物界のヒト科に所属し、人間としての記憶をもつ私は、クラゲに生まれ変わるよりも〈みてるだけ~〉の傍観者でいた方が、もしかすると、潔く笑っていられるのかもしれない。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

Kohyuzu(こうゆづ☆)