こうゆづ☆の【とおまわり】

令和元年12月に、ブログタイトルを変更しました。心の動くままに、とっちらかったテーマで書いています。

健康を自らの手でプロデュース。あなたが主役!健康診断の視点から

Kohyuzu です。ブログ開設から一週間がたちました。毎日書くという目標は、予想どおり挫折しましたが、楽しんで書く!というのがモットーなので、まぁ、良しとしよう。今日は、ある別の話題を書くつもりでいたのですが、池江璃花子さんの白血病の告白を受けて【健康診断】をテーマに、医療に携わっていた私なりの知見を述べようと思います。『こういう考え方もあるのかー、へぇー、へぇ、けっ…』というくらいの感じで、お読みいただけると嬉しいです。

 

【健康第一】とは、よく言ったものだ。しかしながら、この言葉の扱いが気軽な挨拶と同程度に、軽んじられているような気がしてならない。『命あっての物種…というではないか!』日常生活において、自らの身体が滞りなく機能しているおかげで、通常どおり始動、開始できる朝がやってくるのを、どのくらいの方が意識して、日々を過ごしているだろうか。病気になり、入院して治療を開始し、場合によっては、手術をすることになり、そこからなんとか回復して、初めて、わが身の大切さを実感し感謝するのではないか。

日々の健康を、定期的にメンテナンスする機会を与えてくれるものの1つに【健康診断】がある。日本の保険制度は、びっくりするほどずさんな歴史手厚い保障で、自営業者であれば国民健康保険、会社員であれば社会保険、航海士であれば船員保険など、健康保険制度に加入し、保険料を納めていれば、なんらかの形で健康診断を受けるチャンスがあるはずだ。市町村から届く健康診断の案内、あるいは、第3号被保険者ならば、パートナーの勤め先の健康保険組合が実施している健康診断の制度を、ぜひ活用していただきたい。特に、就業していない方に漫然として漂っている空気が、健康診断を受ける機会を『また、次に受ければいいや』と先延ばしにしがち…あるある…デアル。

「忙しい」「面倒くさい」「病院はキライ」は、自己の身体に対する不遜である。要は、健康診断でなくても、自分のやり方で【身体をいたわる】ことだ。【何をするかではなく、どうやるか】が重要なのだから。

と、ここまで、健康診断を受けることを推奨しておいて、実は必要のない優先順位の低い健康診断もあると、私は思っている。ちなみに、法定健診に分類されている一般(34歳以下)の健康診断が、必要最低限の健康診断項目である。詳細が知りたい方は、検索エンジンで調べてみてほしい。


女性必見 〈10代から意識しておくこと〉

  • 婦人科 子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん
  • 乳がん
  • 胃がん
  • 肺がん(一般にX線検査は、法定健診に含まれている。)
  • 大腸がん(壮年者35歳以上になると、便潜血の検査が含まれる。頑な便秘要注意)

婦人科系の健康診断は羞恥心から、受診率が欧米に比べて極端に低いといわれている。ここ10年でみると、受診率は微増で、未だ50%に達していない現状がある。婦人科系の健康については、また、別の機会に書いてみたいので、ここでは控えめに記しておく。

女性が10代から意識するとよいこと、それは、やはり月経である。初潮から5年ほど経過しても、月経周期が不安定な場合、今までは順調だったのに、急に乱れだした場合は要注意。基準の範囲は、25-38日周期。それ以下でも以上でも、何らかの不調のサインだと受け止めてほしい。そして、もっとも大切なのは【自分自身の基準値(普段の状態)】を知っておくこと。

 例えば…

  • 普段の月経血の色はどんな感じ?何日くらいで終わる?
  • 量はどのくらい?いつもより、コアグラ(血の塊)が多いような気がする?
  • 日中の眠気が強くなったり、食欲が旺盛になったり、頭痛がおきたり、胸やお腹が張って痛みを感じるのは、どんなとき?
  • 平熱はどのくらい?運動していないときの心拍数は?血圧は?

例を挙げるとキリがないが、上記のような、とても些細なことでも、自分の体感覚だけが知っている情報を把握しておくと、自分の体調の違和を繊細に感じとることができるようになる。身体は、五感を使うことを意識せずに、放っておくと、本来の機能をどんどん忘れていく。疲労やだるさを感じる状態が続いて、当たり前と脳が認識するようになる(慢性化する)と、不調和に気づくことができなくなるのである。

特に近年の顕著な傾向は、この具合が悪いことに気づかないという特徴にみてとれる。気づかないなんてことがあるのか?と、もっともなご意見。ところが、急に倒れる、相当、悪化してから、いつもと違うことに気づく。初動が鈍いという状況に、私は、かなりの危機を感じている。

50代以降の男性必見 

特に、前立腺がんの検査は、血液検査の項目に加えて、PSA値を測定するだけなので、ぜひ忘れずにフォローしてほしい。前立腺は自覚症状に乏しいため、進行していてもわかりにくい。ガンではなく肥大症の場合も似たような症状がでる場合があり、確定診断が重要になる。現在では、治療薬が豊富に開発されているため、5年、10年生存率は高く、予後はよいガンの1つだが、完治を目指すためには、早期に発見することに尽きる。

 

必ずしも知覚した部位や症状と疾患はリンクしない

  • 心筋梗塞  
    心臓より、背中や左の肩回りに鈍い痛み(放散痛)を感じる。
  • 脳梗塞くも膜下出血、脳内出血などの脳血管障害
    頭痛の前兆はなく、ろれつがまわらない、手足先の痺れ、めまいなどを感じる。
  • 甲状腺機能の低下
    いつのまにか骨折で、骨粗しょう症だと思っていたら、副甲状腺が原因であった。

これらは、ほんの一例にすぎないが、よくメディアでも取り上げられているものである。頭の片隅に残しておくとよいだろう。脳の画像診断(MRI・MRA)は、オプションでつけることはできるが、実費負担額は10,000円程度かかる。脳になんらかの違和や慢性的な頭痛を抱えている場合は、一度検査を行ってみてもよいだろう。小さな梗塞の1つや2つは、加齢に伴い、誰にでも起こりうるものである。だが、破裂の危険が伴う脳動脈瘤がみつかる場合もあるため、50歳を目途に、検査を行うことを考えてもよいかもしれない。検査の度に相当量の放射線に曝露されることを鑑みると、個人的には、継続フォローが必要な状況にある場合に、脳ドックは有効であると思っている。

 

早期発見・早期治療は真実か?

この項目については、賛否両論あると思うが、【Quarity of life】という観点から、個々人が心に置いて、考えてほしいところである。早期発見の場合、手術が可能という点では、手術が困難なほど悪化した場合に比べると、一見して予後はよいといえるだろう。手術が受けられれば、悪い部分を完全に切除することも可能であるかもしれない。術後も、継続的な外来受診は、必須だが、治療は奏功したと認識するように思う。

一方で、術後の影響として、想像以上に厄介な副反応に悩まされる疾患もある。代表的なものが、生殖器官系の手術後に、かなり高い確率で発症するリンパ浮腫である。生殖器の近くには、大きなリンパ節を含め、リンパ管が複数走っているが、このリンパ節を郭清する手術法がメインとなるため、リンパ浮腫を二次的に発症することがある。ガンという生命の危機から解放されることは、もちろん喜ばしいことだ。だが、リンパ浮腫は、日常生活にかなりの制限を強いる可能性を示唆する疾患である。致死的な疾患ではない。そのため、積極的な治療法確立の優先順位が高くないのである。特に、重力の負荷が大きい下肢に発生する浮腫については、有効な治療方法はないとされる。悪化を防ぐことを目的とした対症療法(弾性ストッキングや包帯法などの圧迫+リンパドレナージによるマッサージ)が、主な取り組みだ。早期発見の場合、リンパの流れが滞ってない良質なリンパ管が残っていれば、静脈吻合術の選択も残されている。

ここでのポイントは、リンパ節郭清術の場合、手術を受ける時点での疾患の進行度(初期がん⇒進行がん)と、二次的に発症する副反応の割合(発症率)が、比例しないことだ。初期段階の手術の方が、進行した場合の手術よりも、リンパ浮腫発症率が高いというデータもある。ここに、治療への揺らぎや葛藤が生じるのである。

誤解しないでほしいのだが、大学病院などの急性期を取り扱う大規模な地域拠点病院、および、医師の使命は【患者の命を助ける】ことであるそこには、命と真っ向から真摯に向きあい、一切の妥協は許されない医師の役目がある。つまり、患者の命を救うことに全力なのであり、その後に発生する二次的な影響は、文字通り二の次になる。患者は、次々とやってくる。「待った」はないのだ。生命の危機に曝され、重症度が高いと判断されるほどに、術後の経過は、厳しいものになる。現代医学にできることは、QOL(生活の質)そのものを保障するものではない】ことを付け加えておく。

最後に…伝えたいこと

健康は、命に関わることなので、非常にセンシティブなテーマである。様々な考え方、ご意見があるのは当然のこと。ここではあくまで、個人的な意見として記したい。

自らの立ち位置が違えば、視点も180度変わる。イメージだけが先行することもあったし、イメージと実感が一致することもあった。私自身、健康なとき、患者になったとき、医療現場で働いたとき、家族が闘病することになったときでは、目の前に映る景色は、見事に違っていた。体験を積み重ね、視点は拡がる一方、個人としてのエゴが、むき出しになる瞬間にも出会った。

最後に、自らの普段の【健康状態を1日1回は意識する】ことの大切さを伝えたい。興味のあること、関心の先にある情報は、おのずと集まってくるからだ。ちまたに、数多あふれる情報の中から、ごく自然に、自分にとって必要で正確な情報を拾えるよう、脳はビビビっと、敏感に反応するものである。人はみな、自分の身体のことは、自分だけが独創的に表現できる舞台役者のようなものである。例えば、頻発するめまい、長年続いている便秘、疲れが抜けない、なんとなく調子が悪い、と感じたとき、その直感的なひらめきは、あなただけの、あなたにしか分からないものだ。検査値をみて診断するのは、医師かもしれない。しかし、値だけでは説明のつかない病気は、たしかに存在するのだ。

近い未来には、健康診断の様相も変わり、遺伝子解析が主流になってくる時代がやってくるであろう。すでに民間の会社が、遺伝子診断キットの販売を行っているが、精度の正確さについては、改善の余地が残されている。忙しすぎる子育て世代の方々にこそ、愛する子どもの未来のためにも、自らの不調和に気づき、【自分のため】の行動を大切にしてほしいと、切に願う。

医師や医療の可能性を信じながらも、【健康な生き方】を、己が【人生の主役】になって【能動的に決定】し、行動する。他人ではなく【自分に健康を託す】未来は素敵だ。これまた、いつもの妄想が始まったって、言われるな。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

Kohyuzu(こうゆづ☆)